第8話 大府のぶどう

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ページ番号1015709  更新日 2020年10月28日

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健耕サポーター制度

「大く〜ん、起きてる?朝早くからごめんなさいね。ちょっと上がるわよ。おじゃましま…」
あの声は美知子おばさん…おばさんは、じゃまするって言い終わらないうちにおれの部屋のドアを開けた。
「あーよかった。今日は大君、部活がないから暇してるって靖子さんが言ってたから…うちのぶどう園手伝ってちょうだい」「ああ、はい」 まじか〜。せっかく昼まで寝てようって思ってたのに。あずまがいなくて人手が足りないのかな。

おばさんのぶどう園はこのあたりでは古くて約60年の歴史があおれのじいさんが始めたんだ。巨峰の栽培に挑戦したのもじいさんらしくて、そんときの苦労話を父さんから聞いてる。おれの父さんはぶどう園を継がず東京に出ていったんだからおばさんには頭が上がらない。

ぶどう作りは新芽が出る4月頃から忙しくなる。ぶどうの新芽は2つずつ出るから、1つを間引く 「芽かき」 という作業。5月には伸びた枝を棚に固定して、つぼみを間引く作業「摘蕾」。花が咲く前には花も適当に間引いてしまう。この作業は、実ったときに房の大きさをそろえるためで、このおかげで立派な形のぶどうができるんだ。
それでも実際に、実がつきすぎてしまった房、ついていない房を間引く「摘房」という作業。1房を 40粒程度にする「摘粒」という作業。この作業が終わった時点でぶどうの実は初めにつぼみを付けた数の 点でぶどうの実は初めにつぼみ う作業。この作業が終わった時 10分の1くらいになってしまう。
こんなに丹精込めて育てたぶどうの実をさらに選別して、房を作り上げる。
7月には1房ごとに袋をかぶせて、8月にやっと販売できるんだ。本来ぶどうは乾燥した土地で育つ種なので日本の高温多湿な天候では病気になりやすく、手がかかるんだって。でも、手間と時間と愛情をかけておいしく育てるんだ。
ぶどう園に着くと、おれの他にも3人ほどの人たちが手伝いに来ていた。これは、大府市が展開している「健耕サポーター制度」 で、農業体験をしたい人を人手が必要な農家に紹介してくれる制度なんだ。貴重な体験ができて、農家も助かるって『Win Win』だろ。
「せんぱ〜い、こんなところで会うなんて!!」
「うわっ!桃花!お前なんでここにいるの?」
「私は健耕サポーターですよぉ。先輩こそなんでいるんですかぁ?」
「ここはおれのじいさんの農園なんだよ。おれも手伝いに来たの」
「えぇ〜?まじですかぁ !? 偶然っていうかぁ、なんか、私と先輩って、いつも一緒ですよねぇ〜。これって…」
「はぁ!?な、何言ってるの、お前。う、うっせーよ!」(6月1日号へ続く)

このページに関するお問い合わせ

企画政策部 企画広報戦略課
企画政策係 電話:0562-45-6212
広報広聴係 電話:0562-45-6214
ファクス:0562-47-7320
企画政策部 企画広報戦略課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。