市民クラブ会派行政調査報告 2026(令和8)年1月14日から16日まで
2026(令和8)年1月14日から16日にかけて、高知県高知市、香美市及び兵庫県三木市を視察しました。
高知市子どもまちづくり基金助成事業 「こうちこどもファンド」について【高知県高知市】
取り組んだ経緯(背景・目的)

- 「高知市まちづくりファンド」の発足
2003(平成15)年に市民同士、市民と行政がつながり、市民の自主的なまちづくり活動を支えていく仕組みづくりとして、「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例」を制定した。条例に基づき、様々なまちづくり活動の促進やNPO活動、地域コミュニティ活動の活性化を目的とした公益信託「高知市まちづくりファンド」が創設された。 - 「こうちこどもファンド」の創設
2011(平成23)年6月に「高知市まちづくりファンド」の今後の継続に関する検証と、子どものまちづくり活動に対する新たな助成制度に関する検討委員会が設置され、「こどもファンド」の制度設計の方向性が議論された。「子どもが中心となって行うまちづくり支援制度」については、ドイツ・ミュンヘンが先進的な取組をしていたことから、現地視察を行うなど、ミュンヘンの取組を参考に制度設計を検討した。
委員会での検討を経て、2012(平成24)年4月に「高知市子どもまちづくり基金」を設立し、基金を財源とする「こうちこどもファンド」という「子どもたちのアイデアで住んでいる地域等をより魅力的で、住みよいまちにするための活動」や「子どもたちの活動によって誰かが喜んでくれる活動」を応援する助成制度が開始された。
取組の内容と現在の状況
(1)「こうちこどもファンド」がめざすもの
- 将来のまちづくりを支える人材育成 (自分たちのまちを自分たちで良くする)
- 「こども」を中心としたまちづくりの活性化
- こどもに優しいまち(高知市)の実現
(2)「こうちこどもファンド」の仕組み
1)基金の仕組み
行政からの出資金2000万円と市民・企業の寄付を財源としたファンドとなっている。
設立後、2024年までに累計約1,670万円の寄附(市民68名、企業277事業所)
※継続的に年間約100万円の寄付があり、ファンドが維持されている
2)ファンドの応募条件
市内に在住又は通勤通学している18歳以下のメンバーが3人以上いること
1のメンバーが1つの家族(兄弟姉妹)だけでないこと
サポートしてくれる大人(20歳以上)が2人以上いること
3)助成金額
1事業当たり上限20万円までとする(助成の対象は、事業に必要な材料費・文房具代・印刷費・講師謝礼等の経費)
4)制度の特徴と活動の内容
※提案・審査・活動の全てにおいて「こどもが主体」となる全国的にも珍しい制度
※こども審査員:応募した活動に対して助成するかの審査を子どもたちも行う。
5)2025(令和8)年度の活動助成
小学生1団体、中学生3団体、高校生4団体の8団体に助成
成果・課題
(1)成果
1)2020年4月に高知市まちづくり活動検討委員会を立ち上げ、こどもファンドの10年の取組や成果を整理した。
- 「こども」が育っている:これまでに活動したこどもたちは延べ1,868人
- 「こどものチカラ」が「地域のチカラ」に:関わった大人サポーターは延べ340人
- 市担当者の意識の変化:市民目線、子ども目線の企画に役立っている。
- 他県市町村からの注目の高まり:宮城県名取市、神奈川県茅ケ崎市などへ広がり
2)ファンドでの助成実績(2012年から2025年までの13年間)
助成件数:99件
助成金額:約1,400万円
3)取り組んだ活動の実績(抜粋)
清掃:シャッター落書き消し、環境啓発イベント、学校周辺の清掃活動
防災:防災劇の披露、ガラス拡散防止フィルム貼り、炊き出し訓練
食 :料理教室の開催、地域の畑で野菜づくり、地元食材を使った食事会
交流:お祭りイベント、スポーツで交流、英語を使ったゲーム
他にも地域マップや新聞作成、商店街の振興、交通安全啓発、ペットと人間の共生など多岐にわたり助成
(2)課題
1)こうちこどもファンドの認知度向上
市民へのアンケート調査では、約64%の人が知らないと回答している。寄附支援の広がりや寄附者とのより広く、より深い関係づくりが必要
2)大人のサポーターやアドバイザーの支援拡大
様々なニーズに対応可能なアドバイス体制の構築と、こどもファンド経験者が継続して関わってもらえる仕組づくりが必要
所感・大府市への反映
- 「住んでいる地域や学校の周りをもっと暮らしやすいところにする」ことを目的として、「全てにおいて子どもが主役」ということで、子どもたちが身近な課題を自分事と考え、活発に活動できていると感じた。
- 子どもが主体になることで、周りの大人を動かす大きな力になっている。
- 子どもが「社会をつくる主体」として活動し成果が出ることは、子どもの自主性や自己肯定感、社会参画意識を高める貴重な経験となっている。
- 大府市では、高校生以上の若者会議が設置され、事業化されているが、参加対象年齢を下げた取組を検討してはどうかと考える。
- 子どもの頃から社会参画意識を高めることができる活動は、今後の成長のために重要になると考える。
国際バカロレア教育推進事業について【香美市立大宮小学校】
【国際バカロレア教育(International Baccalaureate(IB))とは】

国際バカロレア機構(本部:ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。IBは、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来に対して責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格を与え、様々な国の大学への進学を確保することを目的に設置された。
世界153以上の国や地域に約5,000校の認定校がある。日本国内では、認定校等数は191校(2025年3月現在)あり、PYP(3から12歳対象)認定校は76校(うち公立小学校は2校のみ)、他に年齢別にMYP(11から16歳対象)DP (16から19歳対象)IBCP(16から19歳対象)がある。
取り組んだ経緯(背景・目的)
香美市の教育理念「郷土を愛し、未来を拓く人づくり」の考えのもと、学校と地域が相互に補完し高め合う存在として、地域とともにある学校づくりを進めてきた。社会の急激な変化を受け、従来の「正解を求める教育」に疑問を持ち、変化に対応できる教育の必要性を認識した。
IB教育の使命である多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探求心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としている点に着目し、2016(平成28)年にオーストラリアにあるIB認定校を視察した。子どもたちが自ら課題を持ち、解決方法を考える姿に感銘し、IB教育による「探求的な学び」と「地域との連携・協働」で教育理念の実現に取り組むことを進め、令和2年に国際バカロレアPYP認定校となった。
取組の内容と現在の状況
公立の小学校であるため、一般の授業から逸脱することなく、基本授業時間を確保しながら、IB教育内のプログラムをこなす必要がある。教科の枠を超えた探究のプログラムとして各学年で6つのテーマを探究している。
(1)IBが目指す10の学習者像
学習者像とは、「IBの使命」を具体化したもので、「国際的な視野をもつとはどういうことか」という問いに対するIBの答えの中核を担っている。

- 探求する人
- 知識のある人
- 考える人
- コミュニケーションができる人
- 信念を持つ人
- 心を開く人
- 思いやりがある人
- 挑戦する人
- バランスの取れた人
- 振り返りができる人
※各単元や毎月の活動目標を立てる時に「目指す像」を子どもたちに意識させている。
(2)教科の枠を超えた学び・概念的理解
理解を深化させるため、各ユニットに探求のラインを示して各テーマに取り組んでいる。
※重要なものの見方として、以下7つの視点での「概念の眼鏡」をかけて自分で考える。
「特徴」:それはどのようなものか
「機能」:それはどのように機能するのか
「原因」:それはなぜそうなるのか
「変化」:それはどのように変わっていくのか
「関連」:それは他のものとどのようにつながっているのか
「視点」:どのような見方があるのか
「責任」:私たちにはどんな責任があるのか
(3)教科の枠を超えた6つのテーマ(PYPのプログラム)
テーマは、全ての文化に生きる全ての児童に対して、地球規模で普遍的で世界中で学ぶ価値のあるテーマとして設定し、6年間繰り返して学ぶため結果として、広く深みのある、連続性のあるカリキュラム内容として浸透している。
(4)教科の枠を超えた探求のプログラム
1年生から6年生まで毎年上記6つのテーマを探求する(6年間で36テーマ)
セントラルアイデア:消費者の選択と環境は関係する(なるべく抽象的な表現)
テーマ説明:限られた資源を他の人々や生物と共有するに当たっての権利と責任
探求ライン:ごみの種類と行方の探求(機能)
ごみとは何かの探求(視点)
環境を守るために私たちにできることの探求(責任)
総括課題 :一人の消費者として地球環境を守るために取り組んだことをポスター
で呼び掛けよう
教室や廊下などに各自のアウトプットが掲示され、誰もが内容を見えるようになっている。
6年生は、「エキシビジョン」(個人が1年を通じて探求した成果)として地域の人を交えて発表を実施している。
成果・課題
(1)成果
- 6年間、6つのテーマを繰り返し探求することで、知識だけでなく、学びのスキル(思考的スキル・コミュニケーションスキル・リサーチスキル・自己管理スキル・社会的スキル)が身に付いている。
- IB教育では英語を使うことが多いため、自然と英語や国際感覚が養われている。
- IB教育は、大宮小学校の導入後、2024年に香北中学校も認定校となり、9年間の小中一貫体制ができた。
- 子どもがテーマ探求のため、地域へ出ることで、地域の人との関係を持ち、教育理念である「郷土を愛する」につながり、学校を核とした地域づくりにつながっている。また、地域も子どもの活動を見守り、学校に関心を持ってもらうことで、地域住民も協働の心と生涯学習の考えが浸透してきている。
- 人口流入効果として、これまでに3家庭が移住した。
(2)課題
- 認定校を継続するため、認定継続料として年間約100万円の費用が必要。公立校のため教員の異動もあり、教員のIB指定の有償研修も必要となる。
- 公立校として毎年数名の教職員の人事異動がありIBレベルを維持していくこと。放課後の時間帯でIB教育のため(IBミーティング、ワークショップ)で共有している。
所感・大府市への反映
- 授業見学では、児童が自ら課題を見つけ、主体的に学習へ取り組む姿が見られ、大変印象的であった。
- 過去のエキシビションの映像も見させていただき、自分の学びを整理し、わかりやすく表現しており、探究的な学びが確実に根付いていることを実感した。
- 「正解は一つではない教育」そのものに取り組んでおり、これからの時代は、国際バカロレア教育のようになっていくのかと感じた。
- 保護者や地域住民を巻き込む取組は、地域で子ども育てることにつながっていると思う。
- 学校を核とした地域づくりの考えなどは参考にしていきたい。また、テーマを探求するプロセスにより「計画~調査~分析~まとめ~振り返り」のPDCAサイクルと探求する力が自然と身に付き、子どもたちの主体的な学びの姿勢への変化は、子どもの生涯にわたって役立つと感じた。
縁結び課の取組 婚活支援「みきで愛サポートセンター」について【兵庫県三木市】
取り組んだ経緯(背景・目的)

三木市の人口は、1970年頃から神戸市のベットタウンとしてニュータウン開発により急激に増加し、1997年に88,232人とピークを迎え、その後は、若者の市外流出や出生率の低下により人口は継続的に減少していた。高齢化率も進んでおり、2015年には30%を超えた。人口減少と高齢化がそのまま進むと人口消滅可能性都市となり、自然減・社会減対策が必要な状況にあった。
結婚と出産の関連性は高く、出生率減少の要因として、未婚率の上昇に着目し、少子化の課題解決や晩婚化の解決に向け取り組んだ。
- 2001年 みきハート・まちおこし実行委員会を設立
- 2008年 みきで愛(出会い)サポートセンター設立
- 2014年 縁結び課の新設
取組の内容と現在の状況
市役所内の担当部署として、縁結び課を設置し、男女の出会いの場の創出と結婚まで面倒を見てくれる縁結び事業を「みきで愛(出会い)サポートセンター」に委託して進めている。
縁結び課は、以下のような多様な業務を行っている。
1)地方創生総合戦略事業 創生計画の進捗管理及び創生委員会の開催
2)インバウンド戦略推進事業
・公民連携による地域資源をつなぐ体験型ツーリズム造成
・ひょうご観光本部等、広域連携による自走できる体制づくりの構築
・近畿経済産業局との地域ブランドエコシステム構築
3)縁結び事業
・みきで愛サポートセンターに委託し、独身男女の出会いの場を創出
4)移住・定住促進事業
・結婚新生活支援事業
・市民参画による移住促進PR活動等
5)ふるさと納税
・返礼品を通じ、市内企業の活性化を図る。
・三木金物、ぶどうなどの特産品をPRするとともに、ゴルフ・乗馬などの体験型返礼品を企画し、交流人口及び関係人口増加を図る。
6)空き家バンク
・2020(令和2)年にホームページ化。移住情報などを一元的に発信
7)団地再生事業 団地再耕プロジェクトの推進
(1)縁結び事業(みきで愛サポートセンター)について
1)パーティ部門 みきハート部会の取組で2から年に3回パーティを実施
・2001年から開始、成婚者は13組(2025年3月現在)
・パーティは、応募参加型のため未登録制
2)お見合い部門 登録者(相談者)同士のお見合い
・2008年から開始(センター発足と同時)、成婚者は、137組(2025年3月現在)
・登録すると、担当サポーター(ボランティア)が決まり、結婚相談役としてお見合い前後のサポートから成婚までを一緒に活動する。
3) 婚活応援団(民間主催でのパーティサポート)
・市内で行う民間主催パーティの後援(広報や開催場所のサポートなど)
・コロナ明けの2022年から活動が活発化してきた。
・2024年度は、19イベントに518名が参加。109カップル成立(成婚の実績は不明)
(2)お見合い部門の取組
1)出会いサポーター(お見合いおばちゃん)
・現在男性5人、女性13人の18人が登録。年齢構成は60から80代の方が大半であり、サポートセンター発足時にボランティア募集したうち10人が継続している。
・サポーター1人で10人程度の相談者を担当し、お見合い前後の世話をしている。
・ボランティアへは、月に2,000円の経費の支給と格安携帯を市の負担で貸与している。
・サポーターが縁結びした105組の成婚者は、今のところ離婚者ゼロが誇りであり、結婚後も夫婦と仲人的つながりがあることが特徴的である。
2)相談者の登録
・登録後のサポート期間は、2年としている。(結婚に向け、本気で取り組む)
・年齢制限は、20代から40代としている(結婚から定住、出産を期待している)
・成婚年齢平均が、男性35歳⇒40歳、女性33歳⇒35歳へと晩婚化の傾向にある。
・毎年、男女各30人程の新規登録者があり、現登録者数は200人程度で推移している。
成果と課題
(1)成果 人口消滅可能性都市からの脱却(直近10年間で改善)
1)市内への定住
成婚カップルの新居は、市内定住が約6割、市外が4割となっている。
2)成婚による効果
・市内定住者増 成婚86組172人+生まれた子ども74人による人口減少抑制
・定住者増による市内での年間消費額増
(2)課題
1)サポーターの高齢化等による次世代育成
⇒サポーター募集について検討
2)コロナ後の相談者の減少と相談者の高齢化(晩婚化)
⇒企業等団体による「婚活応援団」の活用
所感・大府市への反映
- 縁結び課という独特の名称が印象的であり、単に婚活支援の縁結びだけでなく、三木市とそれ以外の関係者との幅広い縁結びを業務としている組織体制は、市の思いを感じられた。
- 印象的だったのは、地域を支えるサポーターとして活躍する“地域のおせっかいおばちゃん”の存在で、「人生の残りの時間を他の人の幸せに使いたい」という思いを原動力に、金銭ではなく“人の幸せ”を願う気持ちで活動されており、その姿勢が地域全体の温かさをつくり出していると感じた。
- また、結婚を進めるだけの取組ではなく、「人づくり」から「まちづくり」へとつながっているとの説明もあり、大府市でも世話好きで行動的な高齢者は多くいると思われ、同様の活動はできるのではないかと思った。
- 婚活サポートも「婚活アプリを使う人は、もともと自分で婚活できる人のものであり、行政が行うお見合いサポートは、ターゲットが違う。」、「縁結び課は、婚活ができない人の支援である。」という視点は、参考にしていきたい。
このページに関するお問い合わせ
議会事務局 議事課
電話:0562-45-6251
ファクス:0562-47-5030
議会事務局 議事課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。
