基本方針策定の背景
社会環境の変化
わが国の65歳以上の人口比率は21.5%(平成19年10月1日現在)で、初めて21%を超え5人にひとりが高齢者となる本格的な高齢社会となっています。
本市の人口構成は、平成20年3月末現在総数84,106人の内65歳以上が13,556人であり、割合は約16%となっています。全国平均に比べると低い割合でありますが、今後も割合は年々増加して、平成22年には、17%を超え、市民の6人にひとりが高齢者になると予想されています。
また、わが国の外国人人口は平成19年末2,152,973人で総人口の1.69%を占め、10年前と比べ1.5倍の増加となっています。
本市では2,625人(全体の約3%)が登録されており、市内の企業に就労する方も増えており、今後の方向として、人口は増加し、国籍も多様化していくものと思われます。
高齢者(65歳以上)人口の割合(大府市)
外国人の割合(大府市)
国の動き
国は、物理的な空間・環境における障がいを取り除くために、平成6年に「ハートビル法(※3)」、平成12年に「交通バリアフリー法(※4)」を制定し、誰もが利用できる施設づくりを推進してきました。
さらに、平成17年には、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえた国土交通行政を進めるため、ユニバーサルデザイン政策大綱が策定され、その後平成18年には一体的・総合的なバリアフリー施策を推進するために、二つの法律を統合・拡充した「バリアフリー新法(※5)」が施行されました。
バリアフリー新法では、対象を「高齢者・身体障がい者等」から「高齢者・障がい者等」とし、すべての障がい者が対象となりました。
※3 ハートビル法:高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成6年法律第44号)
※4 交通バリアフリー法:高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(平成12年法律第68号)
※5 バリアフリー新法:高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)
県の動き
愛知県では平成5年7月に「あいち8か年福祉戦略」(愛フルプラン)を策定しました。
この検討過程において「人にやさしい街づくり」という新たな取組を提案し、基本戦略の1つとして「人にやさしい街づくりと高齢者、障がい者にも住みやすい住宅の整備」を掲げ指針として取りまとめました。
これらの戦略や指針の中で、人にやさしい街づくりを確実に進めるため、条例の制定を提案しており、平成6年10月に「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」として公布されました。
条例制定からこれまでに、少子・高齢化社会の急速な進展や、高齢者・障がい者等をはじめだれもが社会の担い手になることの必要性が強く認識され、また国において「ハートビル法」、「交通バリアフリー法」等関連法令の整備が行われ、バリアフリーの施策が展開されているのを受け、平成16年12月には「人にやさしい街づくりの推進に関する条例の一部を改正する条例」が公布されました。
さらに、一人ひとりが個性と能力を発揮し、自由に参画し、自己実現を図っていけるような社会づくりに向け、平成17年7月に国土交通省において、ユニバーサルデザイン政策大綱が取りまとめられたことを受け、愛知県では平成20年1月に、「人にやさしい施設設計への参考書」の存在となるよう「人にやさしい街づくり 望ましい整備指針」をまとめ、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた施設の普及を目指す方針を明らかにしました。
本市の現状とまちづくり
現状
人口が、全国的に減少する状況の中で、大府市は、年1~2%の割合で増加傾向にあります。
また、あいち健康の森を中心とした施設等を目的として、本市に訪れる方も増加傾向にあります。
こうした定住人口と交流人口の増加や価値観の多様化、高齢者の増加、国際化の進展、障がいのある人の社会参加の意欲の高まりなどへの適切な対応が求められています。
この傾向の中で、本市のまちづくりの基本的な理念である「健康都市」を実現・継続させるためには、高齢者も若年者も、男性も女性も、障がいのある人もない人も、外国の人も日本人もすべての人を対象にしたまちづくりを行うことが大切です。
年 | 世帯数 | 人口 | 対前年 | 高齢者 | 外国人 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男 | 女 | 計 | 増加人口 | 増加率 (%) |
計 | 人口 割合(%) |
計 | 人口 割合(%) |
||
平成 16年 |
29,838 | 40,156 | 38,306 | 78,462 | 892 | 1.1 | 11,012 | 14.0 | 1,730 | 2.2 |
平成 17年 |
31,006 | 41,101 | 38,914 | 80,015 | 1,553 | 2.0 | 11,571 | 14.5 | 1,924 | 2.4 |
平成 18年 |
32,044 | 42,063 | 39,590 | 81,653 | 1,638 | 2.0 | 12,144 | 14.9 | 2,187 | 2.7 |
平成 19年 |
32,955 | 42,774 | 40,202 | 82,976 | 1,323 | 1.6 | 12,860 | 15.5 | 2,339 | 2.8 |
平成 20年 |
33,782 | 43,456 | 40,650 | 84,106 | 1,130 | 1.4 | 13,556 | 16.1 | 2,625 | 3.1 |
まちづくり
大府市総合計画
「健康は、私たち一人ひとりにとってまた、家庭・社会にとって最大の財産であり、豊かで活力に満ちた生活を営むための最も重要な基礎となる共通の願いである。」という「健康都市」の考え方を第1次から第4次まで承継し、その理念をより鮮明にすることによりまちづくりの方向を定めて「躍動・ふれあい・健康都市」の実現に向けて取組を進めてきました。大府市総合計画は、今後もその理念を踏襲していくこととし、現在は第5次の総合計画を策定する作業に入っています。
大府市人にやさしい街づくり基本計画
本市は平成8年度に、現在世界共通理念ともなっており、人にやさしい街づくりの基本理念である「ノーマライゼーション(※6)」のもと、誰もが等しく住み慣れた地域社会の一員として、その能力を十分に発揮しながら、希望する日常生活や社会参加を行うことができる物的・社会的環境を整備することによって、「誰もが皆、生き生きと輝いて暮らす街」を実現することを目的とし、「バリアフリー(障壁のない)な街づくり」を進めるため、「大府市人にやさしい街づくり基本計画」を策定しました。
この基本計画により、市が設置する公共施設につきましては、内部組織である「人にやさしい街づくり推進委員会」にて、「大府市人にやさしい街づくり基本計画」の方針に沿っているか等を検討し、人にやさしい施設づくりを率先して推進しています。特に、新しく公共施設を設置するときは、ユニバーサルデザインに対応した考え方を取り入れて整備しています。
しかし、既存施設を中心にまだまだ十分な対応がなされていない状況であり、計画的に推進する必要があります。
なお、不特定多数の方が利用する民間の施設につきましては、県の「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」により整備計画について届出の義務があり、市民が普段利用している民間施設についても、誰もが安心して利用できる施設整備が進められています。
また、平成12年にはふれあいバスの運行を開始し、市民が出かける機会をつくるために、誰もが市内の主な施設等に容易に移動できるよう努めています。
平成17年に国においてユニバーサルデザイン政策大綱が策定され、その後バリアフリー新法が施行されていますが、ユニバーサルデザインの考え方は、まだまだ市民に認知されていない状況であります。
特に、ハード面の整備だけではなく、誰もが人として平等でいきいきと暮らせることのできる「心のユニバーサルデザイン」の考え方の普及・啓発に努める必要があります。
※6 ノーマライゼーション:高齢者・障がい者はもとより子ども・妊婦などを含めたすべての人が家庭や地域で、ともに暮らし、普通の生活を送ることの出来る社会をつくるという理念。
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