厚生文教委員会県外視察 令和5年11月15日

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ページ番号1029458  更新日 2023年12月6日

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 令和5年11月15日、岐阜市立草潤中学校を視察しました。

不登校特例校の取組について

取組の背景、目的

岐阜市立草潤中学校

 閉校となった小学校の後利用に関する議論を起点に、不登校の子どもたちのための学校を設置してはどうかとの検討がスタートし、令和3年4月に不登校特例校として開校した。現在は校名を「学びの多様化学校」に変更している。校名の草潤は、中国の戦国時代の儒学者である荀子の言葉「玉、山に在れば、草木潤い、淵に珠を生ずれば、岸枯れず」を由来とし、内にすばらしいものがあれば、いつかは外にあらわれるとの思いが込められている。
 基本的な考え方として、これまでの学校のシステムに合わせることへの疑問から、不登校を経験した生徒のありのままを受け入れ、個に応じたケアや学習環境の中で心身の安定を図りつつ、子どもが新たな可能性を自ら見出せるようになることを目指している。

取組内容、現在の状況

 定員は40 名程度で、市内全域からの通学が可能である。 スクールカウンセラー等を含む計27名が配置されており、全員が草潤中学校での勤務希望者とのことである。クラスではなく個人担任制となっており、5月に生徒自身が決定し、年度途中の変更をすることが可能である。授業時間は、学習指導要領で示す教育課程(年間1015時間)に対し、草潤中学校では年間770時間の授業を実施。主要5教科のほかに、音楽科、美術科、技術・家庭科を1つに合わせたセルフデザインが設定されており、自分が興味関心のある教科を学習することができる。4月と9月の始めには、全4教科を体験する機会が4時間ほど設けられている。
 毎日登校、週数日の登校と在宅の組合せ、在宅学習中心と、生徒自身の選択によって学校に来る頻度は異なるが、授業は常にオンライン配信されており、登校している生徒も校内の好きな場所で視聴できる。いかにも学校らしいものをできる限り避けるように心掛けており、校則や制服、校歌がないほか、入学式と卒業式以外の学校行事も行われていないが、生徒が自主的に企画した行事は開催している。また、給食も実施しておらず、昼食は自宅から持参するか注文弁当を食べるようになっている。
 生徒がネガティブに受け止めたり、後ろめたく感じたりすることがないよう、遅刻とは言わずに「ゆっくり登校」、欠席も「自宅」と言い換えるなどしているほか、授業始業時間は9時30分からと遅く、終業も14時35分と早いのが特徴である。在校中、どこでも好きな場所で学習に取り組むことができる一方、校内のどこにいるのかを把握できるよう、「イマここボード」が2階の廊下に設置されている。教職員は授業中、そこに掲示された生徒の名札を見て随時巡回し、生徒一人一人が校内のどこで、どのような学習、あるいは活動をしているのか確認し、必要に応じて声掛けを行っている。

大府市への反映・所感

 「学びの多様化学校」は現在、国内に24校設置されているが、文部科学省は今後、全ての都道府県と政令市に1校以上設置し、将来的には全国で300校程度まで増やすことを目標に掲げている。不登校となっている小中学生は全国で約29.9万人とも言われ、その割合は増加傾向であるにもかかわらず、対応できる施設は非常に少ない。本市のような規模の自治体で、学びの多様化学校の単独設置、運営は現実的に難しいと思われる一方、現状の不均衡は是正される必要があることから、近隣他市町との連携を含め、地域ニーズに応じた特例校設置については、それを可能とするための何らかの手法、手段の検討が求められてくるのではないかと考える。
 魔法の学校ではない。入って、すぐに解決するわけではない。学校に通えていなかった空白の部分が、通うことにより顕在化することもあるとおっしゃった校長先生の言葉は強く印象に残った。同時に、入学当初は不安や緊張感でいっぱいだった生徒も、そこに行けば私を受け入れてくれる、信頼できる先生がいる、ここは素の自分がいてもいい場所という安心できる居場所を得て元気になり、勉強したい、友達が欲しい、仲間とつるみたいといった意欲や主体性を取り戻しながら、心身の状況を自己分析し、必要に応じて休んだり、アクセルを踏んだりする判断ができる自己コントロール力を少しずつ高め、困ったときは誰かに助けを求めてもいい、ということを理解して卒業していくとの話を伺い、自己の存在を第三者から認められることで生まれる自己有用感の大切さを改めて感じた。
 教職員に不登校支援のプロがいるわけではなく、開校当初は全てが手探りという中で不安もあったとのことだが、一人一人の生徒をしっかりと理解する上で、職員間の対話というものを極めて重視しており、そうして積み重ねられてきた試行錯誤と改善の日々こそが、自らを日本一対話のできる職員集団と言い切る強い自信にもつながっている。チーム学校の実現が全ての学校に求められている点においても、基本姿勢としてだけでなく、実践の面を含めて大いに見習わなければならない。

このページに関するお問い合わせ

議会事務局 議事課
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