無所属クラブ会派行政調査報告 平成30年11月5日から6日まで

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ページ番号1008696  更新日 2018年12月11日

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平成30年11月5日から6日にかけて、無会派クラブと合同で、静岡県牧之原市及び山形県川西町を視察しました。

対話による協働のまちづくり・地域の絆づくり事業・対話による津波防災まちづくり地域計画について【静岡県牧之原市】

牧之原市の概要

静岡県牧之原市

  • 面積111.69平方キロメートル
  • 人口46,102人
  • 平成17年に相良町と榛原町が合併し牧之原市に

取組の背景及び目的

 平成18年に西原前市長が市民参加と協働を掲げ当選し、対話による協働の取組が始まった。困っている人が集まって、みんなで望ましい解決方法を考える検討の場、住む人が集まって地域の課題を解決する場として、市民のワークショップ形式を積極的に導入することとなった。

取組内容と現状

 平成18年にワークショップ形式の市民参加で話し合う場を積極的に設けたが、同じような顔ぶれ、回を追うごとに参加者が減るなど試行錯誤(検討期)。平成19年に市民ファシリテーターの養成と無作為抽出でワークショップへの参加要請など手法を転換。市長マニフェストの検証、総合計画や自治基本条例の市民による検討の場として活用(試行期)。平成20年に「協働のプロジェクト」開始。ファシリテーションを活用した手法を定着、運営を担う人材を市民の中から育成(育成期)。平成21年から老若男女を問わず誰でも参加できる話合いの場として「男女協働サロン」として定着を図る(実践期)。平成22年に自治基本条例の施行、市民参加と協働が明示(バージョンアップ期)。平成24年から地域ごとに異なる課題を自分たちで話し合い、地域をより良くしていく「地域の絆づくり事業」として、市民ファシリテーターを派遣し、絆づくり補助金を地区に30万円補助する仕組みをつくった。行政計画策定に市民も主体的に関わる場としてワークショップを活用、「津波防災まちづくり(平成24年に策定、平成26年以降実践)」「公共施設マネジメント(平成27年)」「旧片名小学校の活用(平成29年)」などの計画を次々に、市民と行政職員が一緒にテーブルについて技術的な検討も含め話し合い、取りまとめ策定。さらに平成27年から、市内の公立高校2校を巻き込み、「学び合いの場デザイン会議」として、ワークショップの手法を体験し、人材を育成する取組を行っている。

今後の課題

 前市長の強いリーダーシップによって始まったもので、平成30年に市長が代わり、市の担当者も一新され、これまでの取組を振り返りながら今後について考えている。ワークショップを多用し過ぎたのではないかとの声も一部にある。

所感、大府市への反映

 ファシリテーションは高い専門性が必要で、まずファシリテーションや場づくりができる市民の養成から始めたとのこと。住民は、そこに住み暮らす人だからこそ課題や意識がわかる、ずっとそこにいるから計画実践でどう変わっていくかを見届けることができる存在との市民ファシリテーターの言葉は深い。市民がファシリテーターをするということは、場の進行に当たる人もまた住民であるということになるため、お仕着せがなくなる。自由な意見交換をすると、お願いごとに応えきれないというのも、行政にとって積極的に住民と話し合うことに対し、及び腰になりがちな理由と考えるが、「投入できる税金や手法に限界があるなら、始めからその範囲を示して対話をすると、その範囲内でまとめることは可能」とのこと。また、自由に何でも話しましょうというのでは、まとまらないのではないかとなりがちだが、市民自治はそもそも賛否両論あるのが当たり前で、関わり対話を重ねるうちに、参加者に変化が表れ、相手の言葉に耳を貸すことができるようになり、自らの希望を通すための場ではないと気付くようになるとのこと。そのプロセスをつくるには専門性が必要であり、そのための人材育成は欠かせない。
 対話の場を設け取りまとめても、それが実践されなければ対話に加わった住民は徒労を感じてしまう。条件の範囲内で可能な結論をみんなで出し、それが形になったのを見届けることで成功体験になり、対話を経てみんなで自治を進めていく意識につながっていくのだと思う。「難しいことだからこそ、みんなでやろう、みんなで話そう」という姿勢はとても大切である。
 当市では、公園づくりなどで住民参加のワークショップを行っているが、場を行政が設定し、意見のとりまとめのみで、技術的な面も含めて計画完成まで住民参加ができているかは疑問である。ファシリテーターを行政職員が務めることもあり、真に住民にとって主体的な場になっている感はない。地域づくりにそこまで手間暇をかけてくれる住民がいるか、その住民を掘り出して育てるプロセスを当市が持っていないことが、まずは第一の壁ではないだろうか。
 また、市長の強いリーダーシップでけん引された事業は、代替わりで変化していくものであり、市の担当者も一新されたとのこと。「ワークショップを多用し過ぎた」というのは、その振り返りをしながら、とにかくやってみる時期から、自分たちに合ったものへと熟成していく時期を迎えておられるようにも感じられ、次のステップを大変興味深く期待申し上げるところである。
 牧之原市議会に関しては、行政が積極的に場を設け、市民の直接参加と意見反映が活発であることに対し、批判や慎重論もあったようだが、現在の議長は、議会と市民の対話の場づくりとして議会報告会に市民ファシリテーターに来ていただくよう依頼しておられるとのこと。高校生と議員でワークショップを行う計画もあるそうである。当市議会としても対話型、市民からの提案をいただく機会として、なんらかの場を設ける必要があると考える。

協働のまちづくり・NPO法人きらりよしじまネットワークの取組について【山形県川西町】

川西町の概要

山形県川西町

  • 面積 166.6平方キロメートル
  • 人口15,727人
  • 世帯数5,133世帯
  • 昭和の合併で1町5カ村で合併し川西町に

吉島地区の概要

  • 面積 15.72平方キロメートル
  • 人口 2,505人
  • 世帯数 723世帯
  • 自治会数 22
  • 小学校 1校

取組の背景及び目的

 吉島地区は昭和の合併前の旧村域に当たる。平成14年、川西町の行財政改革で地区公民館が公設民営に移管することとなった。行政に頼るばかりではなく、地域の住民があらゆる分野で活躍し様々な課題に対応し、住民の手で地域を再生、30年先を見据えた地域づくりを目的に、地域での話合いを重ね、平成19年に地域の全住民が加入するNPO法人として各種団体を一本化した団体を設立した。

取組内容と現状

 地区公民館の指定管理受託により、拠点と財源と、専従2名の人件費が地域に得られる点を有効活用している。自治会、防犯協会、社会教育振興会、商工会、農業振興会、JA、PTA、老人クラブ、女性会、消防団など各種団体の分離型組織は、事務が分散し専従者がいないことで形骸化、補助や交付の財源も分散していた。そこで、ワンストップと財源の一本化、人材育成などを効率化した一体型組織とし、アクションは既存の団体を母体とした各組織で行う形とした。法人化により責任の明確化と事業を受託できる財源確保の道を開いた。
 現在は地域スポーツクラブや放課後児童クラブもこのNPOで請け負い、地域で見守り育てることと、地域内でできる人の働く場、NPOの経営資源にもなっている。直売所の経営や若手農業者の出番づくりで農業の販路開拓、さらに、ひきこもりや障がい者の就労支援も行っている。地域内だから「少しならできる」を生かすことができる。NPOがマネジメントやコーディネート機能を担い、働き手は地域住民であることで、地域住民も「地域で働き対価を得る」サイクルにしている。高齢者に対しても、地域内で働く場、活躍できる場をつくるだけでなく、見守りサービスも行っている。
 ワークショップによる対話からの合意形成、計画づくりと、企業のQCのノウハウを生かしたPDCAサイクルによる事業化、進行管理を行うマネジメントで、地域経営を単なる「つながり」頼りでない合理的な経営体として、持続可能な法人、地域づくりを行っている。
 企業のCSRと連携し、吉島地区の情報を集約したアプリ、高齢者の買物支援アプリを開発、高齢者へのタブレット貸出しも企業の実証実験として無償で行ったほか、事業や地域産品の窓口の確保につないでいる。
 県からは地域経営の先進事例として県内他自治体の地域経営中間支援を受託している。次世代育成資金も調達し、ファシリテート、コーチング、チームビルディング、マネジメントの専門知識を身に付けた専従者を地域の中から育て、現在5名が専従スタッフとなっている。
 持続可能な地域経営モデルとして各地から来訪者があることで、更に吉島のPRとなり、交流人口にもつながり、吉島地区住民だけでなく広域からサポートも得られている。

今後の課題

 持続可能な地域づくりが広がるのは望ましく感じられるが、総務省、県からは問い合わせや連携があるものの、川西町内では同様の活動の広がりは見受けられないとのことである。

所感、大府市への反映

 住民自治の各地の先進事例について情報収集し、現地でお話をお聞きした事例もあるが、経営やマネジメント、手法や手段をここまで展開している事例は初見で、稀有な現場でリーダーから直接お聴きできたことは大きな収穫であった。超少子高齢化が進み、ある面「村としての連帯」が生きている土地柄だからこそできた事例でもあるが、そこには先進的な手法が詰め込まれていた。地域で活動する諸団体の一体化は、かつての村役場機能に近い印象を受けた。村役場が税金で経営していたなら、このNPOは会費と協賛金、事業受託などを財源としていることが違いだろうか。
 住民自治は、たすけあい、ふれあい、おたがいさまなど共助の精神(情緒的なもの)は当然に重要であるが、それだけでは「気持ちが途切れたら」「できる人ができなくなったら」の課題は解消されない。自治を「地域経営」と捉え、経営資源を循環させ、マネジメントする仕組みの構築が重要であることを知らされた。また、「共助」の掛け声のもとに、「お金のことは後回し」になりがちであるが、資金を循環させることも持続可能な仕組みづくりには欠かせないことを改めて感じた。
 このようないわゆる「突出した」先進事例は、リーダーシップをとったキーマンの存在が不可欠であると同時に、キーマンに代わる人材がいないことがまた持続可能性に影を落とす傾向があるが、「人材こそ経営資源」として、NPOで地域のソフト事業を一本化したこと、高い専門性で地域外からも受託収入や企業協賛を得ることで、次の担い手の育成に投資もしている。地区の中間支援に対応できるスキルを身に付けた人材を法人の専従として5名擁しているとのことである。
 住民自治で自立した地域経営を行うに当たり、地区の将来像とそのための実施計画を住民自らで策定し、進捗評価も行っている。行政が担当する部分はハードや制度の整備、地域が担う部分は住民だからできること、双方の協働によって取り組む部分は施設の維持管理や共同事業の推進等の3種類に捉え、地域が取り組むべきテーマや課題を「地域づくりの課題」として地区計画に取り入れる際に行政の総合計画等との整合性を図ることで、より協働を実現すると整理されていた。この分担と協働は重要である。
 大府市の自治区あるいはコミュニティにこうした事例をそのまま導入することは難しい。地域資源が集約できる規模でなく、互いの顔の見える関係も希薄化していることや、ソフト事業の担い手が、営利、非営利を含め複数存在し、コミュニティビジネスとして、まずそれらと競争するべきかどうかと考えるためである。しかし、共助のメンタリティのもとに、効率性や合理性がともすれば後回しになっていることが、働く世代が地域に参入しづらい原因の一つにもなっている側面もあるので、「働きながら地域の輪番を引き受けてくれる現役世代」のために、反省すべき点はあるように思う。例えば、連絡や周知する手段にICTを活用するなどは、行政がサポートすれば前進する可能性がある。一方、マネジメントやコーディネートは、当市行政そのものが途上にあるように見受けるので、まず行政もそうしたスキルやセンスを磨くこと、その上で地域のサポート役になることが望まれる。
 牧之原市では「難しいことだからこそみんなでやる、みんなで話し合う」という言葉をお聞きし、川西町吉島地区では「危機感は共有しやすい」という言葉をお聞きした。当市にそこまでの危機が迫っている実感がないことが、一歩踏み出さざるを得ない場面につながらないのかもしれない。

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