市民クラブ会派行政調査報告 令和5年1月24日から26日まで
令和5年1月24日から26日にかけて、愛媛県新居浜市、愛媛県松山市及び広島県呉市を視察しました。
スポーツ振興について【愛媛県新居浜市】
取り組んだ経緯・背景と取組内容
第6次新居浜市長期総合計画をもとに、「人と地域の力で豊かな心を育み、つながり、学び合うまちづくり」、「健康で豊かな生活が送れるまちづくりの推進」のために取り組んだ。
新居浜市スポーツ推進計画(2014~2021)
企画部の文化スポーツ局スポーツ推進課(スポーツまちづくり係・高校総体推進係)が所管
【新居浜市の社会体育推進協力体制】
- 新居浜市スポーツ推進委員 63人
市民の求めに応じて、スポーツの実技及び理論の指導を行うために、定期的に講習会を開催し、能力の向上に努めている。 - 新居浜市校区スポーツ普及員68人
市内各国で組織されている総合型スポーツクラブや体育振興会等に配置され、各種イベントや校区、運動会などで競技指導や審判をしてスポーツの振興に貢献している。
【生涯スポーツの推進】
- 市民歩け歩け大会(ウォーキング8キロ)
- 少年、スポーツ大会(サッカー)
- 新居浜市民体育祭(ふれあいスポーツの部と競技スポーツの部の2部構成で開催)
- あかがねマラソン(スタート5キロコース・急坂ハーフコース)
【運動部活動競技力向上事業(トップアスリート事業)】
- 地元出身の元オリンピック選手による陸上競技教室の開催
- 元オリンピック選手等によるバドミントン・クリニック
【学校スポーツ活性化事業】
市内高校の運動部活動の競技力の向上を図り、全国大会出場につながるレベルを引き上げることを目的とし、新居浜市と言えば〇〇という市のイメージアップを図るとともに、本市中学生にとって魅力ある高校運動部づくりを目指す。現在は、4高校7競技を支援している。
【全国大会出場奨励金】
【合宿支援奨励金】
市内の体育施設を活用した合宿を行うことにより、スポーツ振興や地域経済の活性化、交流人口の増加を図る
【指定管理者(新居浜市文化体育振興事業団)によるスポーツ未来創造事業の実施】
野球教室(小6・中3)、中学生ハンドボール教室等
成果・課題
- 運動部活動競技力向上事業
市内中高生が合同で行い交流ができている。トップアスリートにどうアプローチし、来てもらえるかが課題となっている。 - 学校スポーツ活性化事業
国体を見据えて全国レベルまで上げるために、どのように競技力を向上させるのか、魅力あるものにするのかが課題となっている。 - あかがねマラソン開催事業
平成29年の市制80周年記念として始まったが、コロナの影響により3年開催できなかったことにより、マラソンへの熱が冷めてしまい、参加者が減少した。どのように参加者を増やしていくのかが課題となっている。
所感・大府市への反映
新居浜市市民体育館を現地視察させていただき、ウェイトリフティング専用の練習場があったこと、子ども10円の市民プールには驚かされた。
ウェイトリフティングは、新居浜市出身のオリンピック選手がいたことなどもあり、市を挙げて取り組んでいる。また、河川敷にサッカー・テニス・ソフトボール等のコートが数多く整備され、市民が利用しやすくなっている。
新居浜市民体育祭が盛大に行われることで、子どもの頃からスポーツに触れる機会をつくることができ、生涯にわたり関わることができると思う。大府市は、各地域でコミュニティ運動会が行われているが、年々、参加者の減少が課題となっている。新居浜市のような体育祭を、市全体で開催することも、目先が変わり、市民がスポーツに興味を持つきっかけになるのではないかと思う。
まちなかウォーカブル推進事業について【愛媛県松山市】
取り組んだ経緯
人口減少、少子化、超高齢化を迎えるに当たり、今までとは異なるまちづくりの視点が必要となった。都市経営のコスト、中心市街地活性化、高齢者の生きがい、交通の確保など踏まえ、面的な市街地整備には何が必要か検討を始めた。
中心市街地は空き店舗率の増加、地価平均価格の低下、高まる「遅い交通」の重要性から、歩いて暮らせるまち松山に取り組んだ。
取組の内容と現在の状況
- ロープウェー街(道路空間再配分と景観整備)平成14~18年度
【整備前】
商業の低迷(歩行者通行量の減少による空き店舗の増加)、景観の悪化(張り巡らされた電線、老朽化したアーケード、慢性的な路上駐車)が課題であった。
車道2車線を1車線に、歩道を約1メートル広くし、車のスピードが出ないようにした。無電柱化をし、安全な歩行空間、車の速度抑制をして、地元作成の「まちづくりガイドライン(任意)」に基づく、沿道建物ファサード整備を行った。
【効果】
歩行者数が約3.5倍、地価も上昇した。平成28年度都市景観大賞、四国初の国土交通省大臣賞を受賞した。
- 道後温泉周辺地区(歩行者空間整備)平成14~21年度
【整備前】
観光客が滞留できるスペースが無く、からくり時計前を往来する車が多く、本館と商店街の接続が悪かった。
駅利用と道後温泉本館や旅館利用の自動車動線を分離し、歩行者のみ優先のみちづくりを行った。
【効果】
交通規制による歩行空間の創出、自動車と歩行者の主導線を分離したことによる、ゆとりやにぎわい空間を確保したことで安全性の向上や滞留時間の延長へとつながった。道路整備に合わせた歩行整備により、ぶらり歩きのできる空間づくりとなった。
- 花園町通り「広場を備えた道路」平成23~29年度
【整備前】
暗い歩行環境や大量の放置自転車、多くの空き店舗、松山城周辺の公共施設の移転に伴い自動車の交通が減少した。公民学の連携によりリニューアルまでワークショップや現地まち歩き、有識者や関係者との懇談会を行い、歩行者や自転車に配慮した空間をつくり、道路空間の改変を行った。
・歩きやすさや来街のしやすさを重視した「歩行者・自転車への配慮」
・建物と道路が一体となった「景観の形成」
・イベント等が可能な空間の整備により「人の活動の促進」
・自然石や鉄など「自然素材」の使用
・正岡子規生誕地を感じる仕掛けをして「歴史と文化を感じる空間」
【効果】
歩行者数が約2倍、地価が上昇した。「全国街路事業コンクール」で最高位の国土交通大臣賞を受賞した。
- 松山市駅前広場(人々の往来と賑わいをつなぐ拠点)令和4~8年度予定
松山市駅は、1日約3万人の乗降客が行き交う、公共交通ネットワークが充実した市内最大の交通結節点である。しかし、郊外電車から路面電車の乗換えに道路横断が必要で、狭小の交流広場や放置駐輪が課題となっている。整備案として、現在の歩行者空間3割程度を7割としていくこと。
「交通」の影響と「賑わい創出」の効果を調べるために2パターンの社会実験を行った。
社会実験の結果を、十分に分析し、評価して、設計に反映し、公共交通の乗り継ぎが便利で快適に、賑わいの空間ができることで、中心市街地の活性化へつなげ、たくさんの笑顔が集まる場所となるよう令和4年度中の工事着工を目指している。
所感・大府市への反映
「歩くこと」が健康増進と医療費の縮減を生むことから、歩行を推奨するための整備が重要であるとして、今までとは異なるまちづくりに取り組んだことが成果となっている。公民学の連携により、行政だけでは見えない部分を指摘し、取り組んでいることは重要である。整備に取り組む前に、実証実験を行うことで市民の理解が得られると思う。しかし、来訪者と沿道住民のアンケートでは、整備後の感触に差が出てしまっている。いかに、沿道住民や地権者との合意形成が重要であることがわかった。
大府市においても、令和5年度からの「大府市立地適正化計画」をもとに、駅前においてウォーカブルなまちづくりが進められる計画となっている。市民や地元住民が何を求めているのか見極めて、大府市らしいまちづくりになることを期待している。
KUREスマートシティモデル事業について【広島県呉市】
取り組んだ経緯
呉駅周辺地域での旧そごうの閉店、駅前広場の老朽化、歩行者のバリアフリー動線の確保が課題となっていた。しかし呉駅は、国道・鉄道駅・港の3つの交通モードがコンパクトに集積した立地特性を持ち、県都(広島市)・玄関口(広島空港)との高いアクセス性、豊富な文化資源とそれを活かす芸予諸島・瀬戸内海における拠点性の高さがあり、そのポテンシャルを生かしたまちづくりを進めることとした。
取組の内容と現在の状況
- 呉駅周辺地域総合開発
・平成31年3月 「呉駅周辺地域総合開発に関する提言書」(呉市)
・令和2年4月「呉駅周辺地域総合開発基本計画」(呉市)
・令和3年3月「一般国道31号等 呉駅交通ターミナル整備事業計画」(国土交通省・呉市)
・令和3年4月一般国道31号等 呉駅交通ターミナル整備事業 事業化決定(国土交通省)
・令和4年3月呉駅周辺地域総合開発(第1期)事業協力者「くれみらい」選定(呉市)
・令和4年10月「くれみらい」をそごう呉店跡地開発の実施事業者に選定することに諮問
・令和4年11月呉駅周辺地域総合開発(第1期)実施事業者「くれみらい」選定(呉市) - 呉駅周辺地域総合開発基本計画(令和2年4月)
【第1期開発(5年後の目指す姿)】
・総合交通結節点の形成
・デッキ空間の創出と先進的な活用
・呉駅の南北一体の玄関口の形成
・複合施設の整備による賑わいとまちなか居住の推進
・呉駅の防災拠点機能の整備
・アーバンデザインセンターによる「公・民・学」が連携したまちづくり
【5~15年後の目指す姿】
デッキ上での次世代モビリティの運行
【15年後~目指す姿】
呉市全域における未来都市志向の「交通まちづくり」を軸としたスマートシティの実現 - 複合施設の整備イメージ
民間オフィス、商業施設、クリニック、フィットネス、高齢者向け賃貸住宅、タワーマンションなど、まちなか居住の拠点形成に向けた豊富な都市機能を導入予定 - 第1期開発 整備計画
建物OSから都市OSへ、スマートシティの発信拠点の形成に向けて、民間側で建物OSを実験
※建物OS(複合建物データプラットフォーム)
・建物内の設備とサービスを連携される建物OSを構築
・可能な範囲でデータを一般公開し、オフィスイノベーションを促進
・国の交通ターミナルを始めとする周辺施設とも連携可能な仕様とし、スマートシティの発信拠点の形成に貢献
【内容】
モニタリング、サービスロボット、キャリア5G屋内インフラ シェアリング、デジタルボール、BEMS(ビルディング エネルギー マネジメント システム)、ZEB ready等 - 次世代モビリティ導入に向けた交通社会実験
将来の次世代モビリティの導入に向けて、課題検証及び機運醸成等を目的とした自動運転バス等の走行実験に継続的に取り組んでいる。
・令和元年度 燃料電池バス「SORA」走行実験(令和元年11~12月実施)
・令和2年度 自動運転バス走行実験(令和3年1月実施)
・令和3・4年度 自動運行補助施設の整備(令和3年度~4年度上半期実施)
・令和4年度 自動運転バス走行実験(令和4年12月実施)
今後の取組
- 駅前広場の再整備
駅前広場のうち、バス・タクシー交通広場部分(特定車両停留施設)を国管轄事業として整備、一般車送迎場は呉市事業として整備、今後設計に当っては「次世代モビリティへの対応、災害時の防災拠点としての機能整備」に留意すること。 - デッキ広場整備案
2階のデッキ及び複合施設は、国道31号の道路の付属物として国管轄事業により実施。デッキには、公共交通利用者の円滑な歩行者動線を確保するとともに、賑わいの広場機能、次世代モビリティ乗り入れ機能、災害時の防災拠点機能を導入していく。
所感・大府市への反映
呉市は、交通の利便性や文化資源があり、観光地として人を呼び込むものがたくさんある。
大府市の現在の道路状況において、自動運転バスなどの次世代モビリティの導入は難しいのではないかと思った。大きな整備にもかかわらず、呉市が負担する予算が少ないことに驚かされた。国や民間と連携を図り、上手く使っているのだと思う。やはり、まちづくりには民間の力を借り、生かすべきだと思う。
大府市が、取り組もうとしている駅周辺のまちづくりも長期にわたる事業となるが、市民にとって必要なものは何かなど、ニーズに合ったまちづくりになることを期待する。
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