公明党会派行政調査報告 令和5年7月10日から12日まで

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ページ番号1028175  更新日 2023年7月27日

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令和5年7月10日から12日にかけて、無所属クラブと合同で、長野県木曽郡王滝村、諏訪郡富士見町及び東京都清瀬市を視察しました。

愛知用水の源流における現状と課題について【長野県木曽郡王滝村】

長野県木曽郡王滝村

調査内容

(1)村内の森林整備全般の現状と課題はどうか

  • 王滝村における森林面積は、総面積の約96%を占め、国有林87%、民有林13%となっており、森林の所有形態は、県と村の公有林が70%、私有林が30%である。
  • 土砂流出防備保安林は民有林の20.2%の面積を占め、その約88%を水源涵養保安林として担っている。
  • 下流自治体(半田市、大府市、東郷町)との交流が盛んで、平成22年に大府市職員互助会と「牧尾ダム水源の森パートナー協定」を締結し、令和5年7月1日には、牧尾ダムを有する王滝村、木曽町と「水源の森林の保全・育成に関する連携協定」を締結した。
  • 名産のヒノキや針葉樹の森林では、間伐が急務であり、木曽川上流域として天然広葉樹を育成し、水源涵養機能を高度に発揮する針広混交林の森林づくりの整備は永続的に進める。
  • 効率的な間伐推進には、施業の集約化、森林経営計画の作成、林地台帳を整備及び提供することを積極的に行い、障害の解消を目指す。
  • 森林施業の効率化、生産コストの低減は必要。野生鳥獣被害対策、これからの基盤整備に際し、路網開設の技術者及び機械のオペレーター、また高度な技術者の養成・確保が必要。またプランナーなどの施業の集約化を行う人材の育成が必要。
  • 公共施設等への地域材利用やスマート林業の普及促進、森林管理が困難な事象が増加する現状から森林管理制度の活用で森林保全の促進を図る。

(2)牧尾ダムの水源涵養機能維持のため、どのような整備に取り組んでいるか。

  • 牧尾ダム水源の森パートナー協定の協力金が、牧尾ダムの水源涵養森林の整備に活用されている。
  • 本市は協定の更新時に合わせ、王滝村へ3年ごとに協力金(20万円)を寄附しており、森林保全事業、景観整備事業、林道・作業道保全事業、交流全事業を毎年度事業計画に基づき整備されている。

(3)令和6年度から森林環境税及び森林環境譲与税がスタートすることでどのような変化を見込んでいるか。

  • 森林環境譲与税は、間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の「森林整備及びその促進に関する費用」に充てることとされている。
  • 今回7月1日の協定は、「森林環境税」を財源に地方自治体に譲与される「森林環境譲与税」に着目したもので、本市は、王滝村、木曽町と相互に連携し、木材の利用及び利用促進、市民への啓発などを実施し、市民の水源の森林の保全・育成に取り組むとしている。
  • 森林環境譲与税の認証は、より価値の高いものが求められ、使途を含め基準が厳しくなっている。

所感と大府市への反映

  • 王滝村の人口は1,708人であった昭和60年と比較すると、令和2年では約6割減の715人、野猿が人口を上回り、人口減少は続いている。高齢化率は約44%。働き手が減少する中、価値の高い利用期のヒノキ、サワラ、カラマツ等の伐採と植栽の循環が機能できていない現状である。木材は昭和55年当時の3分の1の価格まで下落していると伺い、森林整備関係の仕事への就職を中心に大府市が貢献できることはないか、知恵を出せないかと考える。村の現状に大きな危機感を覚えた。
  • 降雨も40年前の1.5倍に増加し、気温も上昇するなど自然環境の変化は著しい。
  • 「緑のダム」と呼ばれる豊かな森林の水源涵養機能あってこそ、下流の市町が水の恩恵を享受できている。そのためには将来にわたり、たゆまざる森林整備が必要であること、市民が愛知用水との関連性をよく認識し、本市でも子どもからの教育として、しっかり学んでいくことが大切であろう。
  • 連携協定を結ぶ王滝村での森の恵みを体験学習でき、現状を知る場は、子どもにとって有益であると考える。
  • このたびの「水源の森林の保全・育成に関する連携協定」で計画している具体的な事業を確実に展開していくことは、将来にわたり大切な事と考える。
  • 本市にとって、王滝村の水源の森づくりに対する市民の共感を得るため「牧尾ダム水源の森パートナー協定」の意義を広く知らしめる役割は大きい。
  • 王滝村の小学生は現在10人。次世代の担い手不足の解消が喫緊の課題であり、憂慮される。下出議長は、「まず交流を深めるため、来村して現状を見ていただきたい」と言われた。下流の市町、大府市の果たさなければならない役割は大きい。

「新規就農者パッケージ」支援制度について【長野県富士見町】

長野県富士見町

本支援制度を創設した目的と経緯

 農業者の高齢化や担い手が減少している現状の中、地目別面積では山林が占める割合は41.3%(59.75㎢)と、中山間地域は農地面積が小さく点在していることから、営農が大変な環境にある。継承者が非常に少ないため、現在の営農者が辞めると耕作放棄地が増えるおそれがあり、時に、農地の6割強を占めている水田が耕作放棄地になると、多面的機能が失われる。景観も損なわれ、下流地域で災害発生リスクが高まる等課題を抱えるため、新規就農者を確保する必要性が生じた。農業を始めるに当たっては、全国的にも「栽培技術、住居、農地、機械」の取得が高い壁となり、地域に定着できずに就農断念に至るケースが多いとのこと。新規就農者には、設備投資するための資金や生活資金が必要となる。そこで、平成22年4月に、新規就農者に対し、就農支援パッケージ制度の提供を始めた。

本制度の取組の概要とこれまでの成果

 就農パッケージ制度は、町が地域、農家、JAと新規就農者をつなぐ役割を担い、地域に貢献できる農家を育てていくことを目的に開始した。この制度の対象者は、家庭菜園程度や漠然とした就農希望者を対象としたものではなく、長野県が就農計画を認定した認定就農者に限定される。長野県は就農所得目標を520万円としているとのこと。
 就農パッケージ制度の概要としては、

  1. 農業技術を教える「指導者」のところで、事前研修を行った後に、里親研修(農家研修)で、栽培技術や農業経営を学ぶということを行っている。
  2. 生活の拠点「住居」の提供として、経営が安定するまでの3年間は民間アパートや公営住宅を案内し、必要に応じて、戸建て住宅の賃貸や売買を案内している。
  3. 生産の「拠点」として、「農地」は里親と町が相談し、栽培品目に適した農地を賃貸借により提供している。「機械」は農機具バンクに登録された中から選んでもらうが、実際には購入を希望される方が多い。

 成果として、平成9年から平成21年までの13年間で新規就農した方は13組だったが、新規就農パッケージを導入した平成22年から令和4年までの13年間で68組が新規就農し、大幅に増加した。平成23年間から農業法人8社(うち2社は現在は撤退)を誘致し、新規就農希望者の受け皿となっていただき、事前研修の場となっている。また、新規独立者には国の補助事業を活用し支援を行い、町単独の補助制度等も設けている。

今後の方向性と課題

 町で新規独立した、栽培歴5年以上の農業者は、新たに里親となり、新規就農希望者の育成を担う。令和5年4月現在、富士見町の里親登録は8名で、そのうち新規独立し里親登録した方は6名。新規独立した方が里親登録した品目が、夏秋イチゴ、菊の2種類となっており、今後他の品目を増やしていく必要がある。町単独で新規就農者を育てていくことは難しいため、県やJAと連携し、新規就農者の要望に応えていく必要がある。水田で転作している農業者にとって、今後、転作交付金が交付されなくなると、営農継続が厳しくなる等の問題もある。

所感と大府市への反映

 本市においても、次世代を担う農業者の育成・確保を推進し、農業の振興を図るため、新規就農者等に、農業用機械購入や農業用施設の整備に要する費用に対して、補助金の交付等を行っている(「大府市がんばる農業者応援事業補助金」)。
 富士見町の新規就農パッケージ制度は、本気で農業で独立することができる新規就農者を育てていくため、支援対象者を限定するなど認定基準は厳しいものとなっている。しかし、就農する上で、課題となる「栽培技術、住居、農地、機械」の取得に対する支援が明快であり、新規に就農される方にとって必要なことは網羅されている。本市において、農業者の育成・確保に力を入れるならば、こうした制度の導入も必要と考える。
 また、近年、本市においても有機農業栽培に取り組まれる方も少しずつではあるが増加している。富士見町においては、就農の相談もあるが、慣行農業とのすみ分けが難しいため支援対象とされていない。本市においては、学校給食において、有機栽培米を取り入れるなどの動きもあるため、有機農業に携わる方への支援も必要となってくる。富士見町でも課題となっているすみ分けには、農薬や化学肥料を使用する場合、慣行農業者と有機栽培に取り組む農家農業者との耕作地が近いと互いに影響を及ぼすなどの問題が、既に生じ始めている。こうした農地のすみ分け、集約も本市では考えていかなければならない課題と考える。また新規就農者が安定経営を実現できた際には、後に続く方のために、その栽培技術や農業経営に関する知見の共有・継承などを行うことが、ひいては本市の農業振興につながるものと考える。

紙おむつのサブスク「手ぶら登園」について【東京都清瀬市】

東京都清瀬市

調査内容

(1)どのような背景、経緯から導入するに至ったのか。

  • 子育て支援は切れ目のない一人ひとりに合った支援をモットーにしている。
  • 澁谷市長が市議会議員のときに「紙おむつのサブスク」を提案しており、就任後の3年前におむつの持ち帰りを廃止。その後、持ち込み負担の軽減策から、手ぶら登園の導入を決め、急ピッチで準備され今日に至る。
  • 市役所内の若手職員を中心に「サブスクリプション」の理解度は浸透してきた。

(2)保護者の費用負担等と具体的なサービス内容は。

  • 保護者の日常的な負担軽減と保育現場の業務の効率化のため、紙おむつのサブスク「手ぶら登園」を2022年4月から3園全ての公立保育施設で、紙おむつとお尻ふきの定額サービスを都内で3例目に導入された。
  • 大手の「BABY JOB株式会社」のサブスクを官民連携で採用し、月額2,508円で保護者と業者との契約になる。市は介入していない。
  • 初めの2カ月は業者の無料サービスで、解約は少なく多くは継続される。3歳児でも申し込みはある。
  • クーポン券を利用でき、償還払いを認めている。

(3)導入後の利用状況はどうか。また、利用可能な公立園及び一部の私立園での保護者の評判はどうか。

  • 保護者からは、各自で名前記入の煩わしさがなく、兄弟が多くても、持ち物が少なくて済む。
  • 保育士からは、おむつを取り違える心配がなく、数を気にせず使えると聞く。
  • 従来から使用しているおむつ棚を使い、在庫管理にストレスないとのこと。

(4)例えば、利用可能な私立園を更に増やすための勧奨等、今後の展開をどう考えているか。

  • 今後、私立保育園にも導入を促す考えである。
  • 令和5年度中には、21園中11園が、サブスク「手ぶら登園」を導入する予定である。

所感と大府市への反映

  • 本市は公立保育園で使用済み紙おむつの処理の予算を248万3千円としたが、全て処理に掛ける整備費用(屋外ごみ収納庫各園1庫、ダストボックス各保育室2個)などである。比べて清瀬市は、園外にごみ用スペースがあり、回収車が週2回来るので、可燃ごみの扱いで特に予算取りは行っていないとのことであった。発想がシンプルである。本市は、回収までの一時処理に整備費用は掛かることとし、衛生上から対策費に当然費用が発生することを前提として進められた。
  • 清瀬市は「手ぶら登園」を官民連携によってなされ、「市の負担ゼロ」という効率的な子育て支援サービスを行っている。保護者も保育士も大方の評価が良い事業は、本市として大いに参考になると考える。

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