市民クラブ会派行政調査報告 令和6年1月16日から18日まで

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ページ番号1030308  更新日 2024年2月1日

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 令和6年1月16日から18日にかけて、長崎県諫早市、佐賀県武雄市、広島県広島市を視察しました。

消防団再編~持続可能な消防防災力再構築へ~について【長崎県諫早市】

取り組んだ経緯(背景・目的)

視察の様子

 消防団員数の減少に歯止めがかからず、条例定数との乖離、昼間の火災等の対応について、厳しい状況となっている。
 消防防災力の低下が懸念されるため、様々な活動を行ってきたが、企業などに勤める会社員が多くを占めており、昼間における火災対応消防団と人口減少などに伴い、若年層も減少し、団員減少が進んだ。
 現行組織での活動のままでは継続していくことが困難な地域も予想されることから、現状を把握し、将来的な組織体制等を検討することを目的に、令和元年度から組織再編協議会を設置し、協議を進めてきた。
 分団アンケートや組織体制に向けた活動方法の検討、自治会連合会役員会との意見交換会など協議を重ね、再編することとした。

取組の内容と現在の状況

  1. 団員数の推移(各年4月1日)
    ・平成17年1,977人、平成26年1,773人、令和4年1,473人
     →17年間で524人減少した。(令和5年は1,400人)
  2. 条例定数
    ・平成31年4月1日2,042人→令和2年4月1日1,700人に改正
  3. 令和5年4月~新しい組織体制
    ・各地域に設置していた78の「分団」は、「部」としてこれまでどおりの枠組を存続させた。
    ・78の「分団」を20に再編し、広域で連携して緊急時の対応を強化した。
  4. 火災出動体制
    ・令和5年度は、現行の出動区分のままとした。
    ・これまで火災などで団員が出動するときは、1分団に3人以上の分団員が参集することが必要で、分団員数が少ない分団は出動に要する時間が掛かっていた。
    ・再編することで、隣接部で協力し合うことにより、広域でカバーでき、迅速に出動することができるようになった。
    ・各分団の縁辺地域については、重複区域を設けるなどの見直しを行った。
  5. 資機材等について
    ・車両は「○○支団  第○○分団」を消去し、「諫早市消防団」のみの表示とする。
    ・研修所(大府市では詰所)の銘板を新しい分団及び部の名称へ変更する。
  6. 団員の負担軽減
    ・団員の減少により、当番や行事参加の頻度が増えるなど負担が重いという声があり、再編と運営見直しにより、団員の負担を軽減することができるようになった。
    (1)長崎県ポンプ操法大会については、全国大会選抜競技のみに出場する。
    (2)消防出初式は、参加人数等、新分団内で調整し役割分担を行う。
    (3)年末警戒幹部巡視は、令和元年度から分団単位で実施する。
  7. 団員確保に向けて
    ・令和4年度は消防庁のモデル事業として、SNSで若者へ消防団の魅力を発信
    ・諫早市消防団インスタグラムを開設し、消防団のことを多くの人に知ってもらえるように、消防団の活動や魅力発信を行っている。

成果・課題

  • 広域で活動することにより、横のつながりができ、効率的に行えるようになった。
  • 条例定数を改正しても、団員減少に歯止めがかからない。今後の状況に応じた条例定数の見直しを検討する。団員数減少に伴い、活動が困難になった場合には、研修所を閉鎖する。

課題に対する今後の取組

  • 消防防災力を低下させずに活動しやすい体制を目指し、今後も検討していくこと。
  • 女性団員は、実働することは難しいが、後方支援や災害時に手話で対応できるよう手話を学ぶこと、独居老人世帯への訪問など、性別問わずに分団員の確保をしていかなければならないこと。

所感

 諫早市は、大府市よりも消防団が放水する機会が多いようであった。また、昔ながらの自衛消防団として、初期活動を行い被害を最小限に抑えている。
 組織再編協議会で、現状と課題の整理を行い、様々な意見を聴き、話し合うことで分団員が活動しやすくなったと思う。
 大府市には、7分団153人の団員がおり、日頃から市民の生命と財産を守り、安心して安全なまちとなるために重要な役割を担ってくれている。消防団は、地域力を上げるためにも重要な存在であるが、担い手不足が長年の課題となっている。もっと、消防団の活動を周知していく必要があると考える。
 これからの時代にあった、魅力ある消防団の在り方について、今後も検討を続けていかなければならない。

「健康寿命をのばそう!武雄市民宣言」について【佐賀県武雄市】

取り組んだ経緯(背景・目的)

視察の様子

 三師会及び保健医療関係団体の代表により構成される「健康づくり推進協議会」において提案され、策定した。

取組の内容と現在の状況

「健康寿命をのばそう!武雄市民宣言」
 私(たち)の願いは、生涯にわたり健康で生き生きと幸せに暮らすことです。
 一人ひとりがより良い生活習慣を身につけて、自分にあった健康づくりを進めていきます。
 「自分の健康は自分でつくり守る」ことを基本として、共に支え合いながら健康寿命の延伸を目指します。

  1. 私(たち)は、笑ってしゃべって生きがいづくりに努め、心と体も元気に暮らします。
    お酒はほどほどに快適を、たばこは禁煙に努めエチケットを守ります。
    ストレスを貯めずに休養し、こころや身体が疲れたら早めに相談します。
    生涯現役で活き活きした生活を送り、家庭や地域で支え合い、居場所の確保を努めます。
  2. 私(たち)は、豊かな自然の恵みと食に感謝にして、歯と口の健康づくりと、バランスの良い食事に心がけ、歩いてさるいて運動します。(さるいて=ぶらぶら歩く)
    毎日の生活の中で身体を動かすことに積極的に取り組み、無理せずできる「歩く」ことからはじめ、生活の質の向上のために運動の習慣化に努めます。
    また、郷土の旬の食材でバランスの良い食事を感謝しながらいただき、生涯自分の歯で食事を楽しめるよう定期的に健診を受けることに努めます。
  3. 私(たち)は、自分のため、家族のため健診を受けて健康管理に努めます。
    病気の早期発見、早期治療につなげるため、働く世代のわっかもん健診(20代、30代)、特定健診、がん健診を積極的に受診します。
    また、身体の変化を知ることで生活習慣病予防のために生活習慣の改善に取り組み、重症化予防に努めます。
  • 平成27年10月18日
    ・「健康寿命をのばそう!武雄市民宣言」のオープニングセレモニーを開催・健康ポイント事業を開始・ウォーキングコースの設置
    ・7つのキーワード(生きがい・休養・相談、講座・歩く・運動・食(栄養)・健診)を持ち、平成30年までに(3年間で)健康寿命を1歳延ばす。
  • 平成28年
    ・身近にいつでも歩けるようなウォーキングコースを各町に設置
  • 平成29年~令和3年
    ・健康診査の受診や歩くことなど自分で決めた取組を実践することでポイントが貯まる「たけお健康ポイント事業」
    ・「第3期武雄市健康増進計画」(たっしゃかプラン)を策定し、推進。基本目標に「健康寿命の延伸」
  • 令和3年~現在
    ・SAGATOKO(佐賀県ウォーキングアプリ)を紹介して、歩くことの啓発を続けている。
    ・武雄市民の登録者は、令和6年1月現在4,169人。

成果・課題

【成果】

  • 平均寿命と健康寿命の差が狭まっている。
    (平成27年~30年の間に男性0.08歳、女性2.06歳の延伸)
  • 健康ポイントの実績については、参加者達成率が年々増え、参加者からは、「運動を意識するようになった」「健診を受けようと思った」などの意見が挙げられた。

【課題】

  • 特定健診受診率・保健指導率が、平成27年~令和元年までは右肩上がりであったが、新型コロナウイルスの影響により令和2年は低下し、令和3年には回復したが、令和4年は再び低下した。
    →受診率の向上への取組、未受診者をいかに取り入れるかが重要であること。
  • 血圧、HbA1cの年次変化が、受診者が増加しているにもかかわらず数値が悪くなっている。
    →生活習慣の改善が必要であること。

    ※HbA1c
    ヘモグロビンにグルコースが非酵素的に結合した糖化蛋白質である糖化ヘモグロビンの一つ。糖尿病の過去1~2カ月のコントロール状態の評価を行う上での重要な指標。
    (出典:厚生労働省「e-ヘルスネット」ホームページ)

課題に対する今後の取組

 武雄市健康プラン(たっしゃかプラン)と他の計画(データヘルス計画等)とを合わせて課題に取り組んでいく。
 実践の柱として、(1)特定健診受診率の向上、(2)ハイリスク者への保健指導の充実、(3)健康チェックコーナーの設置・啓発、(4)ウォーキングコースの周知を行う。

所感

  • 「健康寿命をのばそう!武雄市民宣言」文は、7つのキーワードに取り組み、わかりやすく、方言を入れるなど親しみやすいと思った。
  • 健康寿命が男女とも延伸していること、特定健診受診率が右肩上がりになったこと、健康チェックコーナーに、市民がわざわざ訪れていることは、市民宣言をした効果の現れである。
  • 心身ともに健康なのが理想であるが、何よりも、「笑ってしゃべること」が健康になるための1番であると思った。
  • 「健康都市おおぶ」としては、市民一人一人が、「自分の健康は自分で守らなければならない!!」という大切さを理解し、意識付けをして、健康寿命を延ばしていくことは重要である。
  • 大府市での特定健診受診率は59.6%と年々上がってはいるが、まずは未受診者へのフォローが必須であると考える。

「ひぜしんスタジアム(武雄市民球場)」について【佐賀県武雄市】

取り組んだ経緯(背景・目的)

武雄市民球場

 以前あった白岩球場は、昭和50年に竣工し、市の中心的な球場として利用されてきたが、経年による施設の老朽化が進んだこと、駐車場不足や防球ネットの高さ不足等が課題に挙げられていた。

 課題を解消できる相応の場所へ移転・建て替えや必要な規模及び機能を満たしながら、市有地の有効活用ができる公共工事に伴う、永野残土処分場への移転・建て替えを行うこととした。

 また、2024年国体スポーツ(軟式野球)が行われることも建て替えの要因であった。

取組の内容と現在の状況

  • 令和元年5月から基礎調査・基本設計を行い、令和3年、建設着工に取り組んだ。
  • 令和4年7月1日から供用開始となった。
  • 事業費は17億3,166万円で佐賀県のスポーツ大会競技施設整備費補助金(1億円)やスポーツ振興くじ助成金(4,800万円)を活用した。
  • 武雄市体育施設管理運営共同企業体(令和5年4月~令和10年3月31日)が指定管理者となり、運営している。
  • 「親しみやすく、みんなで育てていく球場」をコンセプトとし、県内初の全面人工芝で、野球に限らず様々なスポーツやイベントで活用することができる。

【利用時間】
 午前5時から午後10時まで(11月1日から翌年3月31日は午前6時から)

【休日】
 12月29日~1月3日

【施設概要】

  • グラウンド:面積13,300平方メートル、全面人工芝、両翼98m、中堅122m
  • 観客席:約420席(メインスタンド2階)
  • ブルペン:両翼2レーン設置(一部屋根付)
  • サブグラウンド:約32m×45m(クレイ舗装)
  • 夜間照明:LED投光器4基
  • 駐車場:普通車約120台、大型バス5台
  • 芝生広場:約3,200平方メートル、駐車場6台、屋外トイレ
  • ランニングコース:球場外周500m

【利用料金】

  • 球場
    入場料を徴収しない場合(1時間あたり):市民 2,090円、市民以外の者4,180円
    入場料を徴収する場合:半日 最高入場料の50人分、1日 最高入場料の100人分
  • 夜間照明施設(1時間あたり):市民1,480円、市民以外の者2,960円
  • スコアボード及び音響設備(1時間あたり):市民230円、市民以外の者460円
    ※児童・生徒が使用する場合の占有使用料は半額

成果・課題

武雄市民球場

  • 人工芝とは言え、管理が大変であること。
  • もっと広く利用してもらえるような周知をすること。

所感

武雄市民球場

 「大府市民球場」は令和6年4月1日に供用が開始されるが、武雄市では「人工芝でも管理が大変」であることが挙げられていた。天然芝の管理には苦労するのではないかと思う。

 野球、ソフトボールに限らず、広く多くの市民が利用できる場所になること、市民に愛される球場になることを期待する。

こどもたちの平和学習推進事業及び小・中・高校生によるヒロシマの継承と発信について【広島県広島市】

取り組んだ経緯(背景・目的)

視察の様子

 ヒロシマの被爆体験を原点として、生命の尊さと一人一人の人間の尊厳を理解させ、国際平和文化都市の一員として世界恒久平和の実現に貢献する意欲や態度を育成する。

取組の内容と現在の状況

 広島市教育委員会では、昭和45年以来、小・中・高等学校における平和教育の手引き、指導例集、指導資料等を逐次刊行し、「ヒロシマの被爆体験を原点として、生命の尊さと一人一人の人間の尊厳を理解させ、国際平和文化都市の一員として、世界恒久平和の実現に貢献する意欲や態度を育成する。」を平和教育の目標にして、各学校の実態に即して取組を自主的に進めるよう指導に努めてきた。
 その後、被爆者の高齢化が進み、被爆体験の風化や児童生徒の平和意識の低下が懸念されたことから、平成16年3月に「被爆体験の確かな継承」を重要課題として掲げた指導資料を各学校へ配布した。

【継承】

  1. 「被爆体験を聴く会」
    幼稚園、小・中・高等学校等において地域の被爆体験者等を講師として招へいし、聴く会を開催
  2. 「平和を考える集い」
    8月6日に焦点を当て、登校日を設け、平和記念の意義について指導し、それぞれの特色を生かした平和学習を行う。
  3. 「平和教育アーカイブス」
    児童生徒の学習教材や教職員・保護者の研修用資料として活用できるよう、平成20年度より、毎年被爆体験者2名の証言を映像記録としてDVD化

【発信】

  1. 「こどもピースサミット」
    市内全小学校6年生児童を対象に、平和についての作文を募集し、選考された20名の意見発表を行い、平和記念式典で「平和の誓い」を読み上げる代表2名を決定し、世界に発信
  2. 「ひろしま子ども平和の集い」
    児童生徒が8月6日に言葉や音楽、演劇などで平和の思いを発信し合う。
  3. 「『平和への誓い』アクションプログラム」
    中学生から参加を募り、各中学校が平和交流会やテレビ会議等を開催し、平和へのメッセージを発信
  4. 「伝えるHIROSHIMAプロジェクト」
    中学校に参加を募り、平和の思いを込めたメッセージを英語で作成し、平和記念式典で各国駐日大使や海外の一般参列者に伝える。
  5. 「高等学校の特色ある取組」
    広島中等教育学校で、外国人観光客に対して、英語で平和公園を案内する「ガイドボランティア」を行っている。

    ※中等教育学校
    中高一貫教育の実施形態の一つ。一つの学校として、一体的に中高一貫教育を行う。
    教育課程については、前期課程は中学校の基準を、後期課程は高等学校の基準をそれぞれ準用するとともに、中高一貫教育校として特色ある教育課程を編成することができるよう教育課程の基準の特例を設けている。
    入学については、設置者の定めるところにより校長がこれを許可することとし、この場合、公立の中等教育学校においては学力検査を行わないこととしている。
    (出典:文部科学省「中高一貫教育の概要と設置状況」ホームページ)

【平和教育プログラムとは】
 学校における平和教育の取組を充実させるため、小学校から高等学校までの12年間を通して、児童生徒の発達段階に即した目標や内容を体系化し、体験的な学習等を取り入れた。

【平和教育プログラム策定の基本方針】

  1. 発達段階に即した目標、内容を設定
  2. 未来志向の学習内容
  3. 自主的、自発的な学習を重視
  4. 国際社会の諸問題を探求する活動
    ・プログラム(1)小1~3年生:被爆の実相に触れ、生命の尊さや人間愛に気付く
    ・プログラム(2)小4~6年生:被爆の実相や復興の過程を理解する
    ・プログラム(3)中1~3年生:世界平和にかかわる問題について考察する
    ・プログラム(4)高1~3年生:平和で持続可能な社会の実現について展望する
  5. 「ひろしま平和ノート」を活用し、各学年3時間/年で構成
    (1)気付く、知る、情報整理、(2)考える、思考する、思考・探求、(3)伝える、発信する、発信

成果・課題

【成果】

  • こどもピースサミットで代表になった児童が、大学の医学部で被爆について学んでいることや、継承者の想いを引き継いで活動していること。

 【課題】

  • 平成22年に児童生徒へ「昭和20年8月6日8時15分は?」の意識調査を行った結果、小学生33%、中学生56%、高校生66%と認識の低さがみえたこと。
  • 平和教育について「暗い・怖い」などのイメージを持たれていること。
  • 被爆体験者の高齢化や継承者の担い手不足になってきていること。
     

所感

  • まずは、説明を聞いて胸が熱くなり、戦争だけではなく、「平和とは何か」について考えさせられた。
  • 広島市教育大綱の「本市の目指す教育の方向性」の中にも、「平和」について盛り込んであり、市長の想い=市民の想いであると思った。
  • 戦争で被害に遭った広島、長崎、沖縄県だけの他人事ではなく、「平和」は自分事であることを認識していくことが重要である。
  • 一概に「平和教育」ではなく「平和への教育」であるという言葉に重みを感じた。 
  • 戦争の悲惨さについては、子どもだけでなく、親世代も一緒に学ぶべきことであると思う。日本人としてこれからも伝え続けることが大切である。
  • 広島市は、既存事業の充実・強化をして、新規の事業も展開している。大府市の子どもたちにも取り組めることについて、参考にしていくべきと思う。
  • 本市の「平和教育」は、平和大使の生徒だけでなく、中学2年生の全生徒が直接学べる事業になることを期待している。

広島市

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