公明党会派行政調査報告 令和7年1月22日

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ページ番号1034103  更新日 2025年2月5日

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令和7年1月22日に大阪府和泉市を視察しました。

BNP検査について【大阪府和泉市】

大阪府和泉市

取組の背景、目的について

 現在、120万人の心不全患者がいると言われている。近未来的に患者数の増加が続くと予想されており、こうした状況は「心不全パンデミック」と呼ばれている。
 少子高齢化と2025年問題に直面する中、和泉市では、確実に医療需要の増加が見込まれる心不全患者へ効率的な医療を提供するためには、医療連携が必須であるとされていた。
 そこで、和泉市医師会は、2021年8月に「心不全地域連携推進委員会」を設立した。医師、訪問看護師、ケアマネージャーが、和泉市立総合医療センターや府中病院と協力し、数回の研修会を開催した。
 背景には、2018年12月に「健康寿命の延伸などを図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(循環器病対策基本法)」の成立、2020年10月に「循環器病対策推進基本計画」が閣議決定され、心不全の予防・治療体制整備が国全体で進んでいたこともある。
 和泉市は、2022年6月、和泉市医師会から和泉市の関係課に対して心不全に関する研修会参加の案内を受け、連携推進のための知識向上を図ることとした。
 
 和泉市医師会では、患者を対象に心不全に関する独自調査を実施した結果、BNP検査が心不全の早期発見や増悪予防に有効であることが判明し、「心不全疑い」の患者に対してBNP検査を行うことで、心不全ステージBの患者を早期発見できる可能性を示した。
 そこで、2023年6月1日、和泉市医師会会長は市長へ要望書を提出した。心不全の早期発見が市民の健康維持、死亡数や医療費削減、要介護状態予防に重要であることを主張し、特定健診時にBNP検査を追加することを要望した。
 2023年11月には、財政部局への予算要求がなされたが、当初、財政課査定で認められなかった。しかし、2024年1月に復活要求を実施し、副市長・市長査定を経て、2024年度当初予算として確保された。

取組の取組内容について

 2024年5月から心不全検査(BNP検査)の実施を開始した。

  • 特定健診時の追加検査(単独実施はしていない)として、自己負担500円でBNP検査を導入
  • 対象:50歳から74歳で、医師が検査の必要性を判断した人

 和泉市では、地域包括ケアの一環としてBNP検査を導入し、心不全患者の早期発見・医療連携体制の強化を進めている。

現在の課題について

 2025年1月8日時点での実績は、2024年5月から11月の時点での受診者数は1,568人で、精密検査を必要とされ、かかりつけ医等のない方は277人いた。精密検査の受診者数は161人で、新たに心不全と診断された人は9人とのことだった。
 委託単価は3,047円で、受診者の一部負担金500円を除いた2,547円が医療機関への支払単価となる。市民5,000人を対象に予算化しているが、50歳以上なら誰でも対象になるのではなく、医師が必要性を判断した人が検査対象となるため、検査の受診者が少なく、次年度以降の予算確保に影響が懸念される。
 

今後の取組について

 今後は、精密検査の受診者数を増やしていくための保健指導を行う必要がある。
 心不全と診断される陽性反応的中率は現時点で2.7%であるが、国の指針がないため、適切な数値かどうかは、今後検証していく必要がある。

本市への反映と所感

 和泉市では、「性別主要疾病標準化死亡比の推移」において、2013年から2017年の5年間では、心臓病が大幅に増えている。大阪府と比較して、和泉市は、男女ともに総死亡率は同程度であるが、心臓病のみ増加している(男性で1.2倍、女性で1.3倍)。高齢化に伴い心不全は増加するが、和泉市では心臓疾患で亡くなる方が突出して多くなっていることが、この事業開始の契機でもあった。
 本市の状況は、今後調査する必要があるが、早期の段階で発見できることにより、心不全発症を予防できる。現代では、心不全は、発症を予防できる薬が開発され、未然に防ぐことができる病の一つになっていることに鑑みると、大いに参考にすべき事業である。市民の健康寿命の延伸、医療費や介護保険費の抑制にも寄与できる事業である。

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議会事務局 議事課
電話:0562-45-6251
ファクス:0562-47-5030
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