総務委員会行政視察 令和4年10月31日から11月2日まで

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ページ番号1025493  更新日 2022年12月5日

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令和4年10月31日から11月2日まで、静岡県袋井市、東京都町田市及び茨城県つくば市を視察しました。

ICT人材の育成(スマート自治体変革プロジェクト)について【静岡県袋井市】

取組の背景、目的

静岡県袋井市にて

 「人口減少による職員数減」、「財政の硬直化」、「税収減」、「技術発展への対応の遅れ」等を今後の自治体行政の課題として捉え、今後は「現状維持がリスクになる」との懸念から、その前に人材育成が必要との考えに至り、「スマート自治体」実現に向けたICT人材育成の取組を始めた。

取組の内容

  • BPRを実践できる職員を計画期間中(令和2~5年度)に100人育成する。(年間約25人)
    ※BPR=業務本来の目的に向かって既存の組織や制度を抜本的に見直し、プロセスの視点で職務、業務フロー、管理機構、情報システムをデザインし直すこと
  • 対象者は、主事から主任まで(入庁から数年を経過、次世代を意識した若い世代を育成)
  • 研修受講生によるプレゼンで提案された事業は、報告会での意見を踏まえ、実用化に向けて検討

大府市への反映・所感

  • 袋井市ではBPR研修共同事務局として、企画部ICT政策課DX推進室(8人)と総務部総務課人事研修係(12人)の計20人の組織体制で取り組んでいる。本市で同様の研修を実施する際は、こうした体制が必要になってくるのではないか。デジタル戦略室の構成員は正規職員5名(室長1名を含む)であり、職員数の増員及び外部の人材の登用をしていく必要があると考える。
  • 多岐にわたる市役所内の業務を業務フロー(標準化)にすることは大変な工数が掛かる。しかし、今回の袋井市では必要と感じており、大府市も業務の棚卸として実践してはどうかと考える。
  • 研修でまとめた提案の中から実際に事業化されるものもあり、やる気につながると感じた。大府市で行われている事務改善提案のデジタル版といったところか。
  • 文章作成能力も大切だが、業務フロー図を作成して課題点を見つけられる人材が求められている。「そもそもなぜこの業務をしているのか」を考えられる人材を育成するプログラムが必要である。

まちドアの活用について【東京都町田市】

取組の背景、目的

東京都町田市にて

 「町田市デジタル化総合戦略」2022年度版では、期待する成果として、「デジタル技術の徹底的活用による市民の利便性向上と市役所の生産性向上」を掲げており、システム更改をきっかけとする標準化、共通化及びオンライン化に加え、「できることからDXをはじめる“e-まち”実現プロジェクト」と題し、「来る手間、書く手間、二度手間をなくす」として、「オンライン行政サービス」、「キャッシュレス決済」、「スマートシティなどの施策」など、「町田市版DX」を推進するとした。

取組の内容

  • 住民基本台帳や国民健康保険を始めとする20種類の基幹業務のうち、27種類の行政手続がオンライン化された。
  • オンライン行政手続のポータルサイトを導入した。ウェブブラウザ用のポータルサイトだけでなく、スマートフォンアプリ向けのポータルサイトとしてLINEリッチメニュー、さらにはメタバース上にもポータルサイトを導入した。
  • 公的個人認証機能、決済機能を持つ汎用オンラインサービスとしてLINEとグラファーを採用した一方、複数のオンライン行政手続サービスから申請情報を自動取得し、一元的に管理する仕組みも導入された。これにより、オンライン化された手続の累計件数は213件となった。
  • 窓口払いに加えて請求書払いもキャッシュレス決済可としたほか、「共通納税システム」を利用した支払い税目の拡充も進めており、口座振替もウェブ受付が導入された。

大府市への反映・所感

  • オンライン行政手続ポータルサイト「まちドア」は、スマートフォンアプリのLINE、Webブラウザの町田市公式HP、メタバースの3つから利用できる。何がオンラインで申請できるのか見やすいので、大府市もまとめたものを掲載できるとよいと考える。
  • 「できることからDXをはじめる」と掲げている一方、利用件数の多さという極めてわかりやすい顕在ニーズも基準としている点は、市民の利便性に対する強い向上意識を感じた。
  • メタバースについてはターゲットを主に若年層に絞っており、チャレンジングな取組で、利用者もまだ800人程度とのことであった。実用的かどうかは別として、面白い取組であり、若者が行政に興味を持つきっかけになるのかもしれない。
  • 年代に特化した考え方で、一つの方法でなく年代や個人の好みなど様々な方法を選択できるよう、デジタルを利用することがよいと感じた。
  • デジタルの進化のスピードは速いため、現在は主力となっているスマートフォンがいつまでも端末のメインであるとは限らず、例えばARやVR等のウェアラブル端末が広く普及されるかもしれないといった考えを町田市はお持ちであり、先を見据えることの大切さを感じた。

自治体DXの取組について、つくばスーパーサイエンスシティ構想について【茨城県つくば市】

取組の背景、目的

茨城県つくば市にて

  • 自治体DXについては、2030年以降、つくば市の人口も減少する見込みのため、行政サービス分野においても、限られた職員や財源で必要な行政サービスを維持していくことが求められる。また、人口が減少することを前提とした地域づくりをする必要があり、限られた人員・財源で生活の質(QOL)、子育て環境、健康づくり、気候変動対策等々の向上を図る必要がある。
  • 「つくば市スーパーサイエンスシティ構想」には、市中心部と郊外との二極化や地域交通の維持、公共施設などの老朽化を迎えるなどの課題を抱える中で、それらを踏まえた6分野の構想が示されており、最終的に目指す社会として3つの目標が提起されている。

取組の内容

  • これからの自治体は、庁内に埋蔵されているクローズドデータについて、必要なときには、限定共有できるシェアードデータ(クローズドデータとオープンデータの中間に位置するもの)として活用することが重要である。また、紙に記載されたデータはそのままでは使えないため、形式を統一してデジタル化し、データ活用できる状態にする必要がある。そのためには、データリテラシーのある人材育成が必要と考え、職層別の「データ利活用研修」を地方公務員法第39条に基づく基本研修として実施している。
  • 「つくば市スーパーサイエンスシティ構想」では国家戦略特区のもと、インターネット投票やモビリティ、ロボット活用等の様々な実証実験が行われている。

大府市への反映・所感

  • データの利活用に必要な理解については全職員が同等である必要はなく、管理職は高い視点から俯瞰するための理解、実務者においては実施することの理解が求められる。職層に応じた研修を人事研修として参加必須の研修にすれば、強制的な普及が可能となるため、大府市にも導入してはどうか。
  • 国全体の人口減少によってマンパワーと財源の縮小が進む中でも、引き続き市民ニーズの多様化に応えつつ、従前同様に市民利益の増進を図っていくには、今後の自治体経営において、主観的な勘や経験などに頼らない客観的データとエビデンスによる政策立案(EBPM)を行う必要がある。そのEBPMに不可欠となるのが、まちづくりや行財政運営の過程で蓄積される様々なデータであり、その適切な利活用に向けて環境を整えていくことは、将来にわたって「人にやさしい」まちであり続けるために欠かせない種まきであり、未来を守る必要なインフラ整備であると改めて実感した。
  • 国家戦略特区の指定を受けて、様々な実証実験が可能となっていることは羨ましく思った。採択された理由として、構想を練る際に業者任せにせず、自分たちで立案したことを挙げていたが、クリエイティブな部分は行政マンにとって苦手分野だと思うので、そのようなアイデアを出せる職員がいることが素晴らしいと感じた。

このページに関するお問い合わせ

議会事務局 議事課
電話:0562-45-6251
ファクス:0562-47-5030
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