第10話 セレトナに行ってみました
おれの高校はオーストラリアに姉妹校があって、交換留学の交流をもう30年以上も続けている。ちょうど先週の木曜日から20人の学生が大府に来ている。その中の一人、ニコラスがサッカー部にやってきた。土曜日の今日も午前中は練習に参加してるんだ。
「さーて、今日の練習はここまでにするか。各自クールダウンして解散」
「ありがとうございました!」
「あ〜、終わった終わった!腹減ったなぁ〜」
「帰りに何か食って行こうぜ」
「まず、コンビニで飲み物買わないか?」
練習終わりにとりあえずコンビニ行くのがおれらのお決まりのパターン。
「ニコラスも来る?」
「?????」
「あっ、ドリンク、ドリンク」
「おまえ、何?それ英語?」
「う、うるさい!とにかく、レッツゴー!」
土曜日の昼時のコンビニは結構混んでいて、店内でも外でも混んでいて、店内でも外でもジュース飲むのは迷惑だなってことで再び自転車をこぎ出した。
「そうだ!セレトナ寄って行かない?ベンチもあるし、木陰で涼しいよ、きっと」
チームメイトの一人が提案した。
「セレトナか…小学校の時はよく行ったけどな」
「えっと、ニコラス、パーク、レッツゴー、パーク、OK?」
「大、おまえさ、まじで英語勉強しろよな」
「ニコラスがうなずいてるだろ?! 通じてるって!」
小学校の時以来ずいぶん来てないな…学校の行き帰りに、道路沿いの桜並木はいつも見てるんだけど。公園の中に入ると大通りの車の往来が嘘のように静かだ。池の周りの遊歩道には、ジョギングする人や散歩する人が行き交う。遊歩道はコルクのような軟らかい素材で舗装されていて、段差もなくバリアフリーだ。
「ニホンハ、ミドリガトテモキレイデスネ。ミドリ、イッパイアリマス」
「えっ、そうかな。オーストラリアも緑多いでしょ? 暖かい国なんじゃないの?」
「そうだよな、自然に恵まれた国じゃん。海も山もあって」
「えっと、メニー・ツリーズ・イン・オーストラリア」
「No,no. Not talking about trees.」
「What?」
「えっ、えっ、なんだよ。おまえ英語わかるの?」
「このくらいの内容わかるだろ。大、ホントもっと英語の勉強しろよな。ニコラスが言ってんのは、日本にはいろいろな種類の植物があるから緑色の種類が多いってこと。オーストラリアでは植物の種類が多くないから緑色の種類も1、 2色だって」
「なるほど…深いな〜」
「じゃ、深いついでに、大はセレトナの名前の由来知ってる?」
「えっ、なになにそれ?意味 ??」
「Seeingのセ、Learningのレ、Touchingのト、Natureのナだよ」
「深いな〜 !!」(8月合併号へ続く)
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