無所属クラブ会派行政調査報告 令和2年1月22日

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ページ番号1013198  更新日 2020年2月20日

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 令和2年1月22日、兵庫県宝塚市を視察しました。

性的マイノリティに寄り添うまちづくりについて【兵庫県宝塚市】

宝塚市の概要

兵庫県宝塚市

  • 人口225,025人(令和2年1月1日現在)
  • 面積101.80平方キロメートル
  • 宝塚大劇場を本拠地とする宝塚歌劇団はあまりにも有名であり、大阪府と神戸市の間に位置し、ベッドタウンとして人口は現在も増加傾向である。北部は長尾山系の豊かな自然に囲まれ、人口の9割は南部の市街地に集中している。

取組を進めるきっかけ、動機について

 性的マイノリティに関する取組としては、平成25年頃から、各地で理解の促進と支援の必要性の認識が広がり、視察を行った宝塚市議会にも請願が提出された。
 平成27年4月には庁内関係課で構成する「性的マイノリティ支援方策検討部会」を設置。同年11月には性的マイノリティに寄り添うまちづくりを市の基本方針として、「ありのままに自分らしく生きられるまち宝塚」を制定。施策の方向性及び具体的取組を定めており、これをもとに平成28年6月から本格的に取組を進めることになった。

取組内容と現状

1.行政内部及び教育機関について

<行政内部>

 職員研修は、平成27年から毎年開催しており、平成30年度末時点で延べ回数20回、参加者数は1,477人、管理職は参加必須としている。また、専門家やLGBT当事者等の講師派遣も行われている。

  • 公文書等の不必要な性別記載欄を削除(平成16年)
  • 国民健康保険等の被保険者証の性別記載を希望者は裏面に(平成27年)
  • 市職員採用試験申込書の性別欄を削除(平成29年)
  • 「男女共同参画の視点に立った表現ガイドライン」に性的マイノリティの視点を加えた改訂を実施(平成31年)
  • にじいろのまち宝塚ステッカーの作成と公共施設及び本庁舎窓口への貼付、医師会と民生児童委員にも配布(令和元年)

 さらに、平成31年3月には、「宝塚市男女共同参画推進条例」に「性自認、性的指向による差別を禁止」という文言を加える改正を行った。

<教育機関>(平成30年度末時点)

  • 教職員を対象とした研修会(延べ参加人数587人)、初任者研修(延べ参加人数117人)
  • 幼稚園・保育所職員向け研修会(延べ参加人数321人)
  • 子ども向け電話相談窓口案内カードの作成、公立全小中学校に配布
  • 理解促進の絵本を学校図書室又は保健室に配架(平成28年、平成30年に実施)
  • 絵本を幼稚園・保育所に配架(私立含む。平成28年から平成30年)
  • 就学前から中学校まで発達段階に応じた保育・授業モデル案の作成、配布(平成29年)
  • 中学校制服におけるスカートとスラックスの選択可(全12校中11校、1校は制服のデザイン等に課題がある)

2.広く市民に向けた取組について

  • 市広報紙に特集記事(平成28年7月)
  • ホームページ、ツイッター開設(平成29年)
  • 市民向けリーフレット、ポスター、電話相談案内チラシ等の作成、配布
  • 市民向け講演会を毎年3回から4回開催、延べ1,366人参加(平成27年度から)
  • 電話相談を毎週水曜開催(相談件数は、平成28年度6件、平成29年度75件、平成30年度102件、令和元年12月末時点118件)
  • 公共施設のトイレ表示を「多目的トイレ」から「だれでもトイレ」に(平成29年)

3.パートナーシップ宣誓制度について

 正確には「宝塚市パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」。同性パートナーを尊重する仕組みとして平成28年6月に制定した(国内4番目)。「人権尊重の理念に基づき、市民一人ひとりの人権が大切にされ、多様な生き方を認め合い、誰もが自分らしく暮らせる社会を目指し」(第1条)たものである。現在までに9組が宣誓を行っている。具体的な行政の対応としては、主に下記のとおり。

  • 市立病院への入院時の保証人、手術の承諾、診察券の性別表記の取りやめ
  • 市営住宅への入居受付可
  • 犯罪被害者支援として、遺族支援金の受取可
  • 市職員互助会の結婚祝い金支給

 現在は28自治体で同様の仕組みを設けており、直近では令和2年1月に大阪府でも制定に至っている。

課題及び今後の取組について

 啓発は、継続すれば必ず意識が向上し、効果が上がるものなので、今後も継続していく。パートナーシップ宣誓要綱は、同様の制度を設ける自治体が増えるにしたがって、充実したものが定められているため、令和元年度中に見直しを行い改正していく考えである。
 市議会においても、取組当初は時期尚早との声もあったが、最近は「ちゃんとやれているか」等の後押しの意見も出ている。

所感、大府市への反映

 取組を進める基礎となるものとして、宝塚市には「人権尊重宣言都市」という市の基本理念がある。平成12年施行「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」の自治体の責務の規定に基づき、「宝塚市人権教育及び人権啓発基本方針」を策定。現在は第3次方針(平成30年3月から)となっている。
 背景には、部落差別が残る自治体風土も伺われ、市の組織として「人権」を冠した部署があることに驚いたが、逆に「ないんですか」と驚かれてしまった。本市を含む近隣では、部落差別への意識が良くも悪くも希薄であり、故に「人権」そのものの啓発や教育が、いささか後発となっている感を抱いた。
 昨今は、自治体の取組のムーブメントの一つとの見解もある。宝塚市の取組の経過をお聞きすると「性的マイノリティは人権問題である」という市長の見解ももちろんであるが、戸籍や相談窓口等で実際に対応し、性的マイノリティの課題を実感せざるを得なかった福祉分野では、自殺対策の原因調査で性的マイノリティに起因するものが多く見られた等のお話があり、トップダウンだけでない、本質的に求められる政策であることがわかった。
 パートナーシップ宣誓制度は、法的に支えるものでなく、運用を担保するものであるが、アウティング(性的マイノリティを公表すること)を伴うものであるため、実際に社会生活で困っていても申し出にくいものでもある。よって、制度を利用する実数で評価をするべきではなく、「性的マイノリティも生きやすいまちにしていく」という自治体の意思表示の効果が大きいものである。
 宝塚市男女共同参画推進条例に性的マイノリティの差別の禁止を追加した点については、改正に当たり、様々な検討を行った。しかし、今でもまだ男女差別はあるので、是正を進めていくことは継続しないといけないと確認し、全ての人が性別にとらわれず、自分らしく生き生きと暮らせるまちの実現を目指す条例の目的に沿ったものと考えた、とのことであった。
 また、理念を持ち、多くの具体的取組を進められてきているが、市内にある大学から専門性の高い学識者として、宝塚大学の日高教授に継続的な助言や講演等にも自ら出ていただくほか、研修での多様な講師を御紹介いただくなどの御助力があったことは特筆すべき点である。
 本市においては、近年、各種書類の性別記載欄の状況調査がされておらず、そもそも人権に関する啓発、教育も具体性が感じられない。性的マイノリティの権利擁護施策は早々に着手すべきであるが、まずは、その必要性の認識を持ち、何らかの計画に反映していくことから始めないといけない。現状の青少年女性課が所掌する事務の質や量とあわせて、本市の多くの課題を認識できた視察であった。

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