自民クラブ会派行政調査報告 令和5年1月17日から19日まで

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ページ番号1026040  更新日 2024年2月1日

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令和5年1月17日から19日にかけて、公明党と合同で、沖縄県うるま市、浦添市及び読谷村を視察しました。

既存公園の公民連携について【沖縄県うるま市】

取組の背景、目的

沖縄県うるま市

 うるま市内には、身近な公園から多目的利用のできる運動公園まで、大小様々な約100カ所の公園がある。これまで公園施設の整備と維持管理に努めてきたが、市民が期待する管理水準への適合が困難であり、公園を日常的に利用してもらうための機能の充実及び利便性の向上に向けた取組が進まない状況にあった。そこで、平成29年の都市公園法の改正後、公民連携による既存公園の利活用及び再整備について継続的な検討を行い、公園機能の充実及び利便性の向上により、魅力ある公園づくりを目指している。

取組の内容

 令和元年より公民連携による既存公園の利活用及び再整備の検討を進めており、令和2年に関連機関への周知と意見交換を経て、令和3年11月、うるま市初となる都市公園法の「設置管理許可制度」を活用したカフェが石川運動広場にオープンした。オープン後はカフェ主催によるフリーマーケットや音楽イベント等を定期的に開催し、公園の賑わいを創出している。
 その他の公園については、公園の評価、管理運営方針等について整理し、公園カルテの作成及び手続きフロー等を検討している。

現在の課題等

 各公園の活用方針が未確定であることから、市民や事業者等からの要望に対して、市として統一した考えに基づいた対応ができていないため、方針を決定し、庁内での合意形成が必要である。また、公民連携に係る職員のスキル・ノウハウが不十分であり、手探りで取組を進めている状況にある。
 先行している石川運動広場の課題については、まだまだ周知が不足しており、利用促進に向けた広報活動が必要とのことであった。

今後の取組

 Park-PFI等の民間の活用促進に向けて、基礎調査及び公園カルテをもとに、導入の可能性が見込める公園の選定及びサウンディングの実施を予定している。また、民間誘導(設置管理許可)については、事業者選定方法の手法を整理し、事業者に向けた情報発信とサウンディングを実施予定である。

所感及び大府市への反映

  • 今回視察した石川運動広場は、今までは管理が行き届いていない公園だったが、商工会議所に声掛けをしたところ、民間事業者の一つが、応募してきたということだった。事業者側のメリットとして、年間の借地代が1平方メートルにつき500円ということで、この広場では年間5万円、また、駐車場やトイレは既設のものが使えることで、かなりの低コストで事業が開始できるところにある。市役所側のメリットとしては、年間5万円の利益が出ている点や、契約の中に公園の維持管理を含んでいるため、常に整備された状態が維持でき、何より市民の公園利用が増えることが予想される点である。つまり、うるま市が目指す、公園の官民連携による市民・事業者・行政の3者がwin-win-winとなるような取組になっていると感じた。
  • Park-PFIと比べて「設置管理許可制度」はハードルが低く、事業者にとっても低リスクで事業が開始できるため、まずは「設置管理許可制度」から始めてみてはどうか。
  • 常設店舗はコストが掛かるので、天候や感染症流行等のリスクに対して柔軟に対応できるキッチンカーから始めて状況を判断するのがよいのではないか。
  • 商工会議所と連携を図り、事業を推進することが肝要である。
  • 公園によっては様々な出店が考えられるので幅広く検討し、運営方法についても市の管理、委託、指定管理、Park-PFI等、あらゆる角度から検討するのがよいと考える。
  • コロナ禍で市民の公園利用が増えているため、本市においても「設置管理許可制度」による民間事業者の活用を促していくことで、市民・事業者・行政がwin-win-winとなるような事業が展開できると十分考えられる。

子どもの貧困について【沖縄県浦添市】

取組の背景、目的

沖縄県浦添市

 平成27年に実施された子どもの貧困率の調査によると、全国平均15.6パーセントに対して、沖縄県29.9パーセント(参考:愛知県5.9パーセント)であり、全国に比べて深刻な沖縄の子どもの貧困に関する状況に対応するため、浦添市では、平成28年度から、内閣府の補助事業を活用して「子供の貧困対策支援員配置事業」及び「子供の居場所運営支援事業」を実施することになった。

 

取組の内容

  1. 子供の貧困対策支援員配置事業
     支援員は、一定の資格要件のある方を会計年度任用職員として採用しており、「貧困」という言葉を避けるため、名称を「てだこ未来応援員」としている。
     支援員は、子どもたちが集う場所(学校・児童センター・子供の居場所・自治会等)に日々出向き、学校の先生やコミュニティソーシャルワーカー・民生委員・自治会等の関係者と連携し、支援を必要としながらも、支援につながっていない子どもたちを探し出し、行政(生活保護や就学援助等)や社協、民間団体等が実施する様々なサービスへのつなぎ役として活動する。
     当初は、11ある小学校区に1名ずつ支援員を配置していたが、既に配置されていた学校支援員やスクールソーシャルワーカーの方から、今、既にいる様々な支援員の連携によって子どもたちへの支援はできているとの意見があったため配置を見直し、現在では五つの中学校区に1名ずつ、計5名の配置となっている。
     令和3年度の実績としては、支援した世帯数169世帯、支援した人数278人(実数)、支援につないだ数は、子どもの居場所へ104人、行政機関へ54人、学校等へ200人(いずれも実数で、重複有り)となっている。

  2. 子供の居場所運営支援事業(こども食堂とも呼ばれる)
    <従来型子どもの居場所(オープン型)>
     子どもの居場所とは、学校や家庭以外の、子ども自身がほっとできる場所のことで、そこでは、「食事の提供」「生活指導(生活マナーや挨拶の指導など)」「学習支援(難しいことをやるのではなく、宿題の支援等が中心)」「キャリア等形成支援(職業観を育てること、社会見学等)」等を行っている。
     現在、浦添市では、子どもの居場所(こども食堂)が24カ所運営されており、補助団体と自主運営団体の2種類がある。市からの補助金を一部活用しながら子どもの居場所を運営している補助団体が8団体、市からの補助金等を受けずに、寄附・寄贈を活用し運営している自主運営団体が16団体となっており、将来的に市は、全て自主運営団体にしたい意向である。
     令和3年度の実績は、9団体(補助団体のみ 令和4年度中に1団体が自主運営団体に移行)の集計であるが、開所日数(延べ)935日、利用した子どもの数(延べ)11,039人、1日当たり11.8人となっている。

    <拠点型子どもの居場所(クローズ型)>
     従来型の子どもの居場所では十分な対応が出来ない子ども及びその保護者に対し、一人一人に応じてソーシャルワークを行いながら手厚い支援を行うことで、自立を促すことを目的とする居場所「あすてっぷ浦添」を令和4年7月から開設しており、送迎の支援もある。
     対象となるのは困窮世帯の子ども、不登校の子ども、ネグレクト等の養育環境に課題のある世帯の子どもとなっている。

    <学習支援型居場所(無料塾・学習支援教室)>
     経済的な理由により、塾に通えない生活保護世帯、就学援助世帯の中学生を対象として、無料塾「てだこ未来塾」を開設している。令和3年度の実績は、高校進学率100パーセント(41名)となっている。

現在の課題等

 子どもの貧困対策と一言でいうものの、その背景には「子ども」「教育」「ひとり親」「就労」など、課題が広範多岐にわたると考えられる。そのため、各分野における「子どもの貧困対策に資する取組」の連携をいかに図るかが課題と認識している。

今後の取組

 子どもの貧困に関する課題を庁内で共有し、各課(分野)における子どもの貧困対策に係る諸施策を総合的かつ横断的に推進することを目的として、「浦添市子ども貧困対策等推進庁内連絡会」を設置する。

所感及び大府市への反映

  • 子ども食堂の6割強が、寄附・寄贈等を活用しながら地域に支えられて運営されており、利用する子どものいわゆるレッテル貼りはあまり意識していないように見受けられた。これは地域性によるところがあるかも知れない。愛知県は所得水準が高いだけでなく、所得格差も相対的に低いことから、当市を含む愛知県の子どもの貧困率はかなり低い水準にある。それゆえに、生活困窮者向けの支援をする際に、対象を限定し直接的な支援を行うと、真に、あるいは潜在的に支援を必要とする市民が周りの目を気にして利用しづらくなることも容易に想像できるが、当市においても、外国籍やひとり親家庭、困窮世帯等の子どもの相対的貧困は確実に存在すると考えられる。
  • 「絶対的貧困は目に見えるが、相対的貧困は目に見えない貧困である」と言われている。だからこそ、子どもの貧困を探し出して、あらゆる手立てをしていくことが必要であることを学んだ。
  • 子どもの貧困対策は、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないように、困窮の連鎖を断ち切ることが目的である。その手法は決してこれといった正解があるわけではなく、地域、家庭、個人ごとに状況が異なっており、今後ますます深刻化・複雑化すると考えられる。「家庭とつながる」「関係性を築く」「変化を見つける」ために、多くの組織のネットワークが必要であり、かつ庁内でも1係だけの課題ではなく横断的な組織の課題として捉えなければならない。また、直接子どもの貧困対策を担当する相談員に、過剰な負担を強いることがないような仕組みづくりが必要と考える。

平和交流行政について【沖縄県読谷村】

取組の背景、目的

沖縄県読谷村

 昭和16年12月8日に太平洋戦争が勃発した。米軍は昭和20年4月1日に読谷村から無血上陸すると、同年4月5日には比謝に米国海軍軍政府を設置し、読谷村は全域が占領地となった。終戦直後は約95パーセントが占領され、次第に復興されたが、現在も約36パーセントが占領されている。基地があることで、ヘリコプターの落下等、訓練等による事故が絶えないため、領土を取り戻すことが平和行政の第一歩であるとし、返還された土地の利用によって、安心して暮らせるまちづくりを進めている。また、読谷村平和行政の基本に関する条例を制定し、平和行政を推進するための事業の一つとして「国内及び国外の諸都市との平和に関する交流」を掲げている。

現在の取組

 令和4年は、本土復帰50周年を迎えた記念すべき年だったが、戦後77年が経過し、戦争を体験し、語り継ぐ人々が消滅しつつあることから、戦争の悲惨さや平和の尊さを忘れないために、記憶を継承し、記録を残して活用する取組を行っている。読谷村観光協会においては、平和戦跡ガイドをチビチリガマ・シムクガマ等の現地に派遣し、平和学習を行っている。

今後の取組

 「平和に勝る福祉なし」を平和行政のキーワードとし、読谷村ゆたさむらビジョンに基づいて、基地から夢のある地域づくりを目指していく。

所感及び大府市への反映

  • 今回、多くの住民が犠牲になった沖縄を視察し、改めて「戦争を起こさないために何ができるのか」について考えることができた。
  • 戦争体験者の政治家は、「戦争を知っているやつが世の中の中心である限り、日本は安全だ。戦争を知らないやつが出てきて日本の中核になったときが怖い」と言ったそうである。戦争を知らない世代が中心となりつつある平成15年には、大府市でも「戦争体験者の冊子」が発行され、警鐘を鳴らした。そのような本市では、中学生の平和大使の沖縄派遣を行っている。その報告の中では、「現地の現状や沖縄の人々の戦争・平和に対する思いを知り、改めて戦争の恐ろしさ・平和の大切さを実感することができた」と参加者全員が言っている。今後は、本市の中学生全員が参加できるようにするためにも、修学旅行の行き先を変更する等を検討していくことが必要であると考える。
  • 今まで本やマスコミを通して想像していた戦時中や、現在の状況が実際とは違っていた点が多く、現場を直接見て、現地の人の話を直に聞くということがとても大切であると実感した。そういった意味で、本市が行っている平和大使派遣事業は大いに意義がある。
  • 戦争の悲惨さを知ることで「戦争は絶対悪である」と認識させることが平和教育の基本であるという一方で、現実にはどのように平和が維持されているのかということを学ぶ機会(自衛隊活動の視察など)も大切なのではないかと思った。
  • 未だに土地の約36パーセントが返還されておらず、故郷に帰れない人がいるという事実を知り、読谷村の人たちにとっては、まだ戦争は終わっていないのかもしれないと感じた一方で、沖縄戦を体験した人たちが減少し、伝承する機会が失われつつあるため、実際にチビチリガマ等の現地を訪れて戦争の悲惨さを体感し、改めて平和の尊さについて考えることが大切であると感じた。現在、本市では、平和大使として中学生数名が派遣されているが、できれば全員参加が望ましいと感じた。

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