2021年2月「橋ものがたり」

　鞍流瀬川や石ケ瀬川の緑道はよく利用するウォーキングコースで、夕暮れ時に橋の上から見える川 面に映し出される光景はお薦めです。橋の両側には橋銘板があり、橋名や完成年月などを見るのも楽 しみの一つです。市内には川をまたぐ橋をはじめ、鉄道や道路をまたぐ橋など約230の橋があります。 令和に入り、鞍流瀬川に架かる「令和柊山橋」も完工しました。橋といえば、藤沢周平の短編小説『橋も のがたり』を思い起こします。舞台は、江戸時代の隅田川周辺。橋は、男女の出会いや待ち合わせ、別れの場所として描かれています。戦後間もない時期に放送されたラジオドラマ『君の名は』では、男女が会う約束の場所として数寄屋橋が設定されました。自動車や携帯電話など人の行動様式の変化により「橋」の出会いと別 れの場所としての意味は薄れてきましたが、市内には皆瀬川・高根川に架 かる「昭和46年3月改築」の「夫婦橋（めおとばし）」があります。橋名は両川の合流地点にあることに由来していると思われますが、その橋名にとても郷愁を感じます。

大府市長　岡村秀人