総務委員情報交換会(区長) 2025(令和7)年8月19日
2025(令和7)年度の総務委員会は、「社会課題の解決に向けた連携について」をテーマに調査研究を進めています。2025(令和7)年8月19日、本市内の全自治区(10自治区)の区長と「議会とともに探る、地域自治の新たなかたち 自治区の現状と展望」と題し、大きく四つの質問事項を基に、情報交換会を実施しました。また、この情報交換会を経て、同日に委員意見交換会を行いました。
議会とともに探る、地域自治の新たなかたち 自治区の現状と展望
1.地域の今と変化について
- 市の発展に伴い自治区の境界が曖昧になり、住民意識も変化してきているとの意見があった。
- 高齢化により買物や通院、ごみ出しに困難を抱える住民が増加しており、若い世帯が少ないため、班長や組長といった役割を断る人が増え、担い手不足の状況があると報告された。
- 世帯数の数え方が、敷地内同居や別居の場合等、自治区ごとに統一されておらず、自治会費の徴収に影響を及ぼしている実態があり、さらに行事への参加率が低下している現状が述べられた。
- 加入率は9割と高水準を維持している自治区もあるものの、退会する人もみえる実情があり、高齢者や障がいのある方に無理に役を担わせないよう「思いやりの仕組み」を構築している地域もあるとの報告があった。
2.行政との連携・支援について
- 自治区への補助金は活動の柱となっているが、加入世帯の減少や物価高騰により不足している状況であると指摘された。かつて自治区で行っていたごみ袋販売収入が活動費を支えていたが、現在は廃止され、財源が縮小している実態があると報告があった。
- 区長報酬が低く、生活との両立が困難であることが示され、また、市の無形文化財である伝統行事の祭りを継続するには年間約400万円を要し、市の補助金増額が不可欠であるとの意見があった。
- 自治区の事務員の事務量が多く、後任がいないこと、また、区長の高齢化が進み深刻な状況となっていることが述べられた。
- 一方で、会費の増額は退会者を増やす要因となるため避けるべきであるとし、資源を回収して、組の運営資金にするという自分たちの努力が必要ではないかとの意見もあった。
- また、地域住民から区長への相談や要望が集中しており、行政と自治区を橋渡しする「コーディネーター的存在」の必要性があるとの意見も示された。
3.地域課題への取組について
各区長からは、空き家の増加やごみ出し困難世帯、孤立高齢者への対応に取り組んでいるが、人手不足により十分な対応が難しい状況もあると報告された。
防災面においては、要配慮者の把握や避難支援に不安が残っているとの意見があった。
また、事務員の雇用支援や市が事務作業を補助する仕組みの必要性が指摘され、さらに、若い世代の参画を促すための工夫も課題として共有された。
4.これからの展望・提案
将来像として「思いやりのある地域づくり」を目指し、高齢者や障がいのある人が無理なく役割を担える仕組みを広げていく必要があるとの意見があった。
また、地域住民が支え合うコミュニティを維持するために、自治区によっては、伝統行事を存続させたいが資金的に困難であり、市の補助が不可欠であるとの意見も示された。
さらに、担い手を確保するためには謝礼などの制度の検討も望まれるとされた。
5.大府市への反映・所感
情報交換会を経て、同日に意見交換会を行った。その際、以下のような意見が各委員から述べられた。
- 担い手不足は共働きや定年延長といった社会的背景によるものであり、昼間の活動が難しい人が増えているため、一自治体だけでは解決は困難である。
- 高齢で役を辞めたい人に対して「回覧板だけでも残ってほしい」と声を掛けて残ってもらった経験が紹介され、役を引き受け続けることの意義を伝えることは重要である。
- 補助金の算定方法を見直し、世帯数のみを基準とするのではなく、基本となる運営費を保障したうえで世帯割を加味する方式の導入を検討すべきである。
- 新住民に対してメリット・デメリットを丁寧に説明し、声を掛けることが加入促進につながる。加入すれば災害時に助け合える関係が築かれることを伝える必要があり、また、役を担う人への報酬改善も必要である。
- 市が自治区をどのように位置付けているのかを明確にすることが重要である。
- ごみ出しに関して、非加入者がごみを出すことへの不公平感が一部の自治会員に生じている現状がある。非加入者によるごみ出し問題については、市全体でルールを統一することも必要ではないか。税徴収方式による公平性の確保を図ることも一案である。
- ごみ出し問題に関して、市職員や専門人材を派遣し、自治区運営を支援する仕組みを導入すべきである。
- 「どぶろく祭り」の維持に自治区任せでは限界があるとの声を受け、市全体での対応を検討すべきである。
- 区長への相談や要望が集中する現状を踏まえ、市と自治区をつなぐコーディネーター的な存在が必要である。
活発な情報交換や委員間討議を行うことができ、貴重な御時間をいただきました区長の皆様に深く感謝を申し上げます。今後は、他の事例なども参考にしつつ、調査研究活動を進めていきます。
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