無所属クラブ会派行政調査報告 令和元年7月31日から8月2日

このページの情報をツイッターでツイートできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号1011544  更新日 2019年9月12日

印刷大きな文字で印刷

 令和元年7月31日から8月2日にかけて、奈良県生駒市、愛媛県新居浜市及び香川県を視察しました。新居浜市では、自民クラブと合同視察を行いました。

児童生徒の教育支援について【奈良県生駒市】

生駒市の概要

奈良県生駒市

  • 面積 53.15平方キロメートル
  • 人口 120,118人(平成30年10月1日)
  • 大阪都心部まで電車で約20分の距離にあり、生駒山を挟んで大阪府に接する県外就業率全国2位のベッドダウン。

取組の背景及び目的

 生駒市は、小・中学生に実施される「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」で、市内平均点全国トップクラスを誇る。
 平成28年6月には「生駒市教育大綱」を定め、基本理念である「『遊ぼう』『学ぼう』『生きよう』みんなでいこまを楽しもう」を基軸に、きめ細やかな授業を目指した少人数学級、読書の魅力を伝える学校司書の配置、市独自の教材による小学校1年生からの英語授業など、積極的な教育施策を推進している。
 全般的な知的発達に問題はないが、読む、書く、計算するなど、特定の事柄だけが困難な学習障害(LD)は、2012年の文部科学省による調査結果では、全国の小・中学校の子どもに約4.5パーセント(欧米では約10パーセント)いるとされ、ユニバーサルデザインフォント(以下、「UDフォント」)の導入及び活用は、学習に困難を抱える児童生徒への合理的配慮の一環としての取組である。

取組内容と現状

 ディスレクシア(読み書き障害)は、文字の読み書き学習に著しい困難を抱える学習障害(LD)の一種である。映画監督のスティーブン・スピルバーグや俳優のトム・クルーズのほか、ウォルト・ディズニーもディスレクシアであったことが知られている。文字がにじむ、ぼやける、歪んで見える、左右反転して見えるなど、特に文字の画数が多いほど判読に大きな困難を生じる。先述したとおり、小・中学校の子どもに約4.5パーセント存在するとされており、1学級当たり1人から2人いる可能性がある計算となることから、「すべての子どもに『わかる!』『できる!』を保証する合理的配慮」として、同市教育委員会はUDフォントの導入と活用を進めている。
 UDフォントとは、「ユニバーサルデザイン」の考え方に基づいてデザインされたフォント(字体のデータ)であり、生駒市で導入されている株式会社モリサワの「モリサワUDフォント」のほか、株式会社SCREENグラフィックソリューションズの「ヒラギノUDフォント」、株式会社モトヤの「モトヤUD対応フォント」など、国内でも複数の会社が開発、販売を行っている。モリサワUDフォントは、「文字のかたちがわかりやすいこと」「読みまちがえにくいこと」「文章が読みやすいこと」を基本コンセプトに、できるだけ多くの人が読みやすいようデザインされており、縦横の線の太さをそろえる、あるいは近付けることによる視認性向上、書き文字との近似性確保など、文字を認識しやすくするための様々な工夫が施されている。
 生駒市では、株式会社モリサワも参加している事業構想大学院大学主催の「シティプロモーション研究会」での取組を通じて、既に広報誌等で「モリサワUDフォント」が採用されており、同社の提案により、子どもたちへの学習効果を検証する実証実験を平成31年2月14日、市内小学校の5年生を対象に実施。短文を読んで「ただしい」「まちがい」を選択する問題で、1分間に36問挑戦する形式で行われた。結果は、UDフォントで作成された問題に挑戦したグループの全問到達者30名(HG教科書体4名)、平均回答数29.5問(同24.0問)、36問中の正答率81パーセント(同66パーセント)と大きな効果が認められ、4月3日のNHK「おはよう日本」にも取り上げられるなど、マスコミの大きな注目を集めた。
 同市教育委員会は平成30年8月から株式会社モリサワとの協議を開始し、平成31年3月26日には令和元年度からの導入を実証実験の成果とともに発表した。市内小・中学校の全てのパソコンにUDフォントをインストールするもので、テストやワークシート用に「UDデジタル教科書体」、英語のワークシート用に「UD Digikyo Italic」と「UD Didikyo Latin」、学校だよりや学年通信に「UDデジタル教科書体」、案内文や公文書などに「BIZ UD 明朝Medium」と「BIZ UD 新ゴ」をそれぞれ採用している。
 なお、費用は「教育委員会で地域の全学校をまとめた包括契約」と「1校ごとの包括契約」が選択可能となっており、PC及びタブレット1台当たり1年間で1,080円(100台から999台まで)となっている。また、自治体としての契約は別の価格帯が設定されており、「市区町村など行政機関ごとの包括契約」と「消防署・警察署・公立病院など組織ごとの包括契約」の選択で、同1台当たり1年間で2,880円(100台から999台まで)である。

今後の課題

 「手紙やワークが見やすくなった」「温かみがあって親しみやすい」「小さな文字でも読みやすい」「読む気になる」など、子どもや保護者には好評とのことだが、導入されたばかりであるため、児童生徒の習熟にどのような影響を与えたか等の効果については実証実験以外のエビデンスがまだそろっておらず、その検証はこれからの課題となる。

所感、大府市への反映

 読むスピードの遅さ(文字を一つ一つ追うため時間が掛かる)、読み間違い、行の取り違い、読み飛ばし、読み換え、書き文字の間違いなど、ディスレクシアのつまずき方は多岐にわたる。そのため、教師を含め周囲がその特性に気付くことができないと、必要なサポートを行えないばかりか不適切な指導をしてしまうおそれがあり、学習意欲の喪失のみならず、自己肯定感の低下といった深刻な二次障害を引き起こす場合もあるという。UDフォントの導入に併せて、学校現場がディスレクシアをはじめとする学習障害(LD)に関する理解を深め、学習に困難を抱える児童生徒に対して常に適切な指導とサポートを行えるようにしていくことが、あくまで重要なポイントである。
 一方で、学校で作成する教材についてはUDフォントでの対応が可能となるものの、教科書会社や学習参考書等の出版社が発行する書籍ではUDフォントの採用がまだ少数であるため、学校で行われる学習活動の全てをカバーできるわけではない点は、あらかじめ留意しておくべきであろう。
 また、ディスレクシアを抱える児童生徒の習熟への寄与という効果を踏まえても、高校入試などの問題にもUDフォントが採用されていなければ、せっかく身に付いた学習内容を試験本番で生かしきれない可能性は高く、一市だけでなく全県へ、さらには全国へと広げていくことなしに、その効果を最大限発揮できることは困難な教育支援インフラであることも、あわせて踏まえておく必要がある。本市の小・中学校の場合、児童生徒が使用する全タブレットに導入するとなれば大変な費用となるが、すでにモリサワUDフォントの一部はWindows10の標準フォントとして採用されており、コストをかけずに「まずは試しに使ってみる」ということが可能となっている。
 繰り返しになるが、「UD」とは「ユニバーサルデザイン」の略であり、UDフォントはディスレクシアやロービジョン(弱視)への配慮など、できるだけ多くの人が読みやすいようにデザインされたフォントである。すでに生駒市での実証実験で示されている通り、特別な教育支援を必要とする児童生徒だけでなく、全ての子どもたちにとっても学習内容の理解を助けるものとして、その効果が期待されている。さらに言えば、学校での導入に先んじて市の広報紙等でも既に活用されているのは、UDフォントが視覚の衰えた高齢者にも読みやすいデザインだからである。今回は、学校現場における導入及び活用事例として調査したものであるが、ユニバーサルデザインを通じた暮らしやすいまちづくりの推進という観点からも、UDフォントの可能性が非常に大きなものであることを追記しておく。

アセットマネジメント推進基本方針について【愛媛県新居浜市】

新居浜市の概要

愛媛県新居浜市

  • 面積 234.5平方キロメートル
  • 人口 119,117人(令和元年7月末日)
  • 平成15年に別子山村を合併。
  • 西条市の新市発足により、一部事務組合を解散。ごみ処理・斎場・消防などを全て市単独化。

取組の背景及び目的

 アセットマネジメントとは、「長期的かつ経営的な視点で公共施設を管理、活用、処分する取組であり、具体的には将来的な施設の老朽度合いや発生する維持管理費用を予測」し、それに基づいて「計画的に修繕、改修、処分、統廃合を行う」ものである(「新居浜市アセットマネジメント推進基本方針」)。
 新居浜市には整備から50年近くになる施設が多く存在し、これまでは更新需要があまりなかったものの、今後は更新時期を一斉に迎えることで大きな財政負担が見込まれる。経済の低迷や人口減少、少子高齢化の進行により歳入の大幅な増加が期待できない一方、扶助費の増大により施設の更新等に充当できる予算は厳しくなっていくことが予想される。これに加えて、高齢者人口の増加でバリアフリー対応が求められるものや、利用頻度が低くなった施設の用途見直し、統廃合など、社会情勢の変化にも対応しなければならないとしている。
 こうした課題に対応するため、行政サービスのレベルを確保しつつ、次世代の負担を軽減する目的で、アセットマネジメントを効果的に推進していくこととした。

取組内容と現状

 平成23年度に始まった「新居浜市第五次長期総合計画」と、それに合わせた「新居浜市行政改革大綱2011」において、効率的な自治体経営を図るための「アセットマネジメントシステムの推進」が位置付けられ、施設台帳を整備した上で、平成24年1月には「アセットマネジメント推進基本方針」が策定された。同推進基本方針によると、市保有の公共施設は一般施設403棟、市営住宅503棟、教育文化施設361棟の計1,267棟で、このうち42パーセントに当たる532棟が昭和40年代後半から50年代に集中して整備されている。さらに道路、橋りょう、上・下水道を加えると、将来の更新費用は平成30年度以降に大きな財政負担となり、ピークを迎える2030年には単年度で140億円に上ると推計されている。実施方策として、予防保全による長寿命化を基本とした計画的な維持管理、目標使用年数を「償却年数」から実態に合わせて「65年」に変更、既存施設の有効活用や統廃合、公共施設整備基金の計画的積立が示され、平成25年から取組を推進している。
 同推進基本方針を受けて、平成26年8月に「新居浜市公共施設白書(本編25ページ・施設概要調書141ページ)」を作成(平成28年9月に改訂)。平成30年には行政サービスの提供を目的とする196施設を対象として、公共施設の削減目標や施設類型ごとに改めて取りまとめた「新居浜市公共施設再編計画(全213ページ)」を策定した。同再編計画は、「まちづくりと連携した公共施設の適正配置」「施設保有量の適正化」「既存施設の長寿命化と有効活用」「施設の安全性の確保」「公共サービスの適正化とサービス水準の向上」を基本方針とし、具体的な数値として年額約14億円、将来費用の30パーセント削減を目標としている。
 さらに「新居浜市公共施設白書」を踏まえ、施設類型別に多目的化、複合化、集約、廃止等に向けた検討を行うことを明記するとともに、達成目標のイメージとしてモデルプランを示している。

所感、大府市への反映

 高度経済成長期に整備が進んだ公共施設の維持・更新、保有等が自治体の大きな経営課題であることは、かねてより行政経営の内部では課題と認知されていたものの、広く課題認識を求めること自体がはばかられたり、「自治体の計画は明るい未来を描くべき」という住民感情があったりしたためか、平成の前半期には、一部の先進自治体を除いて大きく取り上げられることはなかった。それが平成18年頃をピークに進んだ平成の大合併において、経営効率化のための合併にもかかわらず、同様の役割を持つ複数の施設がそのまま引き継がれる事例が多くの合併自治体で見られ、自治体が所有する公共施設への対策は行政課題として直面を余儀なくされるに至っている。
 さらには、平成24年に発生した「笹子トンネル天井板落下事故」を大きなきっかけに、公共施設の老朽化は市民生活に関わる重要課題として広く認知されることとなり、国の旗振りもあって、全国各地の自治体でオープンに議論されるようになった。平成26年には総務省より「公共施設等総合管理計画」策定が全国の自治体に求められ、平成30年までにほぼ全ての自治体で作られている。
 以上が新居浜市、本市に限らない全国の地方自治体の現状であり、計画書の名称や構成はそれぞれ異なるものの、いずれの自治体でもその取組は既に始まっている。
 本市では平成18年度に、行政内部の協議・研究の場として「大府市ファシリティマネジメント戦略会議」を立ち上げている。ファシリティマネジメント(FM)とは、公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会によると「企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動」とされているが、新居浜市のアセットマネジメントの取組も本市のFMの取組も同様のものである。
 本市の取り掛かりとしては、平成18年からFM戦略会議を始めるなど早かったと思われるが、個別の施設ごとにコストや利用状況を取りまとめ、市民に公表される「公共施設白書」は現在に至るまで作成されていない。平成23年には「大府市公共建築物再整備計画(全9ページ)」、さらに総務省の要請を受け、平成29年には「公共施設等総合管理計画(全17ページ)」が策定されているが、残念ながら内容は基本的な方針のみで、施設群ごとについては「個別に定める」との記述に留まる。長期的な経営課題との認識があり、庁内横断的な予算配分と施設の状況を踏まえた3年ローリングの実施計画を計上しなければならないことから、一定の様式ではないにしても行政内部としては資料があるものと推察する。
 当該課題の切実さ、「総論賛成・各論反対」を乗り越えた取りまとめ、推進しなければならない具体的な施設や地域の有無によるところもあるのかもしれないが、公共施設更新の課題に対する自治体ごとの温度差、住民に公表する姿勢の差は大きい。
 本市におけるファシリティマネジメントは、他市と同様に老朽化した公共施設をまずは維持・修繕しつつ、それでもいずれは建て替えを迫られるであろう各施設を前に、どう未来へつなぐいでいくかを考える議論であると考える。人口が増え続けているだけに、総量抑制よりも、このまま都市化が進めば建て替え時の用地確保の方が大きな課題となることから、計画的な公共用地の運用、地域特性を踏まえた機能の複合化、拠点集約化による運営合理化と住民交流による相乗効果、生活の多様化とともに変わる市民ニーズへの対応などにより、「ハコ」ではなく「市民生活・市民福祉の向上」としていかねばならない。
 新居浜市では、公共施設再編計画の推進体制を企画部総合政策課に集約させるとともに、維持・修繕に関する専門員が1名配置されており、長寿命化の予算を毎年2億円から3億円は必ず確保して進めているとのことであった。本市では施設の所管部署がそれぞれに個別計画を持ちながら調整会議で決める形を取っており、集約型というより分散型の態勢となっている。いずれ来るであろう更新の時期に、その施設を今の姿のまま、新しい技術を導入したものに作り替えてことになるのか、それとも地域や住民福祉の前向きな発展のために棚卸しをして取り組んでいくのか、現状では公表されているものがあまりに少なく、心もとないと言わざるを得ない。
 なお、新居浜市の市長部局ならびに市議会におかれては、予めお願いしていた調査項目について以外にも、人口減少や定住促進に関する本市との比較資料を御準備くださり、意見交換の時間を設けていただいた。都市間交流のまちとしての丁寧な御対応に、重ねての感謝を付記しておきたい。

がん教育の取組について【香川県】

香川県の概要

香川県

  • 面積 1,876.73平方キロメートル
  • 人口 956,700人(令和元年8月1日)
  • 瀬戸内海に面し四国の北東部に位置する、8市9町からなる日本の行政区画及び地方公共団体。県庁所在地は高松市。

取組の背景及び目的

 香川県において、がん対策を総合的に推進する「香川県がん対策推進条例」が制定されたのは、平成23年10月のことである。県議会のある会派からの提案を受け、1年間の検討を経て議員提案されたものだ。同条例は「がん対策基本法」を踏まえ、県と県民、市町、事業所の責務を定めるとともに、「がんの予防・早期発見の推進」「がん患者に対する支援」「がん医療の水準の向上」「県民運動の推進」などを謳っているが、中でも特筆すべきは「がん教育の推進」(14条)が盛り込まれた全国初の条例という点である。
 その後、「がん教育の推進」は「第2次香川県がん対策推進計画」(平成25年度から平成29年度)にも明記され、平成25年度には「香川県がん教育推進事業」が開始された。

取組内容と現状

 がん教育の目標を、「がんに関する正しい知識をもち、がんは誰もがかかりうる病気として捉え、家族や身近な人とがんについて話し合い、がんを防ぐ生活行動を実践することができる」こととし、小学校では「身近な生活習慣」「将来の自分や自分以外の家族の健康」を考える「実践的な理解」、中学校では「がんの発生や原因」「望ましい生活習慣」「早期発見・早期治療が重要」であることなどを認識する「科学的な理解」、高校では内容をより発展的かつ総体的に学ぶ「総合的な理解」と、発達段階に応じた知識の積み上げによって「正しい知識」を「生きる知識」へと変化させ、「がん予防に向けた行動変容」を促すことを目指している。
 これらのプログラムは、医療関係者、教育関係者、行政関係者らによる「香川県がん教育プログラム検討会」での検討(平成25年度以降はがん教育のあり方を「がん教育推進委員会」が検討)、校長会など学校関係者への説明会、試行授業及び研究授業を通じて、「香川県がん教育の手引き」にまとめられた。対象学年や指導内容は、「学習指導要領に基づく保健学習や保健指導」を踏まえて設定され、小学校では3年及び6年、中学校では3年の学級活動として行われているが、高校のみ2年の保健体育科の授業として実施されている(プログラム構成は下表の通り)。

香川県がん教育プログラムの構成

対象

単元

授業者

教材

小学校3年生 学級活動
【関連】
体育科「保健領域」
内容:「毎日の生活と健康」
学級担任
  1. 紙芝居 「ガンダーをやっつけろ!」
  2. 事前事後アンケート
  3. ワークシート
小学校6年生 学級活動
【関連】
体育科「保健領域」
内容:「病気の予防」
学級担任
  1. スライドショー「がん博士になろう!がんのひみつ」
  2. 事前事後アンケート
  3. ワークシート
     
中学校3年生
(もしくは2年生)
 
学級活動
【関連】
体育科「保健領域」
内容:第3学年
「健康な生活と疾病の予防」
学級担任、ゲストティーチャー
  1. DVD 「がんちゃんの冒険」
  2. スライドショー 「科学的ながんの知識 がんちゃんと学ぼう」
  3. 事前事後アンケート
  4. ワークシート
高校2年生 保健体育科
内容:「生涯を通じる健康」
保健体育科教諭
  1. DVD 「保健サービスとその活用」
  2. 事前事後アンケート
  3. ワークシート
  4. 資料

 

 上記の表、「授業者」の欄にある「ゲストティーチャー」による授業は、「がん教育ゲストティーチャー派遣事業」による取組である。希望する中学校に対して在宅保健師、がん専門・認定看護師等を派遣するもので、平成30年度までの5年間で延べ92校(同12,619人)に利用されている。また、令和元年度時点でのゲストティーチャー登録数は31名、実施希望校は28校とのことである。
 在宅保健師の取りまとめは、在宅保健師会事務局を兼ねる香川県国保連が派遣調整業務の受託とともに行っており、がん専門・認定看護師は香川県看護協会が募集に協力している。なお、県内の小・中学校、高校等でがん教育に携わる教員、また、派遣登録されているゲストティーチャーと市町村保健師等をそれぞれ対象とした研修会も開かれており、がん教育のあり方についての講演会や情報交換、模擬授業などを通じた資質の向上が図られている。

今後の課題

 平成30年度のがん教育実施状況は、小学校が111校(69.81パーセント)、中学校が55校(75.34パーセント)、高校が18校(42.86パーセント)となっており、県内全校実施の実現には未だ至っていない。「第2次香川県がん対策推進計画」に盛り込まれた「がん教育を実施した中学校」数値目標における進捗結果を踏まえ、第3次同計画でもこの点を課題として認識しており、今後も100パーセントの実施を目指すとしている。
 その上で、「ゲストティーチャー派遣事業」について「学校の要望に沿った内容」「既存のプログラムに捉われない」といった柔軟な運用のほか、外部講師として学校医や拠点病院の医師等が活用されていない点も課題とのことである。また、現在は中学校のみとなっている対象の高校への拡充も検討事項とされている。
 加えて、学習指導要領改正により平成32年度(令和2年度)以降はがん教育が小・中・高校で順次必須となることが見込まれており、健康福祉部から教育委員会への所管の引き継ぎ等の調整及び「香川県がん教育推進委員会」の事務局体制、「がん教育活用の手引き」と文科省提示教材の活用方法も課題となっている。

所感、大府市への反映

 「がんに関する正しい知識の習得と、がんに対する理解の向上を図る」とする目的の観点から、平成30年度実施の「ゲストティーチャー派遣事業」における事前事後アンケートの結果を見るに、一定の効果が認められると言えよう。がんに対する印象や、自分が罹患する可能性、あるいは早期発見によって治る病気であることなどへの認識において、事後アンケートの結果は「正しい知識」に基づく理解の広がりを明確に示している。例えば、「がんは治ると思いますか」との設問において、事前アンケートでは「早く見つけると治る」と回答した生徒が2,219人だったのに対し、授業後は3,274人と1,000人以上の増加を示している。
 「健康都市」を推進する本市にとって特に着目すべきは、「『がん』の授業で学んだことについてどのようなことを伝えたいですか」という設問で、「がん検診を受けることが大事」との回答がトップである点だ。愛知県における大学進学者、大卒就職者の地元残留率は全国トップクラスである。若者の流出が深刻な課題となっている県では、教育による健康施策への影響は限定的にならざるを得ないが、若年層の地元定着率が高い本県であれば、がん検診を始めとする各種検診における受診率の向上等の施策において、教育からのアプローチという長期的な視点にも希望が持てよう。特に「健康都市」をまちづくりの基幹に据える本市なればこそ、がん教育が必須となる学習指導要領の改正に向けた積極的な取組がいち早く求められるのではないかと考える。

このページに関するお問い合わせ

議会事務局 議事課
電話:0562-45-6251
ファクス:0562-47-5030
議会事務局 議事課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。