第7話 春の旅立ち
「先輩が、ボランティアなんてダサイとか、自分には関係ないとか、イイ子ぶってるみたいで恥ずかしいとか思ってるのはわかってるんですぅ。でもね、いいですか、みんながそう思っていたら誰が困っている人を助けるんですかぁ?他の人がやってくれるだろうって見ないでいたら、その間にもっと悪い状況になるかもしれないんですよ。誰だって他人のために何かできることはあるはずなんです!」 桃花があんなに一生懸命になってるとこ初めて見たよ。
真っ赤な顔して涙目で。それでコラビアまつりのボランティアに来たんだけど…
男は力仕事って分かってたけど、重いよ〜。このテーブルといすはどこに運べばいいの?
「先輩、足元見えてますか?次、階段がありますよ。あっと、危ない!じゃ、ここで子どもたちと遊んでてくださいね。私は『フィンガーペイント』 のお手伝いしてきます。またあとで〜」
コラビアまつりは年に1度の市内ボランティア団体の祭典。まずは多くの人に関心を持ってもらわなきゃ。私が今日お手伝いするのはNPO法人トゥリルのブース。フィンガーペイントって、段ボール紙のシートに絵の具を使って指で絵を描いていくこと。手で直接絵の具を触ることなんて普段はないから子どもたちも楽しそう。こんなふうに喜んでくれる人の笑顔が自分のエネルギーになっていく。他の団体はおいしそうなスイーツやかわいい花苗の模擬店を出したりしてる。ここでの売り上げが活動資金になるなら私もシュークリーム買っていこ。大府市ではこんなにたくさんの人が誰かのためにがんばってるんだなぁ。それに今回のコラビアまつりでは 『ファンドレイジングイベント』 が行われているんだって。来場者が応援したい団体に投票するとその得票数によって活動資金が分配されるという仕組みなんだ。
ところで、先輩はどこ?あっ、ステージの上で踊ってる!!!
小学生と一緒にヒップホップを踊ってる!
「せんぱぁ〜い、かっこいいですよ♡」
「あーあ。今日は楽しかったな。桃花、誘ってくれてありがと」
桃花に強引に連れてこられて考えが変わったよ…できることから始めればいいんだよな。
その後も桃花に振り回されながら、瞬く間に春休みは過ぎ去り、4月、無事志望校に合格したあずまは大学進学のために東京へ行ってしまった。あずまのことが大好きだった桃花は泣きながら手を振ってたけど夏休みになったら遊びに行けるだろ?まったく…。
あずまは実家のぶどう園を継ぐのが夢で果樹栽培とか、農業での地域活性化とかの勉強をするらしい。よく分かんないけど。おれも大府に来て1年。これまでの経験を生かしてこれからのこと考えなきゃ…(5月1日号へ続く)
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