総務委員会行政視察 令和5年10月18日から20日まで
令和5年10月18日から20日まで、香川県東かがわ市、徳島県勝浦郡上勝町及び滋賀県長浜市を視察しました。
地域コミュニティ支援制度について【香川県東かがわ市】
取組の背景、目的
人口減少、少子高齢化によって担い手不足や住民同士のつながりの希薄化等の問題が起き、今までと同じような活動が困難となったり、単位自治会では対応できない課題が出てきた。そのため、平成27年に地域コミュニティ活性化推進条例を制定し、地域コミュニティ活性化基本計画を策定した。地域のことを地域の住民で話し合い、地域で決めて、地域で実践する組織である地域コミュニティ協議会を認定するための規則を定め、認定した協議会へ地域コミュニティ活性化交付金で財政的な支援を行うこととした。
取組の内容
- 地域コミュニティ協議会へは、人づくり、体制づくり、拠点づくりの3つの側面からの支援や、地域の課題を地域で解決するための財政的な支援として地域コミュニティ活性化交付金の交付を行っている。
- 地域コミュニティ協議会を成熟させるステップとして、イベントを実施し、交流や連携による連帯感や相互の信頼感を育てる段階のステップ1、地域住民の意見を集約し、課題解決に向けた取組を行う段階のステップ2、自らの計画に基づく地域づくりを実践するために必要な権限や財源を持ち、住民自治の実現を目指すなどの段階のステップ3を設定して取り組んでいる。視察時点では、ステップ2に取り掛かる協議会が多いとのことであった。
- 平成24年に国立大学法人香川大学と東かがわ市が締結した包括的連携・協力に関する協定(域学連携事業)により、学生と教員が地域の現場に入り、住民等と共に地域の課題解決や地域づくりに継続的に取り組むなど、地域の活性化及び人材育成の一助となる活動を行っている。
大府市への反映・所感
- 地域の意見がまとまらず解散してしまった協議会があるとの説明があった。団体内の意見をまとめることができる人材の重要性を感じた。
- 地域コミュニティ協議会を成熟させるための3つのステップについて、本市でも、ステップ1の交流を深めるイベント等が数多く地域で実施されている。そのため、地域住民が課題解決に取り組むステップ2の段階へ進めるべきであると考える。
- 住民が主役のまちづくりを進めるためにも、人材の育成、財政支援など、取組の基本的な考えやルールを分かりやすく示し、住民自治の確立に向けての気運を高めていくことが重要だと感じた。
- 地域に財源や裁量を持ってもらうとしても、有効に活用してもらえるような研修等が必要であると考える。
- 本市でも地域に対する気持ちの強い人たちはいるため、今のうちに若い世代を取り込むことを含む様々な対策を進めていかなければいけないと感じた。
- 地域の課題を地域で解決できるように支援する方法として、地域コミュニティ活性化交付金のような取組の必要性を感じた。
- 東かがわ市の地域コミュニティ協議会の課題にあった、認知度の向上や担い手の育成、デジタル化の対応に若い世代の参画が必要であるという点は本市も同じであると考える。
- 若い世代の参画を進める手段として、域学連携事業は有効であると感じた。本市でも至学館大学、人間環境大学、日本福祉大学、名古屋石田学園と健康・福祉の増進等の協定を締結しているが、地域づくりに関しても協定を結べるとよいのではないかと感じた。
- 地域が活動するための財源を地域に移管していくことを検討しなければならないと考える。
- 事業の内容を地域で考えて実施できる仕組みづくりが必要であり、そのために意識の醸成を行っていくことが必要である。
ゼロ・ウェイストについて【徳島県勝浦郡上勝町】
取組の背景、目的
上勝町では昭和50年に暫定ごみ処理場として利用を開始した日比ヶ谷焼却場で平成9年までごみを野焼きで処理していたが、平成10年に小型焼却炉を2基導入した。しかし、そのうちの1基から排出されるダイオキシンを測定すると環境基準を満たしていなかった。そのため、残る1基を使い続けるか、2基とも閉鎖するかの決断を迫られていたが、当時の町長は燃やすごみを減らし、分別を増やすという決断を行い、平成13年に焼却炉をすべて閉鎖し、33種類のごみの分別が始まった。その後、ごみの分別は45種類まで広がった。
平成15年に日本の自治体として初めてのゼロ・ウェイスト宣言を行い、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進した。この宣言は目標年が令和2年だったため、新たに目標年を令和12年に定めた、環境教育・人材育成を重点目標とした新ゼロ・ウェイスト宣言を令和2年12月18日に行った。また、同年、上勝町ゼロ・ウェイストセンターが新設された。
取組の内容
- ごみを45種類に分別し、各ごみの収集箱に、処理する際のコストを掲載している。
- 企業と連携して、ごみになるものをゼロにする出口を考えた商品開発の実証実験に取り組んでいる。
- ゼロウェイストセンターまでごみを出しに来ることができない家庭への回収サービスを実施している。
- 対象となるごみや資源を持参して、ポイントをためると景品がもらえる「ちりつもポイントキャンペーン」を実施している。
- 5万円程の電動コンポストの購入に対して、個人の負担が1万円となる補助を実施している。
- ゼロウェイストセンター内でリメイクショップの運営を行うなど、リユース推進の拠点としても活用している。
大府市への反映・所感
- ゼロウェイストセンターにごみを持ってこられない町民のために回収サービスを行っており、高齢者等の見守りを兼ねているのは良い取組だと感じた。
- リサイクルの取組を行う上で、物やお金ではなく、外部からの称賛などの精神的なインセンティブがあることが町民のモチベーションにつながっていると感じた。
- ゼロウェイストの取組は、ごみをゼロにするだけでなく、時間、労力、お金などの無駄をゼロにする取組であり、このような取組の必要性を感じた。
- 分別項目ごとのごみの処理コストを表示する取組は、住民のリサイクル等への意識を高めるのに有効なので、本市でも取り入れるとよいと感じた。
- 子ども世代にどのような環境を残していくかを考えて行動していかなければいけないと感じた。
- 本市もゼロカーボンシティの宣言をしているため、先進的な取組を行うことで、大府市民にも上勝町民のような誇りを持ってもらえるとよいと感じた。
- 環境施策の先進地ということであったが、考え方は住民によるまちづくりそのものであると感じた。
長浜市市民協働推進計画について【滋賀県長浜市】
取組の背景、目的
急激な人口減少や少子高齢化の進展、地域コミュニティの急変などにより、持続可能で活力ある地域社会の実現に向けて、多様な主体の協働による新たな仕組みと体制を構築するため、市民自治基本条例に基づく市民協働のまちづくりを一層推進していくために、新しい協働の仕組みと推進体制づくり等を盛り込んだ「長浜市市民協働のまちづくり推進条例」を令和2年4月に制定し、「長浜市市民協働推進計画」を同年6月に全面改定した。
取組の内容
基本施策として、市民協働を推進する9つの仕組みづくりを掲げて、取り組んでいる。
- 多様な主体の協働を進める仕組みづくり(中間支援機能の強化)
- 地域づくりを推進する仕組みづくり(まちづくりセンターの機能強化)
- みんなで議論する話し合いの仕組みづくり(円卓会議の開催)
- 新しいお金の流れを事業支援に活用する仕組みづくり(コミュニティファンドの設立)
- 新しい形の共助を構築する仕組みづくり(シェアリングエコノミーの推進)
- 情報共有・活用を図る仕組みづくり(情報共有サイトの創設)
- 協働の担い手を育成・確保する仕組みづくり(コミュニティカレッジの開催、まちあそび部の実施)
- 市が保有する情報を活用して課題を解決する仕組みづくり(データの公開と活用の推進)
- 先端技術を活用した地域課題を発見・解決する仕組みづくり(DX実証実験プロジェクト、人工衛星データを活用した農業行政・農業生産に関するDX実証への参画)
大府市への反映・所感
- 長浜市の市民協働を推進する9つの仕組みづくりは、本市でも参考にすべき点が多々ある。取り入れることができる部分は、取り入れていくべきだと感じた。
- 長浜市ではアート系の人がコーディネーターとして入っているためか、一つ一つの事業が洗練されているように感じた。若い世代に興味を持ってもらうための一助になっていると感じた。
- 若者や現役就労世代の人たちが関わりを持つためのきっかけとなるような、緩い取組について検討する必要があると感じた。
- 地域で問題提起をして解決することも市民協働の範囲内だということを更に周知することで、地域の課題解決に生かせるのではと考えた。
- 本市の「市民と市長のまちトーク」は行政側が主導で実施しているが、長浜市の円卓会議のように住民側主導という点も取り入れて実施できるとよいと感じた。
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