第18話 梅は咲いたがサクラはまだ?

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ページ番号1015728  更新日 2020年10月28日

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大倉公園での盆梅展を訪れる一行

大学受験も終わり、あとは合格発表を待つだけになったある日曜日。じいちゃんに呼ばれた。
「おーい大。おきてるかー?一緒に大倉公園に行くから早く準備してきなさい」
大倉公園か…受験勉強で出掛けることもなかったし、じいちゃんと出掛けるのもいいかもな。
「それにしてもなんで大倉公園なの?」
「ちょうど今、大倉公園で盆梅展っていうのをやっていてな。わしの友達が文化協会の盆栽会におって、自信作を出品したから見に来てくれって言われてな」
じいちゃんって結構交友関係広いからな。
「ところで大は大倉公園のいわれを知ってるか?」
「えっ、何それ?」
「大府に住んでいてそんなことも知らんのか!情けないのう。よし、じいちゃんが教えてやろう。この土地には日本陶器株式会社、現在の株式会社ノリタケカンパニーリミテドの創設者、大倉和親氏の別邸があっての、昭和2年には加陽宮恒憲皇が滞在されたといわれているそれは由緒正しいものなんだ。それで大倉公園と呼ばれているんじゃ。入り口のかやぶき屋根の門は当時のもので大変価値のあるものなんじゃよ」
「へー、全然知らなかった」
かやぶき屋根の門をくぐり、大倉公園に入ると来場者に振るまわれていた甘酒の香りがした。庭園にある木々は冬枯れしていて寂しいけれど、盆梅展のにぎわいが一足先に春を運んでいた。
展示会場は二カ所あったのでまず、第一展示会場に入った。すると、いきなり立派な紅梅が出迎えてくれた。
「この梅、めっちゃでかいな!これも盆梅なんだ」
「それは樹齢300年くらいかの」
「えっ、ま、まじか」
「当たり前じゃろ?それが盆梅の奥深さだよ。何代にも受け継がれていく歴史があるんじゃ。例えばこの盆梅展の期間中に梅が最も美しく見えるように鉢を日陰において開花を遅らせとるんじゃぞ。とにかく手をかけとるんじゃ」
「でもこの梅は蕾が多いよ?」
「ははっ!大にはまだ蕾の良さがわからんか。咲いた花だけが美しいわけじゃないんだ」
「ふうーん…じゃあこの盆梅が置いてある台もなんかこだわりがあるの?」
「もっちろん。より美しく見えるように盆梅とのバランスを考えて選んでいるんじゃ」
第二展示会場では琴と尺八の演奏が行われていた。
「ここは例の旧大倉和親氏の別荘離れだ。美しい琴と尺八の音色が梅の花の美しさをより引き立てるのう」

展示会場を出ると…まさか…
「あ、まーくん?」「先輩じゃないですか!こんなところで会うなんてすごい偶然ですね!」
「あずまと桃花か!俺はじいちゃんと盆梅展を見に来たんだよ。おまえらは?」
「私たちは歴史民俗資料館にひな飾りを見に来たの。大学はもう春休みだからしばらく実家にいるよ」
大学生か…。おれも4月からは大学生…?梅もいいけど早く 「サクラ」咲いて欲しいよな!(4月1日号へ続く)

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