建設産業委員会行政視察 令和5年10月24日から26日まで

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ページ番号1029303  更新日 2023年12月9日

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令和5年10月24日から26日まで、宮崎県日向市、大分県津久見市及び福岡県古賀市を視察しました。

日向市駅前の再開発について【宮崎県日向市】

取組の背景、目的

宮崎県日向市

 日向市では、1990年代以降、中心市街地の衰退が顕著となり、都市構造改革が課題となった。中心市街地の活性化について、1994年から取り組み、1998年には連続立体交差事業による鉄道の高架化と新駅建設、そして、駅周辺の区画整理へと着手した。2012年、鉄道の高架化、日向市の特産物であるスギを使った駅舎、東西の駅前広場の一体化等、駅前周辺地区整備が一つの節目を迎えた。現在も駅前広場では多くのイベントが開催され、市民に使われている。

取組内容、現在の状況

  • 県が主体となった連続立体交差事業、市が主体となった土地区画整理事業、商業者等が中心となった商業集積事業、市が主体となった駅前広場等の交流拠点施設整備事業、この4事業を同時に進めた。中心市街地の整備については、市民が主役となる体制の構築を図っており、当初から「産・学・民・官」協働のまちづくりを目指し、現在までに28の委員会等を設置し検討を行っている。そして、各事業の検討結果を持ち寄り、総合的に議論、調整する場として、「日向地区都市デザイン会議」(メンバー:県・市・JR九州等の関係者、学識経験者、専門家)を置き、まちづくりを推し進め、事業の一貫性を確保していく体制を築き、基本設計から実施計画までを一括に行った。
  • 組合施行ではなく市施行で行った土地区画整理事業では、駅前を12街区に区切り、同時に進行している商業集積事業との調整を図りつつ、それぞれの街区ごとに会議体が構成され、テーマを掲げてまちづくりを行っていた。
  • 完成後の駅舎や交流広場等を市民が「主役」となって利活用してもらえるよう計画・設計段階から市民の意見を取り込む場として「市民ワークショップ」を開催していた。
  • まちづくりのコンセプトとして、地元の木を生かした景観づくりを行い、駅舎を始めとして、道路照明の柱やポラードに地元の木材を使用している。また、市が地権者のための駅前開発ではなく、市民全体のための中心市街地活性化であることを説明し、市民の機運の醸成を図っていた。

大府市への反映・所感

 日向市の駅前のまちづくりについては、4つの事業を同時に取り組み、18年かけて進めた。その結果、整備の効果として、駅前の歩行者・自転車交通量が1.5倍に増加し、市民企画のイベント数が1.8倍、集客数が7.3倍に増加する駅前となった。この成果は、行政と商業と住民が一体となって推し進める体制、つまり、多くの市民を巻き込み、意見を聴く体制づくり、そして、その意見を集約する体制を整え、まちづくりの基本設計から実施計画まで、終始一貫性をもって整備を行ったことが大きな要因であると考えられる。また、実効性の担保として、市施行の区画整理事業に取り組んでいたことも重要であると考える。
 本市においても、多くの市民を巻き込む体制づくりと実効性を持たせるべき事業を、並行して行っていく決意をし、踏み出すことが求められる。同時に、中心市街地の活性化への機運の醸成が図られ、本市の中心市街地活性化へつながる一歩となるのではと考える。
 最後に、日向市の「地権者のための駅前開発ではなく、市民全体のための中心市街地活性化である」という考え方は、大切であると感じた。

津久見市グランドデザイン構想・駅前の開発について【大分県津久見市】

取組の背景、目的

大分県津久見市

 津久見市は、主に石灰石セメント産業、水産業、農業を基幹産業とする都市である。そして、平成12年からの20年間において、約7,000人の人口減が進んでおり、平成29年9月に来襲した台風により、津久見川の氾濫等による市中心部の甚大な被害が出た中で、市中心部の早期の復旧と将来的なまちづくりを議論するため、平成30年2月に、産・学・官・金融・有識者等で構成する「津久見市中心部の活性化検討委員会」を設置し、令和4年3月には、津久見の顔となるにぎわいと活力を創造するまちづくりを掲げ、「津久見市グランドデザイン構想」を策定した。

取組内容について

  • 平成27年から、3か年にわたり実施した「津久見観光周遊性創出事業」において、大学、行政、市民、団体等の相互連携によるワークショップを行い、課題の抽出やまちの活性化に向けた施策に対し議論を行った結果、つくみ公園内にインフォメーション的な役割を果たす拠点施設として「コンテナ293(つくみ)号」を設置し、情報発信をしていくこととした。
  • 平成28年6月から、老朽化が著しい市役所庁舎の新築移転の検討を開始した。また、平成29年9月の台風による甚大な被害からの復旧ということもまちづくりを進めるきっかけとなっていた。
  • 令和元年11月に、商工・産業・福祉・交通・防災・教育・まちづくりなど各分野で活躍されている市民の方々、さらに、一般公募による市民に加え、津久見市職員と進行役となる福岡大学景観まちづくり研究室の方々で、「グランドデザインワークショップ」を開催した。このときのグループ作業では、(1)今後の津久見市におけるまちづくりのポイント、(2)今後どのような取組を行ってほしいか、(3)津久見市の将来像に対する意見といった3項目を中心に意見の共有、議論が行われた。
  • 令和4年3月、新庁舎の建設、街なか観光拠点の建設、歩いて楽しめる川沿を中心とした空間整備、歩道や街路灯整備による駅前線の魅力アップなどを盛り込んだ「津久見市グランドデザイン構想」が策定された。この構想は、現状と課題を踏まえ、今後10年以内に取り組んでいく必要のある事業を整理した将来イメージ図をとなっている。
  • まちのにぎわいづくりとして、「まちづくり補助金」を創設しており、各団体がプレゼン方式で申請し、まちなかウォークラリーやステージのある「つくみん公園」を活用した音楽イベント等を行っている。

大府市への反映・所感

 津久見市におけるまちづくりは、人口減少が進行するという危機感、そこへ市役所庁舎の老朽化による新庁舎の計画、災害からの復旧等がまちづくりへの動機となっていったと考えられる。また、構想づくりのキーマンとなっているのは、職員の1人であった。この職員は、福岡大学の出身で、学生時代に津久見市の公園づくりに携わっていた経緯があり、津久見市のまちづくりをしたくて市の職員となったとのことだった。この職員の働き掛けで、福岡大学との連携も上手くとり、今回の市民がイメージしやすい共通ビジョンとするべき、「津久見市グランドデザイン構想」が出来上がったと考えられる。
 本市において、駅前のまちづくりについてのキーマンの存在と、市民がイメージできる共通のビジョンの策定が本市の駅前のまちづくりを進める上で、改めて必要であると実感した。

古賀駅周辺地区開発構想について【福岡県古賀市】

取組の背景、目的

福岡県古賀市

 古賀市は、福岡市の中心である博多駅まで、約20分、北九州市の小倉駅まで約50分とアクセス性に優れているものの、医療・福祉・商業・行政・交流学習などの主要な都市機能は、古賀駅から約1キロメートル圏内に立地しているが駅周辺からまばらに離れて点在している状況である。そして、駅周辺の立地は少なく、人が集い、住まう環境として魅力が不足している状況である。そこで、駅の東側の大きな地権者となっているニシビ醤油とまちづくりの協力協定を結び、東側に既にある生涯学習ゾーンである「リーパスプラザこが」と駅を結ぶべく、JR古賀駅東口周辺地区整備基本計画を策定し、具体的な整備イメージを持っている。

取組内容について

  • 市と駅の東側の大きな地権者となっているニビシ醤油とがまちづくりの協力協定を結んだ。
  • 古賀市におけるまちづくりの中心となっているのは、福岡大学と熊本大学の講師であり、そこに、市、都市再生機構、商工会議所、地権者のニビシ醤油、タクシー会社、JR九州、高校・大学の部長、地域の区長が加わり、会議を行い、ワークショップも行っている。
  • 現在できているJR古賀駅東口周辺地区整備基本計画は、駅と「リーパスプラザこが」に安心して歩いていけるよう公園を中心に結び、そこへ、子育て世代を呼び込むマンション、商業施設、医療施設等を併設する計画となっている。

大府市への反映・所感

 古賀市は、駅から見た風景では、西側にいくつかのマンションが建設されていた。こういった点から、まちづくりを進めていく上で、本市と共通点が多くあると感じた。
 市の施策と中心市街地活性化の推進を同時に行う構想は、生涯学習センターの利活用を視野に入れ、駅とその場所を安心して歩いていけるよう公園中心で結び、そこへ、子育て世代を呼び込むマンション、商業施設、医療施設等を併設するという具体的であり、今の時勢にそくしたコンパクトシティの実現を目指した計画が作成されており、機運の醸成を図る上で、参考にすることができる取組の仕方ではないかと考える。

このページに関するお問い合わせ

議会事務局 議事課
電話:0562-45-6251
ファクス:0562-47-5030
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