市民クラブ会派行政調査報告 令和5年7月3日から5日まで
令和5年7月3日から5日にかけて、秋田県能代市、横手市及び岩手県遠野市を視察しました。
バスケの街づくり推進事業について【秋田県能代市】
取り組んだ経緯・背景
平成元年度から、能代工業高校(現:能代科学技術高校)のバスケットボール部全国優勝が30回を超え、全国的な知名度が高まったこと(平成19年度を最後に優勝回数58回)、また、国の「ふるさと創生事業」を契機に、「誇りと愛着を持てるふるさとづくり」を目指し、平成元年度から「バスケの街づくり事業」をスタートさせた。
取組の内容と現在の状況
1.取組内容
(1)バスケの環境整備
- 公園等へのバスケリングの設置(H元年度)
- 能代市総合体育館の建設(H3~5年度)
(2)バスケの普及・底辺拡大
- ミニバスケ交流大会の開催
(3)バスケイベントの開催
- 能代カップ開催補助金
(4)バスケの街のシンボル、バスケの街をイメージアップ
- バスケリング型の照明灯の設置
2.「新バスケの街のしろ推進計画」策定(H15~23年度)
事業に取り組んで10数年が経過し、さらに継続・拡大させていくことを目的に、意見提言の募集や市民意識調査の実施、バスケの街のしろ推進懇談会の開催を経て策定
3.「バスケの街づくり推進計画」策定(H24年度~R3年度)
前計画の課題として、「バスケの街」を地域活力に生かしきれていない面があり、底辺拡大が進んではいるが、市民意識が能代工業高校バスケ部の戦績に左右されていた。バスケを核に地域振興を図る目的で策定
(1)能代バスケミュージアムの開設(H24年5月~)
(2)バスケの街づくり市民チャレンジ事業補助金の創設
広く市民の参画を図り、推進を資する事業で、かつ、新たなチャレンジが認められた取組が補助対象。R4年度までで、49件採用
(3)バスケの街づくり推進委員会の設置
10年後の人づくり、計画の点検と推進を目的に設置。30人以内。任期は2年以内。20~40代の若者で、現在は高校生が4人委嘱されている。
(4)能代科学技術高校への支援と取組
バスケ部への玄米支給。小中学生対象に部員がバスケを教え、地域貢献を目的としている。
(5)市と秋田ノーザンハピネッツとの連携・協力に関する協定締結
H28年度から相互の連携・協力を強化し、バスケットボールを通した青少年の育成、市民との触れ合いやバスケの街能代のPR強化を図り、地域の振興及び発展を目的とした。
成果・課題・今後の取組
様々な取組を実施したことで、スポーツで街づくりを進めたい自治体から、先進的な自治体として挙げられることが多くなった。市の特色を生かした街づくりを推進したことで、バスケの街づくり能代が定着した。
期間が10年計画であったため、様々な状況に対応できず、一部の取組が形骸化して継続して事業を行うことができなかった。
バスケの街能代を誇りに思う市民が全体の半分に満たない数値が示され、今後のバスケの街づくりを推進していく担い手を確保する必要がある。
「第2次能代市バスケの街づくり推進計画」を策定(R5~9年度)
- 取組や計画を検証、整理し新たな視点を加え、バスケを「核」として地域振興を図ることを目的としている。
- バスケの街づくりへの関わり方の工夫、地域の内側・外側に向けた視点、スポーツ・競技からの視点
- 情報発信力の強化
- 担い手確保に努め、他分野との関わりを持ち、多面的な取組を展開
所感・大府市への反映
- バスケの街づくり推進委員会は、バスケに限らず、様々な分野の専門家や実践重視の人選で構成している点で、それぞれの立場からの意見を出し合うことで、シティプロモーションにもつながり、バスケを核とした取組になっている。
- 一つのスポーツを特化した取組により、一体感があると感じた。大府市は、野球・レスリング・柔道・バドミントンとあらゆるスポーツの発展のために取り組んでいるが、子どもから大人までが余暇として楽しめるスポーツ、競技スポーツとして、バドミントンに特化してはどうかと考える。
- 大府市内には、バドミントンに力を入れている企業もあり、官民連携で取り組んでも良いのではないかと思う。
- 本市には、市民が誇れると思う何か一つのスポーツに焦点を当て、スポーツのまちとして地域の活性やシティプロモーションへとつながる事業の検討を進めていただきたい。
「スポーツ立市よこて」でまちを元気にする条例について【秋田県横手市】
取り組んだ経緯
議員提案により制定された初めての政策的条例
・H22年 一般質問で取り上げられた
・H23年 愛媛県西条市「合宿都市構想」を視察
・H24年11月 「スポーツ立市条例制定検討会議」の立ち上げ
・H25年 3月定例会へ提案・可決
取組の内容と現在の状況
1.条例の内容
【趣旨】
- スポーツが持つ多様な効果を生かし、市民と行政が一体となってまちづくりを推進するもの
- スポーツは夢や希望、感動を与える世界文化であり、健康維持、生活習慣病の予防、高齢者の生きがい、市民同士の連帯感を醸成、大会等の誘致による地域経済の活性化のため
【4つの基本理念】
(1)スポーツで育む健康立市
全ての市民が、生涯を通してスポーツに親しみ、健康づくりに取り組むこと。
(2)スポーツで賑わう交流立市
全国大会の誘致、スポーツイベントの積極的な開催に取り組むこと。
(3)スポーツで深める協働立市
各種スポーツ施設を適切に整備・管理・活用し、持続可能な運営に取り組むこと。
(4)スポーツで誇れる文化立市
スポーツ人口の底辺拡大、選手や指導者の育成、地域の連帯感や郷土意識の醸成に取り組むこと。
- 市や議会が連携した、スポーツによるまちづくり
- スポーツ環境の充実
- 部局を横断した取組
2.第7次スポーツ推進計画
- 2021年4月施行
- 「スポーツ立市よこて」の趣旨を具現化するために策定され、スポーツ施策の方向性などを明らかにする基本的な計画を策定
3.第2次横手市総合計画後期基本計画
- 元気なまちを築く生涯スポーツの促進
- 市民一人ひとりがスポーツを通して、心と身体を豊かにし、健康で活力のある生活を送るため
(1)スポーツ振興
(2)スポーツのまちづくりの推進
(3)社会体育施設等の整備と適正な管理
4.第3期横手市教育ビジョン
【主な事業】
(1)スポーツ振興
市民スポーツ振興事業、横手市スポーツ協会の支援と連携
(2)スポーツのまちづくりの推進
スポーツのまちづくり事業、競技スポーツパターアップ事業
(3)社会体育施設等の整備と適正な管理
横手市体育館の建て替え整備
- スポーツ賞・団体への支援(補助金支援):R4年度 スポーツ賞 84名、補助金76件353万8千円
- スポーツ推進委員会:79名の推進委員による、地域での事業の企画・運営・指導など
- 生涯スポーツ振興、地域活性化のために開催されるイベント、大会の支援
- スポーツを通じたまちづくりと健康づくり、競技力向上を目的に各種大会の誘致や合宿の誘致をし、地域経済への波及効果と地域活性化につながる事業
- 友好都市関係にある自治体とのスポーツを通じた交流事業
- 地元競技者の競技力向上や交流人口の拡大と経済活性化のための各種事業
- ホストタウン相手国としてインドネシア共和国と青少年スポーツ交流
- 市民が安全に安心して施設を利用できるよう適切な維持管理をして、生涯スポーツの振興と健康づくりに活用
所感・大府市への反映
- 様々なスポーツを盛んにするための取組であり、市民がスポーツを通じて健康になり、最終的には国民健康保険税負担が少しでも軽くなるための願いを込めた条例制定である。
- 「スポーツ立市よこて」で、まちが元気になっている印象を受けた。
- 合併したことにより、様々な施設が計38カ所あり、市民が気軽に利用できるものとなっている。大府市では、県内36市町で「あいち共同利用型施設予約システム」を稼働し、公共体育施設予約・利用できるようになっているが、なかなか予約できない状況が見える。市民が利用したいときにすぐにでも利用できるような取組を検討する必要があると思う。
- 大府市では、平成29年4月1日施行で、「『健康都市おおぶ』みんなの健康づくり推進条例」が市議会の委員会提案で制定されたが、この条例がどの程度、市民の健康づくりの後押しとなっているのかと思う。理念条例ではなく、政策を入れ込んだ条例にしていていくべきだと考える。
- 「健康都市おおぶ」、そしてスポーツのまちとして、市民が実感できるような取組を進めていただきたい。
国際交流(姉妹都市交流)について【岩手県遠野市】
取り組んでいる団体について
一般財団法人 遠野市教育文化振興財団
- 昭和49年 財団法人遠野市教育文化振興財団設立
- 平成4年 財団法人遠野国際交流協会設立
- 平成24年10月1日 合併登記
- 平成25年4月1日 事務局体制を強化し、遠野市から生涯学習事業を委託
- 平成26年 一般財団法人移行登記
- 平成26年4月1日 芸術振興事業を委託
- 平成31年4月1日 遠野文化研究センター事業の一部を受託
- 令和3年4月1日 遠野市から文化発信事業、こども本の森遠野生涯学習等運営支援業務を受託、遠野市から遠野文化研究センターを財団へ移管
- 令和4年4月22日 遠野市からコミュニティ・スクールに係るエリアコーディネーター業務を受託
- 令和5年4月1日 遠野市からこども本の森遠野特別保育業務を委託
※市からの委託料:R5年度 4,280万円、人件費補助金:R5年度3,020万円
取組の内容と現在の状況
【遠野市姉妹都市等交流事業実行委員会】
- 2018年9月27日設立
- 姉妹都市等との様々な交流に関して、国際交流をより効果的に進め、実りあるものとするべく立ち上げられた。
【遠野市姉妹都市】
- イタリア・カンパニア州・サレルノ市 1984年8月8日
- アメリカ・テネシー州・チャタヌーガ市 2019年9月15日
【主な事業】
- サレルノ国際映画祭「遠野賞」授与
- 中高生海外派遣交流事業
- 姉妹都市PR事業
- 姉妹都市からの訪問団の受入れ
- 締結周年記念事業
※財源は、遠野市負担金・一般財団法人遠野市教育文化振興財団負担金
【イタリア サレルノ市】
- 映画「遠野物語」が第35回サレルノ国際映画祭でグランプリを受賞し、当時の市長が監督を介し、姉妹都市を呼び掛ける親書を送った。
- 市職員・市民の派遣、料理・スポーツ・音楽を通しての交流、記念事業としてサレルノ市への市民ツアー(35周年)等
【アメリカ チャタヌーガ市】
- 遠野高校、遠野緑峰高校が海外交流プランを市に陳情したのがきっかけ
- 1991年~高校生交流開始(隔年)
- 2000年~中学生派遣開始(毎年)
- 合計約600名を派遣した。
- 市職員の派遣、高校生派遣の拡充(高校魅力化政策により、派遣人数増、自己負担減、NY大都市研修追加)、大学職員の招へい、ビール交流プロジェクト、学生オンライン交流、記念事業として公式訪問団の派遣、オンラインイベント(5周年)
【その他】
- 遠野市の生徒を受入れしてくれた市民等が遠野市を来訪した際のサポート
- 産業文化まつり会場にブースを出展PR
成果・課題
【成果】
- 文化交流による異なる文化や伝統の理解
- 交流を経験した多くの学生・市民から、グローバル人材が誕生。国際的な視野が広がり、多文化理解や語学学習の意欲向上に寄与
- 市民友好グループが生まれ、行政と手を携えて交流事業を実施
- 人材交流による、新たなネットワークの構築により深みのある交流
【課題】
- キーパーソンとなる交流の担い手の世代交代
- 姉妹都市の認知度や交流への理解
所感・大府市への反映
- 一般財団法人遠野市教育文化振興財団の「心豊かで夢を持ち郷土を愛する人を育てる」ことをモットーに人づくりにつながっていると感じた。
- 中高生の派遣後でも、ホストファミリーとの交流が続いていることは、文化や語学学習に対する意識の高まりにつながっている。
- 課題として、姉妹都市の認知度が挙げられていたが、大府市に比べれば認知度は断然高いと思った。
- 大府市では、大府みどり公園にあるオーストラリアのポート・フィリップ市のミモザが人気になっているが、よりポート・フィリップ市をPRできる様々な取組を実施して、姉妹都市として認知度が上がることを期待している。
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