市民クラブ会派行政調査報告 2026(令和8)年7月15日から17日まで
2026(令和8)年7月15日から17日にかけて、富山県小矢部市、氷見市及び黒部市を視察しました。
災害に係る対応と防災の取組について【富山県小矢部市】
取り組んだ経緯(背景・目的)

小矢部市は、2023(令和5)年から2025(令和7)年にかけて3年連続で大規模な自然災害(2023(令和5)年7月豪雨、2024(令和6)年能登半島地震、2025(令和7)年8月集中豪雨)に見舞われた。これらの災害対応を通じて、避難所の開設・運営の遅れ、備蓄品の種類や方法、住民の公助への過度な依存、職員の配備体制といった多くの課題が浮き彫りとなり、これらを解決し、頻発化・甚大化する災害に迅速に対応できる体制を構築するため、2025(令和7)年と2026(令和8)年に「地域防災計画」の修正を行った。
取組の内容と現在の状況
組織体制の見直し:災害対策本部の班を20から11班に集約し、班内での相互応援体制を強化した。また、従来の「災害警戒本部」を廃止し、基準に達した時点で直ちに「災害対策本部」を設置する迅速な体制へ変更した。
避難所運営の改善:地域拠点避難所に市職員3名を配置する一方、地区防災会が開設段階から運営を担う体制へと改めた。
備蓄と環境整備:避難所や孤立集落への分散備蓄を実施し、トイレやベッドの充実を図り、2026(令和8)年度にはトイレトラックの導入も予定されていた。
防災士の育成:養成費用を全額公費負担し、地域から推薦されたリーダー層を中心に約130名の防災士を育成した。
成果・課題
成果:体制の明確化により、2025(令和7)年の集中豪雨時には速やかな避難所開設が実現した。また、全庁的な初動活動マニュアルの整備が進んだ。
課題:住民の「自助・共助」意識の更なる向上が急務であり、地区防災計画の策定が全18地区中5地区にとどまっているほか、職員向けのブラインド型訓練の充実も課題であった。
課題に対する今後の取組
今後3年程度で全地区の計画策定を目指す伴走支援や、職員向けのブラインド型訓練(シナリオなし訓練)の実施を検討していた。また、庁内情報共有システムの導入、地域ICTプラットフォームの活用、住民向け防災アプリの検討などが進められていた。
所感・大府市への反映
- 大災害が続いたことで、組織や地域の整備が非常に迅速に進められていると感じた。
- 住民の防災意識を高めるため、さまざまな防災訓練や啓発活動を通じて、「自助」と「共助」の重要性を繰り返し伝えている。また、大規模災害時には公助だけに頼ることは難しいことも直接伝え、防災を自分自身の問題として捉え、一人一人が日頃から備えることの大切さを市民に理解してもらう取組が重要であると感じた。
- まずは、自分の命は自分で守るという「自助」の力を身につけ、防災を自分事として捉え、日頃から備えに取り組んでいきたい。
- 防災士の取得費用全額補助や地域推薦による育成は、「共助」のリーダーを増やし、有事の際には地域との協力体制を確立し減災に向けた取組が進むと考える。
資源を活用したまちづくり「藤子不二雄Ⓐまんがワールド」について【富山県氷見市】
取り組んだ経緯(背景・目的)

氷見市は寒ブリや温泉などの豊かな観光資源を持つが、観光が冬季に偏るという課題があった。そこで、同市出身の漫画家・藤子不二雄Ⓐ氏の作品キャラクターを地域資源として活用し、他の地域との差別化を図りながら、年間を通じて観光客を呼び込めるまちづくりを目指した。単一の施設ではなく、市街地全体を「まんがワールド」と位置付けた回遊型の仕組みを構築していた。
取組の内容と現在の状況
まんがロードの整備:JR氷見駅から約1.8kmの区間に、「忍者ハットリくん」や「怪物くん」など合計68体のモニュメントを設置
拠点施設と公共交通:空き店舗を活用した「氷見市潮風ギャラリー」を拠点とし、ラッピングバス(怪物くんバス)やラッピング列車(忍者ハットリくん列車)を運行
推進体制:株式会社小学館集英社プロダクションに著作権監修や事業遂行を委託し、商店街や観光協会と連携してイベントを実施
成果・課題
成果:夏場の観光資源として定着し、年間観光客数は約230万人に達していた。潮風ギャラリーの入館者は2026(令和8)年に通算30万人を達成した。
課題:1992(平成4)年に設置のカラクリ時計を始めとするモニュメントの老朽化と、その修理・維持管理コストが深刻な負担となっていた。また、近年は市主導の面が強く、民間活力をいかに再燃させるか、若者世代へどう作品を継承するかが問われていた。
課題に対する今後の取組
既存施設の適切な維持管理を継続しつつ、潮風ギャラリーの展示強化や指定管理者との連携によるイベントの実施を計画している。また、作品の海外人気を背景としたインバウンド観光客へのアプローチも強化していく方針であった。
所感・大府市への反映
- 全国的な知名度を持つキャラクターは強力な資源となっているが、著作権の制約や維持管理コストといった「継続性の難しさ」を実感した。
- 本市においても、「バイオリンの里」や来春オープンの「おおぶ木のおもちゃ美術館(仮称)」など、単体施設だけでなく、点在する資源を結び付けて街全体で発信する視点が必要であると感じた。また、「バイオリン」を更に地域の魅力として発信し、子どもから高齢者まで幅広い世代がバイオリンに触れ、親しめる機会を充実させることも有効ではないかと感じた。
- 本市でも、新たな資源を探すのではなく、既に地域に存在する資源を活用し、様々なアイデアで魅力を効果的に発信することが重要であると考える。
下水道バイオマスエネルギーの利活用について【富山県黒部市】
取り組んだ経緯(背景・目的)

黒部市は、従来のし尿処理施設の老朽化や、下水道汚泥の処分先(セメント工場等)の確保難、処分コストの増大といった課題に直面していた。これらを解決するため、汚泥を「廃棄物」ではなく「資源」と捉え、PFI方式(BTO方式)を導入して、処理コスト削減、環境負荷低減、持続可能な汚泥の資源化を目指したバイオマス利活用施設を整備した。
取組の内容と現在の状況
エネルギー創出:下水道汚泥、農業集落排水汚泥、浄化槽汚泥に加え、飲料工場から排出されるコーヒー粕を混合してメタン発酵
資源の有効活用:発生したバイオガスで発電を行い、余熱を汚泥乾燥に利用し、乾燥汚泥は石炭代替燃料や農業肥料として活用
市民への還元:生成された肥料は、月に1回市民へ無料配布されており、リピーターがいるほど好評
成果と課題
成果:年間約1,000トンのCO2削減を実現した。PFIの導入により、民間技術を活用したコスト削減とサービス向上を両立させていた。
課題:コーヒー粕などのバイオマス原料の安定確保や、事業系供給元の確保が課題であり、家庭用ディスポーザーの普及が目標ほど伸びていない現状があった。
課題に対する今後の取組
バイオガスの発生量を更に増やすため、家庭用ディスポーザ(※)の設置費補助(上限3万円)の継続や、2023(令和5)年から開始された一般家庭のコーヒー粕を下水道へ流して回収する取組の周知を強化している。
※ディスポーザ:台所シンクに設置して生ゴミを1~2mmに粉砕し、水と一緒に下水道に流し込む排水設備
所感・大府市への反映
- 下水道を「処理する施設」から「資源を生み出す施設」へと転換した発想の転換が非常に印象的であった。特にコーヒー粕の活用は、事業者と市の双方にメリットがあり、本市においても地域資源からのエネルギー創出や脱炭素化を進める上で、肥料配布のような「目に見える市民還元」まで速やかに進めるようになることを期待する。
- 廃棄物と考えられていたものを資源として循環させる仕組みは、脱炭素社会の実現や循環型社会の形成につながる重要な施策であると感じた。ゼロカーボンシティ宣言をしている本市としても持続可能なまちづくりに欠かせないものであり、環境面と財源の削減面を図る取組は参考になる。
- 本市は、バイオマス産業都市として、地域からの生ごみや食品残渣などの地域資源から作られたバイオマスガスを活用している。さらに、資源の有効活用と脱炭素化を進めていくことが重要である。
- バイオマスエネルギー活用事業は、一部ではなく広域で多くの市民を巻き込んで進めなければ発展しないと考える。本市も将来的には、発酵の効率化(コーヒー粕の活用)やより多くの燃料の回収を進める必要があると改めて感じた。
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