第20話 防災会議をしてみた
「大!いつまで寝てるの?早く起きなさい!」 母さん今日は日曜日だろぉ。
「うるさいな…まだ8時じゃん。休みなんだからもうちょっと寝かせろよ」
「なに言ってるの!今日は朝から家族全員で防災ガイドブックの確認をするって昨日から言ってたでしょ?もう忘れたの?みんな待ってるから早く起きてきなさいよ」
そういえばそんなこと言われてたような気もする…
渋々布団から出て、居間へ行ってみると既に話し合いが始められていた。「お、大!遅かったな。先に始めとるぞー」
じいちゃんと父さんが何かを見ながら話している。
「なにそれ。地図か何かなの?」
「これは大府市が五年に一度、市民のみんなに配布している 『大府市防災ガイドブック』 じゃよ」
「えっ、これ中身全部カラーじゃん!」
「そうなんじゃよ。しかも家の中でなくさないようにサイズが大きいだろ?この穴にひもを通しておけば壁に掛けておけるぞ。ふりがなも振ってあるから子どもも読めるし、はっきりした文字が使われているからわしみたいな年寄りでも読みやすいんじゃよ」
細かい所まで工夫されているんだな。
「今回のは自分たちで書き込んで使うように、記入欄やチェックすべき項目もわかりやすくまとめられているんじゃよ。まずは家の位置を赤ペンで丸っと」
「えー、なになに?自宅近くの避難所や震火災避難広場ってどこ?」
「やっぱり大は知らんかったか。このままだと大だけわしらと会えんところじゃったな」
じいちゃんが笑いながら背中をバシバシ叩いてくる。本当に会えなかったら笑い事じゃないだろ…
「そういえば、うちって非常食とか用意してるの?」
「もちろんじゃよ。一週間分の食料品や水以外にも懐中電灯や携帯ラジオ、燃料、貴重品、救急医薬品、工具もちゃんと用意していつでも取り出せるようにしてあるぞ」
ちゃんと準備してたのか。全然知らなかったな。
「あっ、そうじゃ。もうすぐ梅雨だの台風だのやっかいな季節になるから風水害の対策もした方がいいじゃろう。この防災ガイドブックには、洪水ハザードマップもついているんじゃよ」
「ホントだ、過去に被害があった場所やこれから起こり得る浸水被害まで書かれてる。これを見ればどこが危険なのか一目瞭然じゃん!」
「それだけじゃないぞ。いざ避難することになったときどうしたら良いのかも書かれているんじゃ」
安全管理や避難所生活でのマナー、感染症予防、要配慮者や女性への配慮か…たしかにどれも大切なことだけど、ちゃんと準備しとかないとできないようなことばかりだな。
「なんか俺、全然知らないことばっかりだったな」
「でもこの家族会議で避難場所の確認も非常食の保管場所もわかったじゃろ?まず自分の身は自分で守るっていう意識が重要じゃな」
天災は忘れた頃にやってくるって言うよな。そのとき困らないようにガイドブックをもう一回読み返しておこう!(6月1日号へ続く)
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