公明党会派行政調査報告 令和6年1月30日から31日まで

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ページ番号1030318  更新日 2024年3月7日

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令和6年1月30日から31日にかけて、知多市公明クラブと合同で、東京都国立市及び長野県塩尻市を視察しました。

女性パーソナルサポート事業について【東京都国立市】

東京都国立市

取組の背景、目的について

  • DV等により自宅から避難することが必要な女性への支援は、公的な一時保護施設に保護(避難)していたが、安全性を最大限確保するために、保護中は外出禁止、携帯電話等の使用制限があった。
  • ルールにより、公的な施設での保護を拒むケース等は、市役所への再度の相談には結び付かない。
  • 一時保護施設では、緊急性のある女性、固有の事情等を抱える女性は入所が困難な場合もある。
  • 中長期間の継続した支援が必要な方を支援するには、マンパワーに限界がある。
  • 行政につながることが困難な女性に対し、市内のNPO法人の専門性を活用し、アウトリーチ型の相談、短期宿泊施設の拡充、若年女性へのアプローチの支援策により、困難な課題を持つ女性のエンパワーメントの推進を図る。

取組の内容と現在の状況について

 本事業の支援メニューとして大きくは、(1)「短期間の滞在場所を提供する短期宿泊」と(2)「中期の自立支援事業」で構成され、令和3年度から自宅等への訪問型支援「アウトリーチ支援」を事業に追加。(1)は、市所有の女性用一時住居、女性支援NPO法人の住居、市外のホテル、区部の女性専用シェアハウスがある。(2)は、約2~5年の支援が必要な女性に対し、婦人相談員とJIKKAスタッフによる継続した相談や同行支援を行い、また、講座などを行う事業も展開している。

今後の取組と課題等について

  • 困難な課題を抱えた女性の自立には、中長期的で柔軟な支援が必要であり、民間支援団体との連携は不可欠である。相談が広域化しているので、多くの自治体に支援団体ができるよう、継続した財政的支援や広域連携の仕組みが必要である。
  • 若年女性に対する情報の周知は課題であり、情報の効果的な方法を検討している。学校への働き掛け、出前講座やパネル展示等を行い、必要な情報が直接届くよう取り組んでいる。

所感と大府市への反映

  • 事業説明をいただいた社会福祉士の室長は市長室直属であり、政策経営部市長室は、秘書、広報・公聴、平和・人権・男女平等、女性相談の4つの所掌事務からなり、市長の肝いりである。
  • 相談者と行政、民間女性支援団体とを円滑につなぐ密な情報共有、支援方針の確認など、国立市では、両者がほぼ毎日連絡調整を行っており、互いの動向を把握している。このような市側の積極的な取組方は、本市には大いに参考となり、学ぶべきと考える。
  • 本市が女性の相談事業を実質任せているNPO法人が女性関連の事業を網羅し、やりきるには、限界がある。国立市には民間女性支援団体の他に、ジェンダー平等の推進拠点である男女平等参画ステーションがあり、3者での支援の検討や情報交換などを通じて重層的な支援体制が構築できている点が特徴であるが、功を奏し機能している。
  • 本市には、官民連携のシェルターが1軒あるが、本市よりも人口の少ない国立市には、市所有の女性用一時住居、女性支援NPO法人の住居、市外のホテルの利用、区部の女性専用シェアハウスがあり、ケースバイケースで使い分けができている。当事者に寄り添った手厚い保護ができる。先々の就労に道筋が付くまで物心両面のケアが可能となり、本市でも専門部署の配置を設け本当の意味で、官民連携の取組が望まれる。
  • 効果的であると説明された「アウトリーチ型訪問相談」事業は、本市では手が届いていない。対象者の課題や理解が深まり、支援の必要性の有無、本人が受け入れやすい内容の支援の継続、既存の制度では行き届かない部分を補い、地域での生活が成り立ち、女性たちのエンパワーメントにつながっている。本市がいつの間にか、遅れを取っているところに気づかされた機会であった。行政が時代のニーズに応じた取組に本腰を入れてこそ、真の女性のパーソナルサポートにつながると考える。

時短労働者を対象とした自営型テレワーク推進事業KADOについて【長野県塩尻市 KADO(塩尻テレワークセンター)】

長野県富士見町

取組の背景、目的について

  • 地方における働き方の選択肢が限定的であり、人口減少・少子高齢化が進む中、労働力人口を確保することが地域経済を維持するために必要不可欠
  • 働く意欲があれば、ライフスタイルに合わせて安心して働けるように、テレワークという柔軟な働き方を活用し、好きな時間に好きなだけ働ける仕組みを提供
  • より働きやすい環境にと、市街地の公共施設(旧ショッピングセンターを市が取得し、振興公社が複合ビルとして運営する施設内)にコワーキング施設(約180席)を設置し、こども広場、託児所、商業施設等や、隣接する複合施設(図書館、ハローワーク等)と合わせ、安全安心かつ利便性の高い就業環境を整備

取組の内容と現在の状況について

  • 時短就労を希望する「子育て世代」「介護者」「障がい者」「若者」等が対象
  • 現在は、コロナ禍における働きやすさと安全性を両立するため、在宅ワークを組み合わせ、より柔軟に働ける環境を構築
  • 東京・名古屋からの「しごと」を塩尻市振興公社(市の外郭団体)が受注し、地域の自営型テレワーカーに発注
  • 業務の分解・標準化・環境構築・チームビルド(一人ひとりのスキルを生かし目標達成できるチーム)等のディレクション(強い組織を構築するための手法)を実施
  • 契約方法は自営型で業務委託、時給型で登録人数は500人。実働人数は250人で、年間売上は2015年度1,000万円から2020年度約2億円に成長
  • 2010年(平成22年度)に「ひとり親家庭等の在宅就業支援事業」としてスタートし、各省庁の支援を受けながら、対象を「時短就労希望者」に順次拡大。10自治体と連携し、営業等は民間プロ人材に委託。官民連携による「塩尻オリジナルの地域就労支援モデル」
  • 本事業をきっかけに、官民連携による自動運転・MaaS実証実験、障がい者雇用、サテライトオフィス立地等に発展

今後の取組と課題等について

  • 事業持続性を高めるため、自立自走可能な状態を目指し、経済情勢の変化に合わせ、「しなやかな経営体制」の構築
  • 現在の対象者に加え、移住希望者、副業希望者、学生等、新たな時短就労希望者に訴求
  • 塩尻市の行政改革に併せ、「市アウトソーシング業務」を受注可能な体制を構築
  • 持続性の高い新たな交通体系を構築することを目的とした「塩尻市 次世代モビリティサービス実施プロジェクト」を所管の省庁である内閣府や経済産業省とより連携し、自動運転バスや自動運転タクシー、オンデマンドバス(来年度以降の導入に向け要件定義)を発展させる。
  • 事業規模の拡大のためのディレクターの確保、規模に見合った経営体制の再構築と横展開の拡大

所感と大府市への反映

  • このような事業は行政の制度設計がしっかりされないと、進展は望めないと感じた。
  • スキルアップしたい人、活躍したい人だけでなく、セーフティーネットなのか、就労支援、障がい者支援なのか、スキルを身に付けてどういう仕事を設定するか、立て付けが大事であるという説明はこの事業の目的に通じると感じた。
  • 旧ショッピングセンターを市が取得し、振興公社が複合ビルとして運営、コワーキング施設を設置し、こども広場、託児所、商業施設等や、隣接する複合施設(図書館、ハローワーク等)と合わせ、安全安心かつ利便性の高い就業環境を整備した塩尻市は、先見の明があったと思う。本市にもかつて駅前にショッピングセンターが撤退する折に、取得して複合施設になっていればと思った。
  • KADOが注目されているのは、市の就労支援事業を超えた、化学反応が起きていることである。
  • デジタル人材の育成や時短就労へのニーズは他の地域でも高い。そこで事業のノウハウやスキームを開示して、他の自治体での実施を後押ししており、県内を中心に10以上の自治体で取組が始まっている。KADOのような取組は必要不可欠であると考えるが、本市一市での取組が困難であれば、広域的な手法も有りと、取り入れできることを考えてはどうか。
  • 単に女性の就労支援のきっかけづくりにとどまらず、生活できる対価を手にする就労まで、伴走することが大事である。本市に欠けているところではないかと考える。その点で言えば、塩尻市振興公社の事業は先端を走っているように見受けられた。
  • 働き手の不足は、どこも共通の課題である。デジタル人材の育成は急務であるし、本市による何等かの事情による女性の就労支援を本格的に進めることは、時代の要請であると確信できた。

このページに関するお問い合わせ

議会事務局 議事課
電話:0562-45-6251
ファクス:0562-47-5030
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