親和クラブ会派行政調査報告 2026(令和8)年7月6日から8日まで
2026(令和8)年7月6日から8日にかけて、山口県宇部市、広島県東広島市及び山口県周南市を視察しました。
常盤通り(国道190号)のウォーカブル化(ときわTerrace)の取組について【山口県宇部市】
取組の背景・目的

宇部市では、人口減少や中心市街地の空洞化により、商業機能やまちのにぎわいが低下する中、市役所本庁舎の建替えや旧山口井筒屋宇部店跡地の利活用など、周辺施設の再整備と連携したまちづくりが求められていた。
そこで、国道190号「常盤通り」を単なる通過空間ではなく、居心地が良く歩きたくなるまちなかの実現を目指し、歩行者中心の空間へ再編するウォーカブル事業「ときわTerrace」を推進することとなった。歩道・副道・植栽帯を一体的に活用した公園的歩行空間を整備するとともに、市民や事業者が主体となって自由に活動できる場を創出し、中心市街地の回遊性向上とにぎわい創出を図ることを目的としている。
取組の内容・現状
事業は、国と宇部市が連携し、2023(令和5)年度から段階的に整備を進めている。歩道や副道、植栽帯を一体的に再編し、ベンチやテーブル、芝生広場、イベントスペースなどを設け、多様な過ごし方ができる滞在空間を整備している。また、「歩行者利便増進道路(ほこみち)」制度を活用することで、オープンカフェやキッチンカー、マルシェ、音楽イベントなど、多様な民間活動を実施できる環境を整えている。
共創の取組として、宇部市長を会長とし、学識経験者や関係団体、関係機関で構成されている「宇部市常盤通りウォーカブル推進協議会」が、同協議会の部会として専門的事項の検討等を行う、市民公募委員や関係団体で構成されている「賑わい創出検討部会」に依頼して、整備方針や運営方法を検討し、市民参加によるまちづくりを進めている。
「ときわTerrace」の管理運営は、宇部市から都市再生推進法人「株式会社にぎわい宇部」に委託しているが、イベント開催等は自主事業となっている。
所感・大府市への反映
宇部市の常盤通りウォーカブル化事業は、道路空間を単なる移動の場ではなく、市民や来訪者が滞在し、交流し、地域の魅力を体感できる空間へと転換している点が大変参考になった。
行政主導で整備するだけでなく、市民や事業者、大学など多様な主体が参画し、何度も協議を重ねながら事業を進めている点が素晴らしいと感じた。公共空間の価値を高めるためには、ハード整備とあわせてソフト事業や運営体制の構築が重要であることを改めて認識した。
本市においても、駅周辺や公園、公共施設周辺などの公共空間について、多様な主体が活用しやすい環境づくりを進めることで、新たな交流やにぎわいの創出につながるものと考える。今後の都市整備や中心市街地活性化施策を検討する上で、大いに参考となる取組であった。
「東広島市公園整備アクションプラン」について【広島県東広島市】
取組の背景・目的

東広島市は、全国的に人口減少が進む中にあって、数少ない人口増加を続けている都市である。そのような背景のもと、公園の整備も着実に進められており、公園数も年々増加している。
公園は、レクリエーションの場としての機能に加え、良好な都市景観の形成、都市環境の改善、防災性の向上、生物多様性の確保、市民交流の場の創出など、多様な役割を担う重要な都市インフラである。そのため、社会情勢や市民ニーズの変化を踏まえながら、計画的・効率的・効果的な整備と維持管理・運営を推進していくことが求められている。
こうした考えのもと、東広島市では、公園を取り巻く
(1)施設の老朽化
(2)価値観・利用ニーズの多様化
(3)災害への備え
(4)地域コミュニティの維持・活性化
といった課題に対応するため、「東広島市公園整備アクションプラン」を策定し、公園の現状分析に基づく計画的な整備・再編を進めている。
また、西条駅周辺では、中央生涯学習センター跡地を活用し、市民交流やにぎわいの創出、防災機能を兼ね備えた「大屋根広場」の整備を進めている。本事業では、市民アンケートやワークショップを重ねながら、市民ニーズを反映した全天候型の多目的広場の整備を目指しており、公園整備と駅前まちづくりを一体的に進める先進的な取組となっている。
取組の内容
公園整備アクションプランでは、公園数や面積だけではなく、老朽化の状況、公園規模、配置バランス、利用圏域などを客観的な指標により分析し、「一人当たり公園面積」や「公園誘致圏面積割合」によって地区ごとの充足状況を評価している。その結果を基に、公園の更新・再編・機能強化の優先順位を定め、限られた財源を効果的に活用する計画としている。
大屋根広場については、市民アンケートやワークショップを通じて、「イベントができる空間」、「憩い・飲食・読書ができる空間」、「防災機能を備えた広場」などの意見を反映し、全天候型の多目的広場として整備を進めている。また、設計施工一括方式(デザインビルド方式:DB方式)を採用し、民間事業者の提案力や技術力を積極的に活用している点も特徴であった。
現在の課題
公園施設の老朽化への対応や維持管理費の増加に加え、公園再編に対する地域住民の理解促進、完成後の利活用やにぎわいの継続、防災機能と日常利用の両立などが課題として挙げられていた。今後も、人口動向や財政状況を踏まえた持続可能な公園マネジメントが求められている。
所感・大府市への反映
今回の視察で最も参考となったのは、公園整備を単なる施設更新ではなく、客観的データに基づいて優先順位を定める「都市経営」の視点で進めている点である。また、市民アンケートやワークショップを重ね、市民合意を形成しながら整備を進める姿勢や、DB方式による民間活力の導入も非常に参考となった。
本市においても、都市公園の魅力向上、パークPFIなどの公民連携、公園を健康・交流・防災の拠点として活用することが重要である。今後は、現状分析に基づく優先順位付け、市民参加、民間活力を組み合わせた公園整備を進める必要があると感じた。
さらに、大屋根広場のような全天候型交流空間は、公園の新たな価値を創出する有効な手法であり、本市においても交流・健康づくり・防災を一体化した都市公園の整備を進める上で大いに参考となる先進事例であった。加えて、公園整備と駅前まちづくりを一体的に進める先進的な取組事例でもあり、今後の本市の駅前のまちづくりを考えていく上で参考となる事例であった。
平和事業について【山口県周南市】
回天記念館、訓練場及び関連施設の視察
周南市にある大津島は、太平洋戦争末期、人間魚雷「回天」の基地となっており、搭乗員がのこした資料が展示されている回天記念館、訓練場、関連施設などの遺跡が残されていた。
所感

大津島は本土から約10キロ、徳山港からの船が唯一の交通手段である。
島に向かうときには、船から徳山駅周辺に広がる周南コンビナートと呼ばれる工業地帯が広がっており、我々は、昼間の工場群を見ることができ、見応えある景色であった。翌日の視察における、周南市議会副議長の歓迎の挨拶の中では、幻想的な夜景が見られることで有名だということであり、周南市の観光のメインを飾っているとのことであった。
「回天」とは、魚雷に大量の爆薬を搭載し、人間が直接操縦して、敵艦に体当たりするという特攻兵器である。太平洋戦争の末期「天を回(めぐ)らし、戦局を逆転させる」という願いを込めて誕生した。
「回天」の搭乗員の訓練基地の一つが置かれた大津島には、全国から20歳前後の若者が集まり、毎日厳しい訓練を繰り返し、そして、窮地に立つ祖国を守るため、出撃していった。
特攻(特別攻撃)というと、知覧特攻基地で知られるような、飛行機で敵艦に体当たりする攻撃のことがよく知られているが、死を前提とした必死の作戦に頼らなくてはいけないほど、日本軍が窮地に立たされていたことがわかる。
記念館の前に、回天のレプリカが展示されており、中央の突起のところに、出入り用ハッチがあり、人一人がようやく入れるほどの大きさである。そこで操縦して、敵艦に突っ込む。後退する機能はなく、脱出装置もなかったそうだ。暗い深海の中、どれだけの孤独と恐怖で進んだのだろうと考えるだけで、身がすくむ。
なお、回天記念館の中には、搭乗員の遺書や遺品、写真などの関連資料が展示してある。

運搬トンネルと訓練所へ

これは、回天運搬用のトンネルである。ここにレールがあり、トロッコを使ってその先の訓練所へ回天を運んだ。トンネルの先は、回天訓練所である。これも、当時のまま残されている。
元々は、呉市で作られた魚雷の発射試験場として、長距離試験をするための施設だったが、大津島はその後、人間魚雷「回天」の搭乗員を養成する基地になり、ここは訓練所となる。訓練中の事故で亡くなる方もいたという。
建物が当時のまま残っている、かなり貴重な戦跡だ。
今では考えられないが、戦争中は、未来ある若者が命を犠牲にして出撃していった。こんなにのどかな島で、厳しい訓練を受け、故郷から遠く離れた、何のゆかりもない海で亡くなっていった。そのようなことは、今後あってはならない。この島に足を運び、どんな思いで回天に乗り込んだのか思いを馳せることで、戦争の悲惨な有り様や、安心して安全に暮らせる有り難さを実感し、平和の尊さを多くの人に伝えていくためにも、多くの方に訪れていただきたいと考える。

徳山駅前賑わい交流施設を中心とした徳山駅周辺のまちづくりについて 【山口県周南市】
取組の背景・目的

周南市は、2003(平成15)年4月に徳山市を始め2市2町が新設合併し、発足した。河村和登初代市長から三代の市長にわたり、駅前再開発については重要課題として受け継がれ、事業推進が進められてきた。2005(平成17)年2月に徳山駅周辺整備構想が策定され、2008(平成20)年11月に徳山駅周辺デザイン会議が設置された。
徳山駅周辺デザイン会議は、徳山駅周辺整備事業に係る基本計画及び景観について、総合的に検討し、円滑に推進することを目的としており、所掌事務は徳山駅周辺の基本計画策定に関する事項や徳山駅周辺の景観デザインの方向性に関する事項などである。
構成は、学識経験者・経済団体・市民団体・建築士会・交通事業者・オブザーバー(関係行政機関等)等である。
取組の内容・現状

<賑わい交流施設整備事業>
書店・カフェ等と一体的に運営する民間のノウハウを生かした図書館を核に、展望スペース、休憩・待合等の交流スペース、地域情報・行政サービス、飲食施設、交番などの機能を持つ複合施設により、市民サービスの向上、中心市街地の活性化につなげることを目的として整備し、2018(平成30)年2月にオープンした。オープン以来、当初計画していた年間来館者数120万人を上回る年間200万人を達成し、駅に隣接するビルを、民間が運営する図書館を核として整備することで、多くの市民、来街者が滞留する中心市街地活性化の拠点ができ、にぎわい創出につながっている。自動車来場者は約4割となっており、JRの乗降客数もコロナ禍で若干の減少はあったが、現在は上昇傾向にある。
<周南市立徳山駅前図書館の概要>
徳山駅前図書館は JR 徳山駅に直結した3階建ての図書館である。「未来の私に出会う場所」をコンセプトに、365日、年中無休で開館している。徳山駅前図書館は、コーヒーを飲みながら読書を楽しめるカフェスペース、待合所としても利用できる全長約120平方メートルのテラス席、イベントやサークル活動等、様々な用途で使える交流室、地元特産品が並ぶ物販コーナー等、来館者の多種多様な目的に合わせたにぎわいとくつろぎの空間を提供しており、高い集客力を誇る中心市街地活性化のための重要な拠点となっている。
蔦屋書店で知られるカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)が指定管理者となって運営しており、CCCが有するコンセプト企画力やノウハウを通じて、市民に対して高い付加価値を持つ新たな公共サービスとして、にぎわいや交流の創出を実現している。
<官民連携の取組>
賑わい交流施設のにぎわいを中心市街地全体、ひいては市内全体に波及させることを目的として、街と駅との連携会議を行っている。開催状況は賑わい交流施設オープンの1年前から月2回のペースで開催しており、メンバーは賑わい交流施設指定管理者(CCC)、中心市街地活性化協議会、周南市、商工会議所、まちづくり会社、JR西日本、ふるさと振興財団、周南公立大学、イベント主催者等である。同会議から「徳山あちこちマルシェ」や「徳山あちこちクリーンプロジェクト」等の市民イベントが生まれ、まちのにぎわい創出に貢献している。
所感・大府市への反映
本市においても、周南市のように集客やにぎわいの拠点となる公共施設が駅周辺にあることは、コンパクトシティを形成していく上で望ましいと考える。本市では2023(令和5)年3月に大府市立地適正化計画が策定され、居住機能や都市機能を適切に誘導するとともに、公共交通と連携した持続可能なまちづくりを推進している。
今回の視察では、図書館を核とした複合施設を整備するだけでなく、駅前広場や商業施設、民間事業者との連携により、人が自然と集い、滞在し、回遊する仕組みづくりが実践されていたことが大変参考になった。
本市においても、公共施設を単独で整備・運営するのではなく、駅周辺の公共空間や民間施設との連携を図りながら、にぎわいの創出や交流人口の拡大につながるまちづくりを進めていくことが重要であると感じた。
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